『日本一周電気自動車の旅 10万円で日本一周する方法、教えます』(平野徹/文芸社)

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 私の実家は田舎だ。周囲は木や田んぼに囲まれており、眠りにつく時には虫・カエルの鳴き声に包まれる。最寄り駅も遠い。歩いて2時間弱、自転車で1時間、車で20分ほど。しかし、そんな田舎のコンビニにあるものが設置された。そう、電気自動車専用の急速充電器だ。「こんな田舎のコンビニにも充電器が…」と思いつつ、電気自動車というものが身近なものになりつつあるのだと感じた。

「実際のところ電気自動車ってどうなのよ?」と考えている人は少なくないのではないだろうか。私もその一人だ。「フル充電でどれくらい走るの?」「充電施設は充実してるの?」「ガソリン車と比べてパワーは?」など疑問は尽きない。

 電気自動車に興味はあれども、購入はちょっと…。どんなものなのか、もう少し様子を見たいという方は『日本一周電気自動車の旅 10万円で日本一周する方法、教えます』(平野徹/文芸社)を読んでみるのがいいかも。本書は早期退職した著者が仕事でお世話になった方々への挨拶回りを兼ねて、電気自動車で日本一周するというものだ。電気自動車にまつわる色々な疑問や、お金をかけないで旅を楽しむことができるワザなどが日記形式で紹介されている。

 著者はフル充電でおよそ200キロ走行可能な電気自動車を購入。残り何キロ走ることができるかは表示で確認できるそう。また、当然ながら高速移動を続けていれば走行可能距離は激減する。どのくらいのスピード、距離を走行すると残りの電気量はどれくらいになるのか、という具体的な数値も本書には記載されているので確かめていただきたい。

 さらに、ガソリン車にない機能の回生ブレーキについても書かれている。これはモーターの特性を生かし、電気エネルギーを生み出すもので、イメージとしてはガソリン車のエンジンブレーキを使うと減速効果だけでなく、充電もしてくれるというものだ。このシステムを上手に活用すれば、走行可能距離を節約でき、長い距離を走ることができるという。

 他にも「充電器が最新のものと旧型のものがあり、旧型は装着しにくいので要注意」「充電設備があるところでは、それぞれ独自ルールが存在する」「充電時間(30分)の有効活用法」「走行可能距離はギリギリまで粘らず、余裕を持って」など日本一周という長距離移動を達成した著者だからこそ、伝えることができる教訓が記載されている。さらに、買ったばかりの車を擦ってしまったり、充電施設が故障し、あわや電欠の事態に陥ってしまったり、ナビに振り回されたり、思わずクスリと笑ってしまうようなトラブルもあって楽しく読み進めることができた。

 読後、「電気自動車に乗ってみたい!」と思った私。PHEV(充電した電気を使って走行でき、ガソリンを燃料に走行・充電することも可能)を持つ友人に運転させてもらえないか尋ねてみると、快くOK。友人は助手席で操作を説明、私はウキウキしながら運転席でハンドルを握った。

 実際に電気のみで動く車に乗ってみると、まず驚いたのは音の静かさだ。エンジンが動いていないため、音も振動もガソリン車に比べてほとんど感じない。そして、意外にもパワーがあることにも驚いた。高速道路でアクセルをグッと踏むと、あっという間に100キロ近くまで加速。電気走行でもパワーは十分なようだ。PHEVでの電気走行は友人によれば、通常に走行していればフル充電で30〜40キロほど。10キロ圏内の買い物なら電気のみで走行できそうだ。

 電気自動車が気になっている皆さん、まずは本書でどのようなものかをイメージしてみて、その後ディーラーなどで試乗してみてはいかがでしょう?

文=冴島友貴