ふだん何気なく着ているTシャツがどのようにして作られているのかは意外と知らないものです。しかし、原材料の綿花栽培から縫製までの全過程を調べると、環境問題と不可分の現状があるのだというのをまとめて説明しているのが、Tシャツの一生とそれにまつわる問題をまとめたムービー「The life cycle of a t-shirt」です。

The life cycle of a t-shirt - Angel Chang - YouTube

クラシックな真っ白のTシャツを考えてみましょう。



全世界では1年間に20億枚のTシャツが販売されています。Tシャツは世界でも最も一般的な衣料品といえます。



しかし、どこで、どうやってTシャツが作られているのかを考えると、そこに潜む環境への影響についてわかってきます。



Tシャツの製造工場は、アメリカ、中国、インドが典型的です。



育てられた綿花から、原材料となるコットンが収穫されます。



専用のマシンで丁寧に回収されたコットンは……



タネなどの不純物を取り除いた後、圧力をかけて押し固められて……



ヒモで固く結ばれると、ベルトコンベアで運ばれます。



綿花の栽培には膨大な量の水が必要です。Tシャツ1枚を作るのに必要な水は2700リットルで、バスタブ30杯分に相当します。



さらに大量の農薬も必要。当然、農家の健康や周辺の自然環境に悪影響を与えます。



農薬を使わないオーガニックコットンも栽培されていますが、全体の1%にも満たない量です。



工場から出荷したコットンは、トラックや船でインドや中国の工場に運ばれてきます。



工場でコットンは、混ぜられて、薄くされ、とかれ、引っ張られ、伸ばされ、ねじられて……



ロープ状の「Sliver」と呼ばれる状態にされます。



その後、織機で灰色の生地が編まれると……



熱や化学薬品を加えられて柔らかくされ、漂白もされます。



脱色もしくは染色された生地は……



さらに、70%の生地が鮮やかな色に染められます。



染色の過程では、カドミウム、鉛、クロム、水銀などの有毒物質が使われており……



そのほかにも有害な物質が、排ガスや排水として放出され環境を汚染しています。



ほとんどの工程が機械化されたおかげで、ここまでの段階では人の関与はかなり減っているのは事実です。



工場を出た生地は、バングラデシュ、中国、インド、トルコに運ばれ、そこでは人間の手でTシャツの形になります。



なぜなら生地を縫い合わせる工程は、まだ機械化が難しく、人間の手で行われているから。



中国を抜いて世界最大のTシャツ製造国になったバングラデシュでは、450万人がTシャツ工場で働いています。これらの労働者は月額68ドル(約7400円)という薄給でTシャツを縫っています。



Tシャツ工場で製造されたTシャツは、船、列車、トラックで世界中に運搬され、所得の高い国で販売されています。Tシャツが消費者の手にとどくまでに、大量の二酸化炭素などが排出されているというわけです。



南米などでは、綿花の栽培からTシャツ製造までを一貫して行い、二酸化炭素の排出を減らそうという取り組みもありますが……



Tシャツを巡る二酸化炭素排出量は、全世界全体の10%にも及ぶと試算されて、増加傾向にあるとのこと。



安い衣料品を求める声が高まるにつれて、Tシャツがもたらす環境への悪影響は強まる一方です。



1994年から2014年までの20年間に、世界全体の衣料品製造量は4倍にまで増加し、年間800億着もの衣服が製造されています。



こうして、Tシャツは消費者の下に届くことになります。



アメリカの一般家庭では、1年間で平均400回も洗濯が行われ、1万6000ガロン(約6万リットル)の水が使われます。そして、乾燥では洗濯よりも多くのエネルギーが使われます。



過去20年間の間に、巨大な衣料品メーカーやファストファッションが現れることで、世界中でライフスタイルが大きく変わりました。



ファッションは石油に次いで2番目の汚染源になっています。



この問題の解決のために、例えば古着を購入したり……



リサイクル材料を使う服を選んだり……



なるべくエネルギーを使わないように天日干しで乾燥させたり……



破れた服を雑巾として再利用したりといった行動が考えられます。



自分が身につけるTシャツは本当に必要なのか、どれほど環境に負荷をかけているのかを想像することが、環境問題を解決する鍵になりそうです。