有機野菜というと、皆さんはどのようなイメージを持っていますか。農薬が使われていないなど、健康的なイメージがあるかもしれません。しかし具体的にどのような規定のもとで作られているのかは、あまり知られていないようです。有機野菜とはどのような野菜なのか、また無農薬野菜との違いなどについてご紹介しましょう。

有機野菜の定義

スーパーで見かける有機野菜は、数は多くはないものの、どんなものなのか気になっている方もいらっしゃるでしょう。販売するときに「有機野菜」と名乗るには、農林水産省が規格した「有機JAS」の認定を受けていることが条件となります。有機JASの規格では、野菜の種をまく、あるいは作付けする前に2年以上、その畑で農薬や禁止されている化学肥料が使われていないこととしています。しかし厳密には、一部の農薬の使用が認められているため、必ずしも有機野菜だからと言って農薬不使用とはならないようです。有機野菜の認定を受けた野菜は、必ず「有機JAS」のマークがパッケージに貼られているので、品質保証されていることが一目で分かるようになっています。

無農薬野菜の定義

無農薬野菜とは、大まかに言えば農薬を使っていない野菜のことです。でも有機野菜のように条件が厳しくなく、栽培期間のみ農薬が使われていなければ良いということになっています。つまり栽培される直前までその畑で農薬が使われていたとしても、無農薬と言っても良いことになります。しかし有機野菜との違いを明確化するために、2004年より「無農薬」と表示することは禁止されています。代わりに「栽培期間中農薬不使用」と表示することになっています。

有機野菜が広まらない日本

今世界で広がりを見せる有機野菜ですが、日本では有機野菜の生産量はあまり増えておらず、横ばい状態だそうです。それにイタリアやドイツ、イギリスなどでは全耕地面積の5%近くが有機栽培農地であるのに対し、日本ではわずか0,2%。日本で有機野菜の栽培が増えない訳は、有機栽培をするのに生産者側に多大な手間やコストがかかるからです。有機JASの認定を受けるためには、生産において日々の細やかな管理が必要となり、提出書類が多いうえに、認定シールやパッケージなど全て生産者側の負担となるため、有機野菜の申請に躊躇する農家も少なくありません。

実際に無農薬・化学肥料なしで野菜を作っていても、小さな農家にとって有機野菜の認定を受けるのは、コストの面で難しいということになるのです。健康や環境のことを考えれば、やはり農薬や化学肥料を使っていない野菜は魅力的ですよね。有機野菜がもっと身近なものになればと願う国民は少なくないでしょう。近い将来、有機野菜がもっと国民の間に浸透していくことを期待しましょう。


writer:Akina