「中国版バレンタインデー」と呼ばれる8月28日、四川省成都市で妻が宅配便を使って勤務中の夫に「紅豆湯(お汁粉)」を送ったところ、配達担当者が途中で自分の尿を混入させていたことが分かった。写真は成都市。

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譚(タン)さんは8月28日午後5時ごろ、四川省成都市内にある勤務先のオフィスにいた。どうにも忙しく、泊まり込みで仕事をせねばならなかった。この日は旧暦の7月7日の七夕。中国では2月14日のバレンタインデーと並んで、愛し合う男女が互いの寄り添う気持ちを確認する日とされている。譚さんも愛する妻と過ごしたかったが、とても無理だった。そんな時、オフィスに妻からの荷物が届いた。7日付で成都商報が伝えた。

譚さんは荷物の中身を確認した。保温カップと果物と氷砂糖だった。七夕の夜に妻から届いた愛のサプライズ。譚さんは心からうれしく思った。さっそく、保温カップの蓋を開ける。「紅豆湯(ホンドウタン)」だった。小豆を甘く煮た汁物、日本風に言えば「お汁粉」だ。

ところが譚さんは、辺りを漂い始めた「紅豆湯」の匂いに妙な成分が混じっていることに気づいた。尿の臭いのようにも思える。まさか妻が尿を入れるわけはないだろう。腐ってしまったのだろうか。譚さんは同じ成都市内の自宅にいる妻に電話連絡して確認することにした。

「腐ってしまったのではないのか」という譚さんの質問に、妻は「そんなはずはない」と明言。自分自身が作ったばかりの「紅豆湯(ホンドウタン)」をカップに入れたと説明した。

譚さんの妻が利用したのは、成都市内を対象として発送から60分以内に届ける宅配便サービスだ。そんな短時間で「紅豆湯」が変質するわけがない。譚さんは改めて保温カップの中身を嗅いだ。絶対に尿が混じっている。入れられたとすれば、配送中以外には考えられない。宅配便会社に連絡をして、荷物に添えられていた番号にもとづいて配達担当者にも電話した。

驚いたことに、配達担当者はあっさりと、カップの中身に手をつけたことを認めた。「つい飲んでしまって、別の物を入れました」と言った。譚さんがさらに「何を入れたんだ!?」と問い詰めると、次第に声を小さくしながら「小便を入れました。本当にすみませんでした」などと言い出した。

激怒した譚さんだが、「いったいどうして?」と不思議に思う気持ちもわいてきた。そこで配達担当者に「私を知っていたのか。恨みでもあるのか」と尋ねた。すると相手は「そういうわけではありません。ただ、一時的に頭がぼおっとして」と、要領を得ない回答をした。

その後、宅配便会社は譚さんに対して「同問題について介入する」と表明したが連絡は長時間なかった。配達担当者への電話も一時はつながらなくなったが、9月になりSNSを通じて連絡できるようになった。配達担当者は「500元(約8300円)を弁償します」などと言い出したが、譚さんは取り合わなかった。金銭を求めているのではないとして、自分の目の前に来て説明・謝罪することを要求した。

その後、配達担当者はSNSの送金機能を使って420元(約7000円)を振り込んできたが、譚さんは受領していない。なぜ420元という金額になったのかも、訳が分からなかった。

同件を知った成都商報が9月7日になり取材したところ、宅配会社の担当者は「悪質な行為があったので問題を起こした配達担当者は解雇した」と説明。ただし、事情聴取した際に配達担当者は「(保温カップ中身の)液を捨てて、その分、水分を入れた」と説明し、問い詰めても「どのような水分」を入れたかは言わなかったという。

会社側によると、問題解決のために譚さんとは協議中。配達担当者が譚さんに500元の弁償を申し出たのも、会社による指示だったという。

譚さんは会社側の姿勢に納得していない。成都商報の取材に対しても、「(会社側に)どういうことだったのか、はっきり説明することを要求します。担当者が解雇されたといっても、会社の内部管理に問題があるのではないのか。これから宅配便を利用する時には、この種のリスクがあるということなのか」と、不満を示した。

配達担当者とは再び、連絡が取れなくなった。会社側との交渉はまとまっておらず、譚さんは同件を警察に届ける考えだという。(翻訳・編集/如月隼人)