Koboパーク宮城。観客は敷地内で販売している食べものを手に持って観戦。


 プロ野球は両リーグとも優勝チーム決定間近となった。今後はクライマックスシリーズや日本選手権シリーズも控え、野球場での観戦にも熱が上がっていく。

 ひたすら応援という客もいる一方、飲食しながら観戦という客もいる。球場内の売店で、または売り子から買うのもいいが、少し値が張る。そこで、野球場外で買った飲食物を持ち込んで、座席で飲食しようとする人も多い。

 だが、各球団・球場の観戦ルールを調べてみると、飲食物の持ち込みを禁止しているところもある。

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ビンとカンは禁止、アイスボックスには曖昧さも

 プロ野球の各球団の本拠地球場がホームページにスタジアムルールやお願いなどとして掲げている、飲食関連物の持ち込みについての記述を表にまとめた。

プロ野球12球団の本拠地球場での飲食関連物の持ち込み禁止事項。空欄は記述なし。「缶」の表記は「カン」で統一。各球団または各球場のホームページを参照に作成。


 まず、どの球場でも、持ち込み禁止となっているのがビンとカンだ。かなり定着したルールといえよう。記述のない球場もあるが、ビンやカンに入った飲みものを持ってきた人は、基本的にどの球場でも備え付けの紙コップに移し替えることができる。

 どこもビンやカンが持ち込み禁止なのは、日本野球機構の「試合観戦契約約款」に条文があるからだろう。「第2章 観戦契約」の「第5条 持込禁止物」には、「ビン、缶類、アイスボックス及びこれらに類する物」を持ち込んではならないとしている。

 ただし、アイスボックスについては若干、球団または球場によりルールが異なる。阪神タイガースは、年に10前後の主催試合を行う京セラドーム大阪では、クーラーボックスなどは持ち込めないとしているが、本拠地である阪神甲子園球場についてはその記述がない。また阪神甲子園球場のほか、札幌ドーム、横浜スタジアム、Mazda Zoom-Zoom スタジアム広島も、クーラーボックスやアイスボックスの持ち込みについては触れていない。ただし、どの球場ホームページも、上記の「試合観戦契約約款」は掲載している。やや曖昧さが残される。

ペットボトル、ハマスタは「大量は禁止」

 球場により、持ち込み可能か不可能かが分かれるもののひとつが、ペットボトルだ。

 ペットボトルについては持ち込み禁止としていないのが、明治神宮野球場、阪神甲子園球場、福岡ヤフオク!ドーム。一方、東京ドームやZOZOマリンスタジアムでは、容量が一定以上を超えたり凍らせたりしているペットボトルのみ、持ち込み禁止としている。

 横浜スタジアムには「少量は除く」という、他に例のない断り書きがある。ペットボトル飲料を持ち込み禁止にして、熱中症で倒れられることのリスクを考慮してのことだろう。常識の範囲で持っていって構わないと考えてよさそうだ。

 その他の球場では、ペットボトルも持ち込み禁止となっている。

飲食物持ち込み禁止も、Koboは厳格、マリンやナゴドは緩やか

 食べものについても、実は持ち込み禁止かどうかで二分しているのだ。

「飲食物」を持ち込み禁止と明記しているのは、札幌ドーム、Koboパーク宮城、横浜スタジアム、ZOZOマリンスタジアム、ナゴヤドーム、京セラドーム大阪、福岡ヤフオク!ドームの7球場。理由は何か。横浜スタジアムは「衛生面上禁止させていただいております」と理由を述べる。ZOZOマリンスタジアムも「衛生上の理由からご遠慮ください」としている。

 しかし、食べものの持ち込みを禁止としている球場の間でも、厳しさには差がある。特に厳しいと不評なのは、Koboパーク宮城だ。飲食の持ち込みがないか厳密にチェックされる。

 その一方、ZOZOマリンスタジアムはさほど厳格ではないようだ。海浜幕張駅の食品店などで惣菜を買い込み、入場時に何も言われずスタンドでいつもそれを食べていると証言する客もいる。ナゴヤドームも、同じ市内にあるレゴランドとは違って、そう厳しいものではないという。

 筆者は、Koboパーク宮城の厳しさを知らずに、近くのコンビニエンスストアで食べものを買い込み、やむなく球場外の広場でそれらを食べてから入場した経験がある。郷に入りては従うしかない。ただし、Koboパーク宮城の座席の価格設定は安めで、例えば外野のビジター応援エリアは大人1000円、子供400円で入れる(開催日により変動する)。チケットの価格は良心的と見れば、少しは納得できるだろうか。

 逆に、他球場に比べると緩すぎる印象もあるのが明治神宮野球場だ。ここもビン、カン類を持ち込み禁止としているが、客席で缶ビールを飲んでいる客が散見され、球場内には「カン・ビン」のくずかごも置かれている。

明治神宮野球場。飲食持ち込みルールが緩いほうとされる。


Jリーグは飲食物持ち込み基本オーケー

 プロ野球とよく比較されるJリーグでの飲食関連品持ち込みルールはどうか。

 Jリーグにも、全クラブチームに共通する観戦マナーとルールがある。そこには「スタジアムに持ち込めないもの」として「ビン、缶類」とある。これを受け、どのクラブチームのホームページもビンとカンの持ち込み禁止を明記している。

 ただし、「食べもの」の持ち込み禁止を明記しているクラブチームは見られない。この点は、球団によって方針の分かれるプロ野球と大きく異なるところだ。

適度なマナーを守れれば・・・

 野球場の観戦ルールの文面通りだと、飲食物の持ち込みはかなり厳しく禁止されているという印象もある。だが、カンやビンはともかく、食べものの持ち込み禁止をルール通りに厳しく行っているのは、Koboパーク宮城ぐらいに限られている。ここでも、プロ野球にありがちな「暗黙のルール」のようなものがあるということか。

 野球場の営業権を持っている球団や、野球場の運営会社からすれば、試合の安全性確保のほか、収入源として飲食代を確保したいという狙いが、飲食物に関する禁止事項の裏側にはあるのだろう。

 客側からすれば、カンやビンは別として、その他の持ち込み禁止事項がより厳密に適用されてしまうと、野球観戦そのものが遠のいてしまうかもしれない。「野球を楽しむ」という言葉に「試合を観ながら飲んだり食べたりしてよい時間を過ごす」といった意味を込めている人もいるはずだ。適度なマナーを守ることが、今の緩めの状況が維持されることにつながるのではないか。

筆者:漆原 次郎