色合いや風合いを楽しめる織物のうち、裂き織りと呼ばれる技術を習得しようとする子供が増えている。

 今では物珍しい織機を操る体験ができるのに加え、生地を使いポーチやトレイなどに仕上げた作品はどれも自分だけのオリジナルで、ふだん持ち歩けるのが魅力のようだ。(松本浩史)

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 ■「布の命」を再生

 「両足をきちんと踏み木に置いて」

 「●(おさ)をもっと強く打ちましょう。トントン…」

 長野市立博物館で毎月第4土曜日に開かれている裂き織り教室には、家族連れで訪れた小学校低学年の子供らが慣れない手つきで織機の操り方を教えてもらった。初めての子供もいるし、複数回来ている子供もいる。

 裂き織りとは、たて糸に通常の糸を用い、よこ糸の代わりに、細くひも状に裂いた布を織り込む。踏み木を踏むことで、くしの目状の●を通ったたて糸が上下に分かれ、その間に細長い楕円(だえん)形の板杼(いたひ)を左右から順番に通す。板杼には布を巻いた小管(こくだ)が取り付けられている。

 最後に●を手前に「トントン」と引いて、網目を整える。

 千曲市から家族で来訪し、初挑戦した小学1年生の小池優衣ちゃんは「『トントン』とやるのが楽しかった。生地もちゃんとできてうれしかった」と笑みをこぼした。

 布は押し入れに眠っている布団とか、何年も着ていない着物とか何でもいい。指導に当たる岡田くに子さんは「裂き織りで仕上がった織物は、布の命を再生したものです」と話す。リサイクル精神の発露だというわけだ。

 ■「魅力を知って」

 同博物館では、一般家庭の納屋とかにあった戦前・戦後時分の織機を8台所蔵している。どれも所有者に寄贈してもらったという。当時を懐かしむ年配者向けの教室を平成22年に開いたところ、約10人が参加した。この人たちが今、裂き織りの技術を子供に伝授している。

 その後始めた子供向けの教室には当初、1人、2人が来る程度だったという。ところが最近になって8〜10人が顔をみせるようになった。使用している織機は5台と台数が限られているので、参加した子供が存分に楽しむにはちょうどいい人数だ。

 昔ながらの生活を体験し、苦心して織った生地はポーチやトレイ、ポシェットに生まれ変わり、既製品にはない愛着も湧く。

 岡田さんは「裂き織りに興味を持つ年配者も増えています。裂き織りの技術が子供にも伝わり、魅力がもっと広がればうれしい」と話している。

●=くさかんむりに成