果たしてこれは有事を告げる“前触れ”なのか。9日の北朝鮮の「建国記念日」が近づき、いよいよキナ臭くなってきた。CIAと米国土安全保障省の職員がソウルに“結集”し、20万人余りの在韓米国人の退避計画を入念に確認し始めたという。6日の聯合ニュースが伝えた。

 在韓米軍は毎年2回、朝鮮半島有事に備え、韓国在住の米市民を安全な地域に輸送する「NEO訓練」を行っている。もっとも、これは韓国国内での避難訓練で、国外への脱出訓練ではない。ところが、昨年9月に北朝鮮が5回目の核実験に踏み切ると、ソウル駐在の米軍家族ら60人を国外退避させる脱出訓練を実施。今年6月には訓練参加者を一気に1万7000人以上にまで増やして再び訓練を行った。

 軍事ジャーナリストの世良光弘氏が言う。

「昨年の訓練は米軍の家族らをヘリコプターでソウル南方の京畿道・平沢の米軍基地に移動させ、C130輸送機で沖縄まで運ぶというものでした。今年の大規模訓練は、大型輸送機C17『グローブマスター』に避難者を分乗させ、移動距離も横田基地まで延ばし、神奈川県のキャンプ座間や厚木基地の宿泊施設に移送しました」

 避難者に許される所持品は最大で27キロまで。訓練は生物・化学兵器による攻撃を12時間防止できるマスクを着用したり、実戦的かつ綿密に行われる。

 トランプ政権は近く金正恩に「軍事的警告」を与え、朝鮮半島近くに原子力空母やB1戦略爆撃機、ステルス戦闘機F35を飛来させる案も浮上しているという。CIAによる避難訓練の点検は「いよいよ」ということなのか。

「コリア・レポート」編集長の辺真一氏がこう言う。

「米軍はすでに北朝鮮への奇襲的な先制攻撃に向けて一部の在韓米国人を隠密裏に国外避難させている可能性があります。しかし、作戦を確実に成功に導くために米軍が具体的な計画や進捗状況を明かすことは絶対にありません。だったらなぜ、CIAが退避計画を“点検”したという情報が今回流れたかといえば、金正恩の動きを牽制するために米国が意図的にリークしたのでしょう。国外退避=臨戦態勢の演出につながります。実際、クリントン政権下の1994年に北朝鮮の核施設への先制攻撃を決断しようとした際、米国は駐韓米大使を通じて米国人に国外避難指示を出しました。金正恩は今、どれだけの在韓米国人が国外退避したのか気が気ではないと思います」

 米国と北朝鮮のつばぜり合いと心理戦は続く。