(写真=『プロデュース101/シーズン2』公式サイト)

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近頃、韓国のアイドルファンに変化が起こっている。

これまで韓国では、アイドルはティーンエイジャーたちの憧れの存在だった。“オッパ(お兄さん)部隊”と呼ばれる日本の“追っかけ”のようなファンをはじめ、アイドルを崇拝する人々が一般的だったのである。

中には“サセン・ファン”という、アイドルの私生活(サセンファル)まで執拗に追跡する行き過ぎたファンもいたが、そういった行為も、アイドルが手の届かない存在として認識されていたからこそ行われていたと言えるだろう。

“ママ”と自称するファンたち

しかし、最近のファンたちは、アイドルとの接し方が変わっている。アイドルを“憧れ”の存在として見るのではなく、自分たちが“育てる”存在として見つめる傾向があるのだ。

象徴的なのは、アイドルオーディション番組のファンたちだ。

いま韓国では、視聴者投票を多く集めた練習生だけがプロデビューできるというサバイバル形式のオーディション番組が盛り上がりを見せており、ファンたちは、自分のお気に入りの練習生をどうにか勝ち上がらせようと躍起になっている。

例えばあるファンは、投票IDを大量に手に入れて複数投票をしたというし、別のファンは、ネット上で資金を募って、地下鉄の駅に「この子をデビューさせてください」と書かれた広告まで張り出していた。

また、今年6月までMnetで放送されたオーディション番組『プロデュース101/シーズン2』のファンたちは、自らをことを“ママ”と呼んでおり、お気に入りのアイドルを推すことを“入養”(養子縁組)、推しメンを乗り換えることを“離縁”と称している。

強硬手段に出ることも…

日本の“AKB総選挙”を想起させる話だが、韓国のファンたちはそこからさらに踏み込んでいる。彼らは、アイドルが自分たちの意にそぐわない行動をとるものなら、強硬手段に出ることもあるのだ。

今年5月には、ベテランアイドルグループH.O.Tのメンバーであるムン・ヒジュンに対し、ファンたちが「支持撤回証明書」を発表したことがあった。

ファンに対する態度の悪さや誠意に欠けるコンサートを開いたことなどが理由に挙げられ、結局、ムン・ヒジュンはファンたちに謝罪したのだった。

さらに、今年6月には、SUPER JUNIORのソンミンも、ファンたちから集団ボイコット宣言を受けている。

結婚と軍入隊を理由にファンとのコミュニケーションをおろそかにしたことなどがボイコットの理由とされており、ファンはソンミンに対してグループ脱退まで要求。ソンミンは活動中断に追い込まれている。

“管理”するという新たな文化

ファンがアイドルよりも力を持ち、権力関係が逆転してきているわけだが、なぜこうした変化が起こっているのだろうか。

文化社会研究所のキム・ソンユン所長は、次のように分析している。

「芸能プロダクションやテレビ局が、デビュー前から練習生の私生活を露出し続けていることで、ファンや視聴者は、彼らの私生活を商品のように購入し、消費するようになっています。

その過程にスターがファンたちを苦しませることもありますが、一方では、ファンたちがスターを管理する新しい文化が出現しているのです」

キム所長によれば、こうしたファンがアイドルを管理する現象はオーディション番組の登場によってますます広がっているらしい。
(参考記事:韓国のアイドルオーディション番組が音楽業界から猛批判を浴びている理由

オーディションから自分が育て上げたアイドルがスターになることが、現在はK-POPファンの楽しみであり目的になっているのだろう。

ファンがアイドルを管理するという構図の中で、今後はどのようなアイドルが誕生するのか楽しみにしたい。

(文=李 仁守)