汗をかく季節はもちろん、ブーツが活躍する冬の時期でも気になるのが靴の臭い。洋服のように毎日洗うことができない靴は、蓄積されていく臭いが悩みの種です。そのままにしておくと、玄関や靴箱の中に悪臭が充満してしまうことも。

 ところで、靴を消臭する方法として「10円玉を靴の中に入れる」という方法をよく耳にしますが、実際のところ消臭効果はあるのでしょうか。臭気判定士(におい刑事)として知られる、共生エアテクノ代表の松林宏治さんに聞きました。

コップ1杯分の汗をかく足の裏

 そもそも、なぜ靴の中には悪臭が発生するのでしょうか。松林さんによると、靴の臭いの原因は雑菌の繁殖にあります。

「足の裏は1日にコップ約1杯分の汗をかくと言われています。雑菌は汗や皮脂、爪の間にたまった汚れなどをエサにして増殖しますが、常に蒸れやすい靴の中は、湿った場所を好む雑菌にとって絶好の場所。靴を履いている時は湿度95%以上、温度32度以上になることもあり、雑菌が非常に繁殖しやすい状態なのです」(松林さん)

 とはいえ、靴は洋服や下着などとは異なり、毎日お手入れするのが難しいもの。そこで、昔から臭い対策として知られているのが、「靴の中に10円玉を入れる」という方法です。身近にあるものを使って手軽にできる半面、その効果が気になるところですが、10円玉を入れるだけで本当に消臭できるのでしょうか。

「10円玉には銅が95%含まれています。この銅には抗菌作用があり、水分に反応して発生する『銅イオン』が不快な臭いの元となる雑菌を分解します。10円玉を使った試験結果のデータで銅イオンによる除菌が確認されており、臭いの原因である雑菌を減少させることで臭いを軽減できるのです」

 ちなみに、国内外問わず、ほとんどの硬貨に銅が使用されているのは、その抗菌作用によって多くの人の手に触れても病原菌などが蔓延(まんえん)せず、衛生的に保たれやすいからだそう。古くからの知恵であった10円玉の抗菌・消臭効果は近年、科学的に証明されているのです。

10円玉はひと晩入れておく

 それでは、私たちにとって最も身近な「銅」である10円玉を上手に活用し、靴の臭いを抑えるためのコツはどのようなものでしょうか。

「消臭効果が得られるのは10円玉周辺が中心なので、靴全体に効果が行き渡るよう5〜10枚ずつ広げて入れるとよいでしょう。特に、湿気がこもりやすく雑菌が繁殖しやすいブーツなどのつま先には多めに入れるのがオススメ。なるべく新しくてきれいな10円玉を使うことで、消臭効果アップが期待できます」

 なお、10円玉を入れておく時間は最低でもひと晩。帰宅して靴を脱いだら10円玉を入れ、翌朝、靴を履く時に10円玉を取るというサイクルが理想です。

 ちなみに、10円玉以外では、アルミホイルをくしゃくしゃと丸めて靴に入れておくのも有効といいます。

(オトナンサー編集部)