副業や兼業がうまくいく人といかない人、その差はどこにあるか?

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 政府が進める「働き方改革」に副業・兼業の推進が主なテーマに挙げられるなか、ビジネスパーソンの間でもこの動きが急速に広がりつつあるといわれます。リクルートワークス研究所がおこなった調査によれば、1年間に一度以上の副業・兼業経験をもっている人の割合は、およそ8人に1人ということでした。

 属性による偏りは少ないようですが、しいていえば年齢別では若者とシニア層の割合がやや高く、企業規模別では中小企業雇用者の割合がやや高く、さらに年収別では、相対的に年収が低い人の割合が高く、本業収入を補填するために取り組んでいる可能性があるとのことです。さらに、副業・兼業をしているほうが、仕事を通じて成長実感を持つ傾向が強く、転職した人の割合も高い傾向だったということです。複数の仕事をすることで視野が広がり、一つの会社、一つの仕事にこだわることがなくなるのでしょう。

 これを企業側から見ると、やはり副業・兼業など認めない方がよいという話になってしまうのかもしれませんが、先行き不透明な今の時代に、会社の一方的な都合で社員を自社に縛りつけたり、反対に放り出したりするのは理不尽です。

 最近では、副業・兼業を条件にした就職や転職も見かけるようになりました。将来に向けて「何か副業を」と考えている人も増えていて、その目的は収入だけでなく、自身のやりがいや社会貢献といったものもあります。いずれにしても、企業に属したままでの副業・兼業は、今後ますます増えていくでしょう。

 ただ、だからといって副業が簡単に始められるかというと、私はそれほど甘くないと思っています。複数の会社に“雇用”されるような副業であれば少し違いますが、「新たな事業を」と考えるのであれば、それは副業であっても“起業”であり、本人は“経営者”になります。

■副業・兼業に求められる「心構え」とは?

 これは副業・兼業とは少し違いますが、私の周りには個人の専門性を活かして複数の企業との契約で仕事をしている人が大勢います。インディペンデント・コントラクター(IC)などと呼ばれ、私もそのような働き方をしている一人ですが、他にも士業などで独立している人や、フリーランスといわれるような人も、ワークスタイルは似ていると思います。どちらかといえば、外資系企業や伸びざかりのベンチャー企業が活用には積極的で、最近は日系の大手企業などでも活用する会社が増えてきました。

 こういう働き方の人たちにとって、仕事は“事業”なので、案件や顧客の開拓、営業や広報は自分でしなければなりません。これは昔ながらの突撃型の営業ではなく、ウェブやメディアを介した問い合わせや、人脈を介した依頼や紹介もあります。ただ、仕事は自分で探さなければならないことに変わりはありません。中にはそんなことをしなくても仕事依頼が絶えない実力者もいますが、多くの人はそこまでではなく、営業につながりそうな何かしらの活動をしています。

 そんな人たちが、営業の大変さや仕事の不安定さを嘆いてつらそうにしているかといえば、まったくそんなことはなく、企業勤務の人たち以上に元気でいきいきとしています。その理由として私が思うのは、そういう活動を大変とかつらいとはあまり感じない、自立に価値を見いだす経営者マインドがどこかにあるからです。そもそもつらそう、不安と思う人はそんな働き方はしないでしょうし、やってみたが働き方が合わずに企業勤務に戻ったという人もいるでしょう。

 この経営者マインドが必要だということは、それが副業・兼業であっても同じだと思います。事業である限り、それが本業でも副業でも、提供されるサービスや商品、専門性に相手が価値を感じなければお金は払ってもらえません。

 私の仕事は人事コンサルタントですが、同じように企業を支援する仕事をやりたいという人にときどき出会います。できそうな人はいますが、反対に絶対に無理だと思う人もいます。そういう人は言葉の端々に「片手間でできそう」という甘さが見え、「自分はこれができる」と言いますが、それを相手が望んでいるかどうかの視点がありません。仮に副業であっても、結果は同じでしょう。

 このように副業・兼業でも、それが事業であるという心構えがなければ、始めてもうまく行かないことが多いと思います。一方、本業があることで、リスクを減らしながら新しいことを始められる、チャレンジできるという利点もあります。そういう環境を利用する人が増えるのであれば、それはとても良いことではないでしょうか。

文=citrus ユニティ・サポート 小笠原 隆夫