古代の武器・武具が災害を鎮めるためなどの祭祀(さいし)にも用いられたとみられることが、近年の再調査によって明らかになってきた。

 元興寺文化財研究所が奈良市の同寺法輪館で開いている夏季企画展「鎮物(しずめもの)としての武器武具−武具埋納祭祀の展開」では、全国の遺跡から出土した古墳時代から中世にかけての遺物を展示し、成果を紹介している。24日まで。

 企画展で多く展示されているのは、小札(こざね)と呼ばれる甲冑(かっちゅう)を構成する鉄の小片。関東地方で小札はひもで巻かれた状態で出土したことなどから、祭祀具(鎮物)として使われたと考えられるという。

 平城宮若犬養(わかいぬかい)門跡(奈良市)の側溝では木簡とともに小札が約25点出土。型式の違う小札を束ねた状態で見つかったことから、地鎮などの目的で納められた可能性が高く、平城京造営に際し東国での小札の祭祀作法が導入されたと推測されるという。また、九頭神(くずがみ)遺跡(大阪府枚方市)から出土した小札は、手足や顔の表現も見られることから祭祀用の人形(ひとがた)に転用したと推測。人形祭祀と小札祭祀の融合と考えられるという。

 このほか、長岡宮跡(京都府向日市)や大宰府政庁跡(福岡県太宰府市)の小札などを展示。同研究所の塚本敏夫・総合文化財センター長は「さまざまな災害に際して古人が鎮物としての武器・武具に込めた思いを想像していただければ」としている。拝観料(大人500円、中学・高校生300円、小学生100円)で入館できる。問い合わせは元興寺文化財研究所(電)0742・23・1376。