ダンロップが発明したとされる空気入りタイヤ。1888年に自転車用タイヤに空気を入れたのが始まりと言われています。自動車用には、1895年にミシュランが空気入りタイヤを使用したのが最初なのだそうです。

この長年続いた常識を覆すタイヤが発表されました。

タイヤに求められる基本的な機能・役割は、「重量を支える」、「衝撃を和らげる」、「駆動・制動力を伝える」、「車の方向を転換・維持する」といったところ。これらをタイヤとその中に充填された空気で賄ってきたわけです。

この基本機能を維持しながら120年変わらなかった基本構造が、ついに変わろうとしているのです。

タイヤメーカー各社では、これまでも空気のいらないタイヤの開発を進めて来ています。東洋ゴム工業でも2006年から研究を始め、第1-3世代からアイデアの具現・耐久性の改善を進め、第4世代でスポークをY字型にして屋内ながら走行確認。第5世代では構造を楕円形スポークとし、10km/h程度で実走できたものの、騒音、耐久ではとても成立するものではなかったといいます。

そして、基本構造を楕円形からX字型スポーク構造にして、実車走行テストを重ねてくることができました。

トレッドにはすでに実績ある低燃費ゴムを使用、スポークは樹脂、その間にCFRP(カーボン繊維強化プラスチック)を挟んだ構造となっていますスポーク本数は過去モデルよりも倍増し、100ピッチとして接地圧を分散、打撃音を緩和させ静粛性を実現しています。

同社でのテストによると、空気入りタイヤと比べ、軽量、耐久性は法規基準をクリア、転がり抵抗は25%よく、制動距離は4%良好、車外騒音は法規基準をクリアし、走行フィーリング面でも全てにおいて良好な結果を得られているといいます。

実際にテストコースでの走行を体験した自動車ジャーナリスト業界のお歴々のコメントも届いています。

CARトップ編集局長の城市邦夫さん「非常に楽しい。乗り心地はまだとやかく言えるものではないが、普通に走れて、ブレーキ性能はいい。夢のあるタイヤだ」。

自動車評論家の国沢光宏さんは「エアレスタイヤに乗ったのは初めてのこと。まだ厳しい課題はあるけど、普通のタイヤなっていく可能性はあると感じた」

レーシングドライバーの中谷明彦さん「今回、車に付けて実際に走れることに驚いた。課題もあると思うけど、クルマの新しい世界が広がるのではと感じた」

東洋ゴム工業では、このエアレスタイヤが次世代モビリティ社会に役立つタイヤの形に追求する、といいます。

自動車に限らず、タイヤに付き物であったパンクという最大のウィークポイントを克服できるこのコンセプトタイヤ、久々に自動車に関する夢のある重要部品が登場することに期待が持たれますね。

(clicccar編集長 小林 和久)

夢の空気がいらないタイヤ「noair(ノアイア)」を東洋ゴム工業が発表! 実走行結果を一般公開(http://clicccar.com/2017/09/08/508696/)