NEW YORK, NY - SEPTEMBER 5: Supporters of the Deferred Action for Childhood Arrivals immigration law demonstrate against President Trump's decision to cancel the program on September 5, 2017 in Foley Square in New York City. (Photo by Andrew Lichtenstein/Corbis via Getty Images)

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 トランプ大統領がまたまた物議を醸し出す決定を下した。ダカ(DACA)と呼ばれている若者を対象にした強制送還猶予制度の撤廃を発表したからである。

 幼少時に親に連れられて米国に不法入国した若者に対し本国への送還を一時的に免除するという制度をオバマ前大統領が2012年に人道的に合法化させた。その対象になった若者は「ドリーマー」と呼ばれ、およそ80万人と言われている。それをトランプ大統領は撤廃すると決めたのである。但し、この決定が適用されるようになるのは2018年3月からである。それまでに、この法案の実施を阻止するための手段を講じることが出来るのは米国議会である。

◆オバマ前大統領の「置き土産」

 オバマ前大統領が2012年にDACAとして合法化させた理由は、幼少時に本人の意思ではなく、幼少であるが故に親に同行して仕方なく不法に米国に入国した子供に対し、入国は違法だと言って罪をきせて本国に送還させることは出来ないと人道的に判断したのであった。しかも、彼らは既に若者に成長し職場をもって家族を抱えている者もいるといった事情も考慮したものであった。

 トランプ大統領は米国民の職場や発展の可能性を不法移民が阻むことに反対という立場から大統領選挙戦中からDACAの撤廃を訴えていた。

 この制度が撤廃されると最も影響を受けるのはメキシコから不法入国したドリーマーである。その数は62万2170人と推測されている。次に影響を受ける国はエル・サルバドルの3万262人、グアテマラ1万9466人、ホンジュラス1万8261人、ペルー9066人、韓国7250人、ブラジル7542人、エクアドル6696人、コロンビア6591人とドリーマーの人数が統計されている。(参照:「Sin Embargo」)

 また、彼らが居住している州は次のようになっている。カリフォルニア20万2200人、テキサス11万50人、ニューヨーク5万3983人、フロリダ4万1526人、イリノイス3万7030人。

 仮に、この撤廃が施行されるようになると、メキシコは多大の影響を受けることになる。ビセンテ・フォックス元大統領はトランプ大統領を評して<米国で最も卑劣な大統領だ>と強く批判している。(参照:「Excelsior」)

 メキシコ政府は在米国大使館を通して米国の両院の議員に書簡を送り、<DACAの若者の米国における存在感は価値あるものだ>と表明し、<彼ら議員が永続性のある解決策を見つけだすように要請>したという。(参照:「Excelsior」)

 その一方で、メキシコ政府は帰国を望むドリーマーに対して、彼らを喜んで迎える意思を表明し、領事館を通して<メキシコでの職場の提供、銀行の融資、奨学金の提供、教育へのアクセスの簡易化、社会保障の取得>といった特別待遇をする提案をしている。その背景には、メキシコ政府は彼らが米国で身に着けた能力などをメキシコ社会の発展の為に利用したいと考えているからである。

◆各界から反発の声

 ドリーマーが抱える問題は、米国に入国した時は子供であったが、既に現在若者として家族を抱えている者や正規の職場で就労しているということから、仮にDACAが撤廃されれば、正規に働くことが出来なくなり、購入した住宅ローンの返済などにも支障をきたすようになる。また安定した職場も放棄せねばらなくなり、闇で低賃金で働かざるを得なくなるといった不安を抱えることになるからである。

 トランプ大統領に圧力を掛けてDACAの早急なる撤廃を訴えているのが、テキサス州の検事総長を始め、10州の検事総長らであるという。

 一方、1万7000人のドリーマーが居住しているワシントン州の検事総長やジェイ・インスレー州知事は彼らを保護するために法的訴えも辞さない構えでいる。(参照:「Mundo Hispanico」)