防音室のメリットは? 日々金管楽器を練習する夫婦を取材してみた

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いつでも自由に、とことん練習できる環境を探していた音楽好き夫婦。あきらめずに探しついに見つけた理想の物件で、さらなる夢を描く

防音室があるだけではイヤ! 妥協しなかった物件探し

トロンボーン奏者の永井嗣人さんと、トランペット奏者の綾子さんのご夫婦。結婚前、一緒に暮らす部屋を探していた時に一番重視したのは、「家の中で吹ける」ことだったという。

「それまでは普通のワンルーム物件に住んでいました。トロンボーンの練習をする時は、卒業した音大のレッスン室を使わせてもらったり、カラオケボックスにこもって吹いたり。音楽スタジオを借りることもあって出費がかさむので、なるべく家賃が安いマンションを探しましたね。それでもやりくりは大変でしたけど」(嗣人さん)

音大の沿線には楽器相談可の物件が多く、防音ではないものの、「音が聞こえるのはお互いさま」という容認の雰囲気があるそう。

しかし、金管楽器は音が大きいため、楽器相談可の物件であっても断られてしまうケースも。自宅で金管楽器を思いっきり吹くというのは、けっこうハードルが高いのだ。

同じトランペットの仲間でも、曲によってこんなにも多くの種類を吹き分けるという

大学卒業後も母校のレッスン室に通い続けていた2人だが、ある時校舎が建て替え工事に入ってしまい、練習ができなくなってしまった。

別の場所にある校舎を使うこともできるが、自宅からは遠すぎて、さすがに通うのが大変。そこで、引っ越しをするタイミングで、自宅で練習ができるように防音室のある物件を探し始めた。

最初は、都心に近く、もともと住んでいた母校の近くで探していたそうだが、なかなか条件に合ういい物件が見つからなかった。というも、楽器を吹けるという条件に加えて、綾子さんのこだわりが並大抵のものではなかったためだ。

「防音室があって、池袋に近い場所で、家賃10万円くらいで、そこそこキレイで、3部屋はあって、広くて、お風呂とトイレはもちろん別で、駅から近くて、あと将来犬を飼いたいからできればペット可で……。この条件が全部そろってないとイヤと言っていましたね。探せば絶対あると思っていたんです(笑)」(綾子さん)

楽器が関係ないとしても、この全ての条件がそろう物件を都内で見つけるのは至難の業。あきらめかけていた時に、池袋に楽器可物件に力を入れている不動産会社があることを知り、軽い気持ちで立ち寄ってみることに。そこで、奇跡的な出合いが待っていた。

「1件だけ、条件にぴったり合う物件があったんです。ただし、最寄り駅が清瀬でした。最初は池袋からだいぶ遠いイメージだったのですが、人気物件だから早く決めたほうがいいですよと言われたので、とりあえず僕だけで物件を見に行ったんです。そしたら、パーフェクトな物件で、即決でした。妻は仕事で行けなかったのですが、事前にネットで写真を見ていたので、すぐに『いいんじゃない』と言ってくれて。実際に行ってみたら意外と池袋から近かったし、場所以外の条件を全て叶えた上で家賃も希望通りというのが魅力でした」(嗣人さん)

一見、無理な条件であっても、あきらめずに探し続ければ、いつか良い出合いが訪れる。妥協しないことが、理想の部屋を見つける一番の近道なのかもしれない。

リビングでは仕事に関係ない音楽をかけ、リラックスして過ごすという2人

「吹きたい」と思った時にいつでも気兼ねなく吹ける

引っ越してきた新居には、クラリネットやパーカッションなど、演奏家のご近所さんがたくさんいる。まさに、演奏家のための物件だ。仕事先で一緒になった人が、実は同じマンションだったということもしばしばあるそう。

2人の念願だった防音室は、通路に面した6畳の一室が割り当てられている。壁は他の部屋よりも3倍ほど分厚く、窓は二重になっていて、ドアを閉めれば外に音が漏れることはほとんどない。

他の部屋とは違う造りが施されている

2人は演奏内容によって楽器を使い分けているため、室内にはケースに入った楽器がいくつも積み上げられていた。嗣人さんと綾子さんは、この空間で毎日、好きな時間に演奏の練習をしているという。

「1人でいる時は思う存分に吹いています。2人とも在宅している時は、1時間ずつと決めて交互に練習することが多いですね。広い空間ではないので、トロンボーンとトランペットが違う練習をしていると結構うるさいんです。自分の音も聞こえないし。でも、たまに2人で一緒に同じ曲を吹くこともあります。吹きたいと思った時にすぐに吹ける環境ってやっぱり良いなと思います。この部屋なら夜でも気兼ねなく吹けますから」(綾子さん)
 
ときには、個人的に教えている生徒さんを招いて、防音室でレッスンをすることも。また、地域の学校でも頻繁にレッスンを行っているそう。

「演奏を教えるのも大好き」と語る金管夫婦にとって、この小さな防音室は、夢が広がっていく空間と言えそうだ。
 
今後は、ミュージカルのオーケストラ演奏にも挑戦していきたいと語る嗣人さん。そろそろ子どもも欲しいけれど、演奏が好きだから育児と両立できるようにしたいと語る綾子さん。
 
そう遠くない未来、この部屋で、小さな子どもと家族3人が金管楽器を吹き鳴らす日が訪れるかもしれない。

レコードプレイヤーで音楽を聴くことも

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文=村上佳代
写真=尾形和美

※「CHINTAI2017年4月6日号」の記事をWEB用に再編集し掲載しています。
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