日本マイクロソフトのエバンジェリストが教える「資料作成」のコツ

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資料を作成する際、「どうすればわかりやすくできるのか」と頭を悩ませることは少なくありません。そこでぜひとも活用していただきたいのが、『実例で見る! ストレスゼロの超速資料作成術』(西脇資哲著、あさ出版)。日本マイクロソフト株式会社業務執行役員/エバンジェリストであり、IT業界屈指のプレゼン講師としても活躍する著者が、資料作成のコツを明かした書籍です。

人は資料を見るとき、その人の視点で内容の可否を判断します。

これはいわば、資料を作成するときには、相手の目線を気にしなければいけない、ということにもなります。

とはいえ、この相手目線、ポイントがわからなければすれ違いを生むだけ。

相手によっては、「何が言いたいのかよくわからない」と突き返されることもあるでしょう。

そこで本書では、「相手目線に立つ」をテーマに、読み手のストレスも作り手のストレスもゼロとなる資料作成のコツをまとめました。(「プロローグ」より)

わかりやすい資料は「考えるストレス」を相手に与えないもの。また、相手を動かすには、資料として成立するための「基本情報」と、相手が行動したくなる「プラスαの要素」が不可欠。そもそも資料の役割とは「相手の行動を促すこと」であり、「動くときの判断材料になること」。そのためには、

1. 「相手の立場」

2. 「相手の行動」

3. 「相手の時間」

(24ページより)

を考えた資料になっているかどうかが重要。著者のそういった考え方は、ひとつひとつが強い説得力を感じさせます。この点を踏まえ、「Part 2 わかりやすい資料はどこが違うか? 基本を知ろう!」のなかから、いくつかのポイントをピックアップしたいと思います。

【体裁】つい読んでしまう“仕掛け”をつくる

ものを見るとき、人の視線は左上から右下へと、ローマ字のZを描くように流れていくもの。広告業界では「Zの法則」といわれていますが、これは資料についても重要なポイント。相手が資料を手にしたとき、最初に目にするのはページ左上の項目、トップの部分だというのです。そのため企画書、報告書、議事録、提案書など、資料のフォーマットが違っても、この部分で資料の全体像が一発でわからなければならないということ。左上から右下へ、つまりページ全体へと視線を誘導していく“仕掛け”が必要だというわけです。

1. 段落の位置や文字の大きさに差をつける

まずは資料のトップにある「見出し」で視線を捉えます。

見出しとの差を印象づけるため、本文は段落ごとに字下げしたり、文字を小さくしたりします。すると、差がつくことで、視線は自然と下がってきます。

2.「ステップダウン」でメリハリをつける

次の【図-1】は、文字の大きさがまったく同じ文章です。

一方、【図-2】は文字に強弱があり、かなり見やすいのではないでしょうか。

(33ページより)

Image: あさ出版
Image: あさ出版

2つの違いは、見出しの文字を大きく強調したり下線を引いてメリハリをつけたこと。これは、「ステップダウン」という方法だそうです。体裁を整えるときはこのように、段落を下げたり、文字の大きさにメリハリをつけるなど、文字のかたまりがトップから右下に向かってスーッと収束していくように心がけるといいそうです。(32ページより)

【空白】目立たせたいときは「空白」が効果的

資料をつくるときにやってはいけないのが、文字で埋めすぎてしまうこと。「ていねいに説明したい」「なんとしても受け入れてほしい」という思いが強いほど、あれこれ情報を詰め込んでしまいがち。しかしその結果、多くの場合は資料としての目的とはズレてしまうことに。

資料が、受け取った相手の行動を促すためのツールである以上、相手が求めている情報をわかりやすく伝えられれば、そのぶん仕事もスムーズにいくもの。そのため、

見やすいこと

適度なスペースがあること

(37ページより)

を意識しなければいけないということです。

Image: あさ出版
Image: あさ出版

視線の流れを妨げず、相手の知りたい情報を相手の知りたい順序で見ることができ、内容に過不足がないこと。さらに、ある程度の空白があるため、書き込んだり、回覧したりとアクティブに使えること。わかりやすい資料には、そのような共通点があるもの。文字で埋め尽くした資料より、空白を取り入れたほうがポイントを強く印象づけられるのです。(36ページより)

【文字量】文章はNG、基本は「箇条書き」で

簡潔な文章は、分かりやすい資料づくりに不可欠。基本は「箇条書き」で、なるべく1行に収めるべき。複数行にわたる長々とした説明は避けるべきだといいます。たとえば文末は、

・「〜は拡大します」 → 「〜が拡大」

・「〜が増大する」 → 「〜が増大」

・「ミスが発生しました」 → 「〜というミスの発生」

(40ページより)

などと体言止めがベスト。ひと目で内容がわかり、インパクトが強いので、少ない文字数で言い切ることができるわけです。

なお紙の場合、文字はA4用紙1枚に収まるのが見やすい文章。とはいえ情報のやりとりはいまやデータが主流で、資料を見る場所や携帯も、会社のパソコンから手元のスマートフォンに移行しつつあります。そう考えると、理想は次のとおりだとか。

・スマホの1画面に収まるデータ量にする

・1行あたりの文字量はだいたい30〜40文字

(41ページより)

Image: あさ出版
Image: あさ出版

なお、最近のメールで流れてくる情報の大半は、「フロー」と呼ばれる情報が多くなるとか。

・ フロー:新しく発生して次々と流れてくる情報(企画書、報告書など)

・ ストック:日々蓄積されて、あとで参照する情報(株価、建築図など)

(41ページより)

フローの場合、データはスクロールして見ていくため、大事な情報ほど1画面目に持っていくべき。2画面以降になると、よほど魅力的でない限り見てもらえない可能性も出てくるわけです。(40ページより)

【フォント】フォントは「3種類以内」で統一感を

ひとつの資料でフォント(書体)を混在させるべからず。フォントを使うときは、次の4タイプから考えるといいそうです。

・ 明朝体→繊細で丁寧な印象を与える

・ ゴシック体→説得力がある

・ ポップ体→軽い

・ メイリオ、游明朝、游ゴシック→読みやすい最近のトレンド

(60ページより)

迷った場合は、「明朝体」「ゴシック体」「メイリオ」の3種類を。また、流行りのフォントとして「游明朝」「游ゴシック」(字游工房)などを使うのもひとつの手だそうです。

Image: あさ出版
Image: あさ出版

なおフォントが変わると、数字の印象も大きく変わるもの。ビジネス文章では「3桁ごとにカンマを打つ」「表記は半角にする」が原則。資料によって、1と7が見にくくないか、O(オー)と0(ゼロ)が混在していないかも注意が必要。(60ページより)

これらはほんの一部ですが、見てのとおりとても実践的。すぐに役立てる情報満載の内容です。さらには、業務日報、企画書、業務報告書、提案書、稟議書、議事録などなど、資料のつくり方をフォーマット別に解説していることなども、本書の強力なフック。本書を有効活用すれば、ワンランク上の資料を作成するスキルが身につくのではないかと思います。