今月3日、磐田市福田の遠州灘でサーフィンをしていた男性(42)がサメとみられる生物に足をかまれ、重傷を負う事故が発生した。

 周辺ではサメの目撃情報も相次いでおり、磐田市や湖西市では海岸に看板を設置するなどして注意を呼び掛けている。男性を襲った生物がサメだとすれば、今後、どういう点に注意が必要なのか。サメの生態に詳しい東海大海洋学部の堀江琢准教授(海洋生態学)に話を聞いた。(吉沢智美)

 ◆“犯人”の可能性高い

 −−遠州灘でサーフィン中の男性が足をかまれ、重傷を負ったが、襲ったのはサメなのか

 「その可能性が高いだろう。考えられるのはアオザメ、ヨシキリザメ、ドタブカのいずれかだ。どれも太平洋側に生息する外洋性のサメで、人を襲うほどに凶暴でもある」

 −−それぞれの特徴は

 「大人のアオザメは体長3〜4メートルと巨大だが、子供や小さいものは体長が1・5〜2メートルほど。きれいな青色の体表を持ち、泳ぐのがとても速く、時速35キロほどにもなる。歯が鋭く、一度食らいついたら離さない形状をしている。ヨシキリザメとドタブカは体長2〜3メートルほどで、歯にはギザギザがついており、触れるだけでスパッと切れてしまう。アオザメと違い、かみ切るための歯になっている」

 −−本県の沿岸部にサメは多いのか

 「そもそも太平洋側には多くのサメが生息しており、特に駿河湾は深海にいるものも含めれば60種類ほどにもなる。沿岸部に大きなサメが入ってくることはほとんどないものの、人間を襲うほどの大きさのない体長1〜1・5メートル程度のサメは普通に泳いでいると考えた方がいい。釣りをしていると餌に掛かった魚がサメに食いちぎられるというのは案外よくあることだ」

 「今回、サーファーを襲ったサメの体長は2メートル程度だったと思われる。というのもサメは基本的に自分より小さいものしか襲わないからだ。一方で仮に体長が4メートル近いサメに襲われたのなら、命を落としていたはずで、けがの程度などからサメの体長は2メートル程度だったと考えるのが妥当だ」

 ◆餌を追って沿岸に

 −−遠州灘の沿岸部にまで大型のサメが入ってきた理由は

 「大型のサメはシラスを食べるアジなどの小魚を餌としているが、今年は黒潮が南側に大きく蛇行しているため沖合でシラスが不漁となっている。一方で、遠州灘の沿岸部には温度や塩分の異なる水がぶつかり合う潮目があって小魚が豊富なため、サメが餌を求めて沿岸にまで入ってきた可能性がある」

 −−サメと遭遇した場合どうすればいいのか

 「サメは音と匂いに敏感で海中でバシャバシャと音をたてると餌だと思って向かってくる。サメを発見した場合はむやみに近づいたり、威嚇したりはせずに、落ち着いて静かに浜辺に避難してほしい」