東京23区内に居住する社長35万5,175人のうち、社長が最も多く住む区は世田谷区の3万8,771人だった。23区の社長の10人に1人(構成比10.9%)が集まる人気スポットだ。世田谷区の人口は23区中トップの89万8,826人で、三軒茶屋、下北沢、二子玉川、自由が丘など、人気の商業地に住宅地が隣接。成城など高級住宅街もあり、屈指の住宅地となっている。
 区内人口に占める社長の割合(人口比)では、トップが港区の人口比9.9%。社長数は2万5,124人で、約1割を占めた。次いで、渋谷区と千代田区が同8.6%、中央区が同6.5%、新宿区が同5.7%と、都心部の区が上位に並んだ。
 また、経営する企業と自宅が同一区内の「職住一致」の比率(分母を社長数とし、分子を同一区内の企業を経営する社長数として算出)は、最高が台東区の71.2%(7,379人)で、唯一の70%台だった。次いで、足立区67.6%(1万1,538人)、江戸川区65.7%(1万1,433人)、墨田区65.3%(5,825人)の順で、下町の区が上位に名を連ねた。なお、世田谷区は48.7%で23区内では最も低く、職住分離が際立った。


  • 本調査は、東京商工リサーチの企業データベース約300万社の代表者データ(個人企業を含む)から、社長の居住地を東京都内23区から抽出・分析した(調査は2016年12月)。なお、社長の居住地の最小単位は「区」。

社長の10人に1人が世田谷区に在住

 東京23区内で、社長が最も多く住む街は「世田谷区」で、3万8,771人の社長が住んでいる。都心部から比較的距離はあるが、1970年代の高度経済成長期に人口が急増し、東京23区では人口が最も多い。成城などの高級住宅地や三軒茶屋、二子玉川、自由が丘などの人気エリアも点在。緑豊かな生活空間が人気を集め、東京23区内に居住する社長(35万5,175人)の、10人に1人(構成比10.9%)が住んでいる。
 2位は、「港区」2万5,124人(同7.0%)。赤坂や六本木など高級住宅地を抱え、米国をはじめ各国大使館も多い。交通の利便性や高いステータスで根強い人気を得ている。
 3位は、「大田区」の2万2,006人(同6.1%)で、高級住宅地の象徴として知られる田園調布がある。 以下、練馬区の2万1,124人(同5.9%)、新宿区の1万9,625人(同5.5%)と続く。

人口比 港区が9.9%で最高

 区内人口に対する社長の比率(人口比)では、最高が港区の9.9%。次いで、渋谷区と千代田区が同率の8.6%、中央区の6.5%、新宿区の5.7%の順。地価が高く、交通アクセスなどの利便性も高い都心部が目立つ。一方、最も比率が低いのは葛飾区の2.40%。以下、足立区2.49%、江戸川区2.50%、北区2.56%、板橋区2.6%の順で、下町のイメージが強い区が多い。職住一致の業歴ある自営業や家内工業、地域に密着した企業が多いが、都心部に比べて交通の利便性に乏しいことも影響しているようだ。

東京23区内に住む社長 3割がサービス業他

 東京23区内に住む社長の経営する企業を産業別でみると、飲食業、宿泊業を含むサービス業他が12万5,354人(構成比35.2%)で最多。次いで、情報通信業3万9,351人(同11.0%)、不動産業3万8,046人(同10.7%)、製造業3万5,609人(同10.0%)、小売業3万5,454人(同9.9%)、卸売業3万4,824人(同9.8%)の順。
 エリアごとの産業別構成比は、建設業の最高が北区、板橋区の城北エリアで構成比14.6%。最低は千代田、中央区、港区、新宿、渋谷区など都心・副都心エリアの同3.9%。不動産業は最高が都心・副都心エリアの同12.1%に対し、最低は城東エリアの同8.3%。建設業で構成比が最低だった都心・副都心エリアが、不動産業では構成比が最高だった。製造業は、城東エリアの同13.2%が最高。以下、町工場の集積地として知られる大田区を含む城南エリアが同11.9%、北区、板橋区の城北エリアが同11.2%と続き、小規模の町工場が多い地域が上位に入った。
 都心・副都心エリアは、不動産のほか、情報通信業、サービス業他でも構成比が最も高かった。情報通信業は、IT関連の代名詞となった六本木ヒルズがある港区、ITベンチャーが集積する渋谷区の構成比が高かった。

  • エリアは東京都産業労働局の区分けに基づく。都心・副都心エリア(千代田・中央・港・新宿・渋谷・文京・豊島)、城東エリア(台東・墨田・荒川・足立・葛飾・江東・江戸川)、城西エリア(世田谷・中野・杉並・練馬)、城北エリア(北・板橋)、城南エリア(品川・大田・目黒)に分類。

建設業は足立区、製造業が墨田区、情報通信業は渋谷区に住む社長が多い

 区ごとの産業別構成比では、建設業の最高は足立区の20.9%。次いで、江戸川区18.6%、葛飾区16.9%と続く。最低は千代田区の2.1%。一方、不動産業は最高が千代田区の16.1%。以下、文京区12.65%、港区12.63%の順。最低は足立区の7.6%で、建設業と不動産業では最高と最低が正反対になった。製造業では、墨田区の18.8%が最も高かった。次いで、葛飾区15.2%、大田区14.8%、台東区14.5%、荒川区14.4%と続き、町工場が多い区が上位に並ぶ。最低は新宿区6.9%だった。
 このほか、情報通信業では構成比が最も高かったのは、渋谷区の15.1%。渋谷区は、1990年代後半には「ビットバレー」と呼ばれてIT関連のベンチャー企業が集積し活況をみせた。さらに、現在ではファッションや音楽など、情報発信地としての風土が受け継がれている。以下、中野区13.8%、目黒区13.7%、新宿区13.3%の順となった。最低は足立区の6.0%。

「職住一致」比率 トップは「台東区」

 東京都23区内で、経営する企業の本社と社長の住む区が同一の「職住一致」数では、世田谷区の1万8,912人が最多だった。次いで、港区1万6,074人、大田区1万4,077人と続く。
 一方、人数が少なかったのは、千代田区3,379人、荒川区4,037人、文京区4,871人の順で、いずれも区内人口が比較的少なく、職住一致の社長数も5,000人を下回った。
 「職住一致」の比率は台東区が71.2%で、唯一7割を超えトップ。次いで、足立区67.6%、江戸川区65.7%、墨田区65.3%、中央区64.5%と続く。23区のうち、13区(構成比56.5%)で、構成比が6割を超えた。一方、構成比が低かったのは、世田谷区48.7%、目黒区49.1%、文京区50.3%、杉並区50.4%、中野区52.7%の順で、いずれも5割前後にとどまった。
 港区、渋谷区、新宿区などIT関連企業の多い区では、情報通信業が6割(港区64.7%、渋谷区64.0%、新宿区62.8%)を超えた。居住する都心部のマンションなどで起業し、職住一致の構成比を底上げした。最近は高級タワーマンションも林立し、「利便性」を重視する都心回帰の動きもうかがえる。

  「職住一致」のエリア別の構成比は、城東エリア63.8%、都心・副都心61.8%、城北エリア59.3%、城南エリア57.5%、城西エリア51.2%の順。城南エリア(品川区、大田区、目黒区)、城西エリア(世田谷区、中野区、杉並区、練馬区)が全体の平均(58.8%)を下回った。住宅地を多く抱える両地区は、居住と仕事の分離傾向がみられた。

 東京23区内に住む社長は、住宅地の多い世田谷区や杉並区を抱える城西地区に社長が多く住んでいる。区内人口に占める社長の比率は港区、渋谷区、千代田区など、富裕層が多く住む都心部で高かった。一方、「職住一致」の比率は古くから街が栄えてきた台東区や江戸川区などの城東地区で高い傾向にあることがわかった。歴史のあるエリアで居住地に本社を構え、地域に密着した「住みやすい」生活を営んでいる様子もみえてくる。
 比較的新しく開かれた城西地区などは、職住一致の傾向が低い。住むエリアにより社長の職住関係に対する考え方の違いもあるようだ。しかし、最近は江東区の豊洲など湾岸エリアの開発やタワーマンションの建設など住環境も変化している。2020年東京五輪、パラリンピックを控え、東京都が大きく変貌することも期待されている。さらに、事業承継などで経営者も世代交代が避けられない時代を迎えており、職住の場所に対する意識も変わってくるのかもしれない。