パソコンで作品を描くイラストレーターの烏山伸久さん=明石市大久保町ゆりのき通

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 ■風景画をパソコンで描く

 手足に重い障害があるイラストレーター、烏山伸久さん(44)=明石市大久保町ゆりのき通=の作品が、三大公募展「二科展」に入選した。

 ペンを握ることはできないが、パソコンを使い、生まれ故郷の広島の風景をていねいに描き上げた。烏山さんは「自分の作品が、障害や病気で悩んでいる人たちの希望になれば」と話している。

 烏山さんは23歳の時、旅行で訪れていた米領グアムのプールで事故に遭い、頸髄(けいずい)を損傷。胸から下がまひし、車いすでの生活を余儀なくされた。

 「どうして自分がこんな目に遭うのか」。現実を受け入れることができず、毎晩、ベッドで声を殺して泣いた。同僚や友人が見舞いにきてくれても、みじめな気持ちに押しつぶされそうになった。

 だが1年半後、転院した神戸市のリハビリ総合病院で、同じ障害がある人たちと出会ったことが転機となった。「好きな女の子の話をしたり、夜な夜な車いすではしご酒して怒られたり。自分にもまだまだできることはたくさんあるじゃないかと思えるようになったんです」

 退院後、結婚し、IT関係の会社で働くようになった。2人の子供にも恵まれた。「人とは違った車いすでの生活を絵に描いてみたいな」。5年前、自宅近くにできた漫画教室に通い始めた。ペンや絵筆を握ることはできないが、マウスに似たトラックボールを使い、パソコンで描画していく。作品をインターネットで公開すると反響を呼び、イラストレーターとしての活動も行うようになった。作品は、日本イラストレーター協会の年鑑にも掲載された。

 二科展に入選した作品は、出身地である広島県尾道市にある寺院を描いた風景画。境内に生い茂る葉っぱや屋根の瓦一枚一枚まで、こまやかに描いた。烏山さんは「障害があるから、『できない』。僕もかつてはそんなふうに考えていたけど、そうじゃないことを伝えたい」と力を込めた。

 二科展は18日まで国立新美術館(東京都港区)で開催。その後、10月31日〜11月12日には大阪市天王寺区の市立美術館に巡回する。