焦点:トランプ政権、北朝鮮制裁強化で外交的解決は可能か

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[ワシントン 6日 ロイター] - トランプ米大統領は、北朝鮮の核・ミサイル開発を巡る危機を終わらせるための適切な軍事的選択肢が今のところ見当たらない以上、最終的には外交手段を駆使するしかないだろう。

しかしトランプ政権は当面石油禁輸を含めた制裁強化を追求する構えで、融和姿勢と受け取られかねないような譲歩を拒み、北朝鮮と交渉する前にもっと圧力をかけなければならない、と主張している。北朝鮮側も、米国への核攻撃能力を完備するまで交渉に応じる気はなおさらない。

欧州連合(EU)の北朝鮮政策調整に携わるある高官は「北朝鮮は対話に興味を持っていない。金正恩朝鮮労働党委員長は、直近の核実験で誰の声にも耳を傾けないとのメッセージを送った」と述べた。

このためロシアや中国などがいくら呼び掛けたとしても、米国と北朝鮮が直接交渉に臨むことを後押しする材料は存在しない。

トランプ政権は、国連が北朝鮮への経済制裁を強め、同国が行動を変えて交渉を始めるように圧力をかけるべきだと訴えている。

6日には米国の新たな制裁案が国連安全保障理事会内に出回った。ロイターが確認したところでは、米国は石油禁輸のほか、北朝鮮の繊維輸出や同国の労働者雇い入れの禁止、金正恩氏の資産凍結と渡航差し止めなどを求めている。ただしこれが中国やロシアの支持を得ているかどうかは不明。この2カ国の意見は、制裁と圧力だけでは北朝鮮の核開発問題は解決しないというものだ。

実際10年にわたる制裁措置は北朝鮮の核開発スピードを弱める効果がなく、今や最終目標が近づいてきている以上、後戻りしそうにはない、と外交関係者や専門家は話す。

<崩れた想定>

韓国のムン・ジョンイン大統領統一外交安保特別補佐官は、オバマ前政権が打ち出した北朝鮮に対する戦略的忍耐方針について「これは時間を味方にするもので、経済制裁がいずれは金正恩体制と北朝鮮経済の崩壊をもたらし、その打撃に耐えきれずに交渉のテーブルにつくという流れを想定していた」と指摘した。

その上で「しかしこれらの想定は間違いだったことが分かっている。北朝鮮経済は制裁強化に速やかに順応したばかりか、10年余りの経済的苦境にもかかわらず核兵器プログラムを進捗させることに成功した」と説明している。

カーネギー清華グローバル政策センターの北朝鮮専門家、Zhao Tong氏によると、北朝鮮がれっきとした核攻撃能力を開発したと米国がやがて認識し、核武装廃棄と核開発凍結という従来の交渉の前提条件を撤回してくれるだろう、と北朝鮮側は期待している。「北朝鮮の立場では、この戦略は機能し続けている」という。

ほとんどの専門家も、もはや北朝鮮が制裁解除や経済支援ないし米国との平和条約(1950─53年の朝鮮戦争の正式な幕引き)と引き換えに、核兵器を放棄すると考えるのは現実的でない、とみている。

かつて核拡散防止問題担当の米政府高官だったブルッキングス研究所のロバート・アインホーン氏は、北朝鮮は米国の侵攻を受けたイラクや、大量破壊兵器開発中止を決めたリビアの独裁者、故カダフィ大佐がどうなったかを学び、自らの生存に必要な重要資産である核・ミサイルを決して手放せないとの教訓を得ている、と解説した。

こうした中で中国は、米国が韓国との大規模軍事演習を停止する見返りに北朝鮮が核・ミサイル実験をやめるという提案をしているが、米国は受け入れる姿勢を見せていない。

しかし外交的な対応が遅れれば遅れるほど、北朝鮮が米本土を核ミサイルで攻撃する能力を獲得し、強い立場で交渉の場に現れる公算は大きくなる。

(Matt Spetalnick、David Brunnstrom記者)