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●イベント日程からスケジュールを読み解く

アップルはメディア関係者に、9月12日のスペシャルイベント開催を通知した。開催場所は建設中の新キャンパスApple Park内にある1000人収容のThe Steve Jobs Theater。iPhone 10周年を記念するモデルへの注目とともに、アップルの新しいキャンパスでの初のイベントとなり、その建物やランドスケープのデザインにも注目が集まる。

今回のiPhone発表会では、3モデルのiPhoneが披露されるとみられている。現在のiPhone 7、iPhone 7 Plusの光景となるモデル、そして全く新しい製品となるiPhone 8とされてきた製品だ。

発表会直前になって、iPhone 7シリーズの後継はiPhone 8シリーズになるとみられており、iPhone 8とされてきた製品は、iPhone 8 Edition、もしくはiPhone Xという名称が浮上している。

○例年のことながら発売直後は品薄状態に

iPhoneは非常に注目度も高く、多くの人々が新規購入、もしくは買い換えを求める。特に今年は3モデルぶりとなる大きなデザイン変更が伴うため、買い換え、Androidからの乗り換えについても、その勢いはこれまで以上になると考えられる。

例年、iPhoneは発売直後から年内いっぱいまでは、多くのモデルで品薄状態が続いてきた。特に2016年のiPhone 7シリーズでは、大型ディスプレイとデュアルカメラを備えたiPhone 7 Plusと、特別な光沢仕上げとして設定されたジェットブラックに人気が集まり、筆者の周りでもあきらめてマットなブラックを選択したユーザーが多く見られた。

今回のiPhoneは、iPhone 7シリーズの後継モデルとして2機種、そして全く新しい要素を加えたプレミアムモデル1モデルが登場する予定だ。

やはり注目は後述のプレミアムモデルとなるが、価格が大幅に高くなることも予測され、またプロセッサやカメラなどの基本性能については、アプリ開発コミュニティのことを視野に入れれば、大きな差を付けることは戦略上好ましくないこともあり、iPhone 7シリーズの後継モデルであっても、十分な進化への満足感を得ることができる可能性が高い。

例年通りなら、日本市場も、iPhone発売の最初のグループに入ることが考えられ、時差の関係から、ニュージーランドやオーストラリアとともに、最も早くiPhoneを販売し始める国の1つになるだろう。

9月12日のイベント開催と、決算の9月末締めのスケジュールから考えると、9月15日予約開始、9月22日発売という流れになることが予想できる。希望のモデルについては、早めに予約をしておくことが得策だろう。

●パネルの供給動向に注目

○遅れも指摘されるプレミアムモデル

iPhone X、iPhone 8 Editionなどの名前が噂される10周年を記念する新型iPhoneは、これまでのiPhoneの線形の発展の歴史から切り離された、新しいコンセプトを提案するとみられている。

これまで前面に用意され、iPhoneの操作の要となっていたホームボタンは廃止され、また液晶ディスプレイはiPhoneとして初めて採用する有機ELディスプレイに置き換えられる。

有機ELパネルは薄型化や曲面化などの自由度が高く、消費電力が低い上、液晶パネルと異なり黒が消灯となることから、引き締まったコントラストを実現するディスプレイだ。すでにサムスンは有機ELディスプレイを採用したスマートフォンを販売しており、縁が極めて小さい、前面全てがディスプレイのデザインを実現してきた。

新型iPhoneは、イヤーレシーバーやカメラ、センサーなどの部分が画面の中にせり出す以外は、全てがディスプレイで覆われたデザインになると考えられている。

ホームボタンにはこれまで指紋認証のためのTouch IDが内蔵されてきたが、ホームボタンそのものが廃止されることから、3D顔面認証の生体認証システムに置き換えられると予測される。

ディスプレイや生体認証に加え、3Dカメラの採用など、様々な新しい要素が加わる新型iPhoneは、製造の遅れが指摘されており、発表や予約は他のモデルと同じタイミングになるかもしれないが、発売は1カ月近く遅れるとの情報もある。

○品薄状態の改善は有機ELパネルの供給次第

iPhoneのプレミアムモデルのカギを握るのは、有機ELパネルだ。アップルはサムスンに7000万ユニットの有機ELパネルを発注したとも言われており、2017年に発売する新型iPhoneについては、当面、サムスン1社が有機ELパネルを供給するとみられている。

アップルはLGやジャパンディスプレイなど、サムスン以外のサプライヤーに対する投資を通じて、サムスンだけにディスプレイを頼る体制からの脱却を急いでいる。しかしLGの有機ELパネルでは歩留まりの問題も指摘されており、iPhoneのように膨大な規模の供給を叶えるには至っていない。

競争がない状態であることから有機ELパネルの価格は120〜130ドルと、5.5インチ液晶パネルの倍近くになると考えられており、iPhoneのプレミアムモデルが1000ドルを超える価格になると予測される大きな要因と考えられている。

●顕在化するアップルの課題

○新たなパーツや技術はビジネスの変革を起こす

また、iPhoneなどに搭載するメモリーについても、少なくともiPhone 7ではサムスンによる供給だった。現在、東芝の半導体部門について、アップルはフォックスコンなどとともに買収グループを作っているが、これも有力な供給元になるまでには時間を要する。

新型iPhoneが安定的に供給されるかどうかは、スマートフォンのライバルメーカーであるサムスンが、その命運を握っている。

ただ、前述の通り、アップルはサムスンからの依存脱却に向けて、ディスプレイやメモリに関する投資や新たなサプライヤー開拓を進めている。同時に、米国のドナルド・トランプ大統領は、国内雇用と産業の育成の分かりやすいターゲットとしてこれまで、「iPhoneを米国内で製造する」と発言してきた。

iPhoneの組み立てをする委託製造先大手の鴻海精密工業は、トランプ大統領とともに、ウィスコンシン州に新たなディスプレイ工場建設を発表したが、この記者会見の直前、トランプ大統領は新聞社のインタビューで「アップルは米国に3つの工場を建てる」と発言している。

鴻海のディスプレイ工場がそれに当たるのかどうかは分からないが、新ディスプレイ工場では、有機ELの次と言われるマイクロLEDが製造されるとみられており、同技術を開発する企業をアップルは既に買収済みだ。

新型iPhoneに採用する新たなパーツや技術は、iPhoneのサプライチェーンの変革、とくにサムスンからの脱却というビジネスの変動を引き起こす可能性が高く、iPhoneそのものとともに、注目していくべきポイントと言える。