若者の減少と高齢化に悩まされてきた高知県北西部の梼原町(ゆすはらちょう)で、10年前に発足した高校野球部が起爆剤となり、人口流出に歯止めがかかっている。

 町内唯一の県立梼原高。今夏の全国高校野球選手権高知大会では明徳義塾高と決勝を争ってスタンドを沸かせ、次こそは甲子園にと期待が高まる。異色の過疎対策として注目を集めそうだが、継続に課題も出ている。

 梼原町は愛媛県との境に位置し、中心部は標高約410メートルの高地。町の約90%が森林だ。

 町によると、人口は1950年代後半に約1万1千人だったが、現在は約3600人。梼原高は平成18年の新入生が17人で、県の基準で統廃合を検討しなければならない状況だった。

 「野球部をつくれば若者が残り、町の活性化にもつながるのでは」。同校でこうした考えが出て、翌年に硬式野球部が正式発足。

 25年には、選抜高校野球大会で県立室戸高を全国ベスト8に導いた梼原町出身の横川恒雄監督(65)を招いた。

 狙いは的中する。町外から野球部に入る生徒が増加し、多い年は野球部員43人中40人が町外出身となるほど。同町では近年、転入人数が転出を上回る年度も増えている。

 同町の会社経営、中越春子さん(63)は「テレビ観戦する人も多かったのか、高知大会決勝の日は往来から人がいなくなりました」と振り返る。

 高まる期待に「毎日がプレッシャー」と横川監督。監督を慕っての入部も多く、後継の指導者探しも悩みの種だ。

 「『地域と共に』がなければ野球部は成り立たない」と厳しい視線で話す。