山尾志桜里衆議院議員(Rodrigo Reyes Marin/アフロ)

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 一部の国会議員を指す表現として、「魔の2回生」という言葉がある。これまでは、不祥事や不規則発言が絶えない自民党の当選2回目組を指して使用されてきたが、どうやら民進党の2回生にも当てはまるようだ。

 山尾志桜里衆議院議員も、まさに当選2回の2回生だ。前原誠司新代表の下で始動した執行部の重要ポスト、党運営の要であり事実上のナンバー2といえる幹事長職に大抜擢される予定だったが、執行部人事を決定する両院議員総会を前に立ち消えとなった。

 その理由は、まだ経験が浅いとして党内で懸念する声が多かったからなどと表向きは挙げられているが、実は山尾氏の不倫が原因だとも報じられている。しかも、そのお相手が、年下の不倫・離婚専門の弁護士といわれている。山尾氏は民進党大島敦幹事長に離党届けを提出したと伝えられているが、かつて自民党議員の不倫問題を厳しく非難していたわけで、自分自身のことも真摯に説明してもらいたいところだ。

 さて、山尾氏を要職に起用するか否かについて新執行部が揺らいだ問題の本質は、山尾氏の不倫そのものではなく、代表選での論功行賞や、山尾氏が目立つ・注目されるということを優先して、身体検査も中途半端なまま、執行部入りさせる人事を進めた前原氏の軽率さ、さらには民進党(なかんずく旧民主党系)の軽さにあるだろう。

 山尾氏は2回生とはいえ、民主党への強力な追い風が吹いていた2009年の衆院選で圧勝したものの、次の12年の逆風選挙で落選し、前回14年の選挙で返り咲いており、決して政治家として順風満帆ではない。当選は2回とも小選挙区での勝利ではあるが、一度は落選し、そして直近の選挙では僅差での勝利ということを考えると、必ずしも選挙に強いとはいえない。

 なんといっても、愛知県は労働組合が強いので、民主党の選挙は組合が支えていれば比較的当選しやすいと言ってもいいような状況だ。極端な言い方をすれば、かつぐ御輿がある程度よければ、比例復活も含めて当選はそう難しくないということだろう。もっとも、今回のことで山尾氏は質の悪い御輿であることが判明してしまったようなので、来るべき衆院選では担いでもらえるかどうかもあやしい。

 つまり、その資質からしても、幹事長に適任だったか疑問符を付けざるを得ない。加えて、2回生に幹事長が務まるのかという意見や批判はあってしかるべきで、本来ならば人事を進める段階で、そうした意見を取り入れて人選の対象から外さなければならない。それ以前に、2回生を幹事長にするという突拍子もないことを考えるべきではなかった。

 女性議員で、知名度も比較的高く、かつ目立つというところが決め手になったと思われるが、代表を補佐して党務全般を統括するという重い任務を担う幹事長職への人選をそうした基準で進めたのであれば、代表自身の適性や認識を疑わざるを得ない。

 そもそも、岡田克也代表時に山尾氏を政調会長に抜擢したことすら、「早すぎた」「問題だったのではないか」といった意見が関係者から聴こえてくるぐらいで、最初から幹事長候補にすべきではなかったのではないか。

●前原執行部は民進党最後の執行部になる可能性も

 今回の新執行部人事をめぐる騒動で、例えば時事通信の報道では「前原民進党は船出から座礁した」などと評されている。しかし、筆者からすれば、元来持っていた軽さや足腰の弱さ、近視眼的な発想といった旧民主党系の悪い体質があらわになっただけにしかみえない。すなわち、前原代表下で民進党の“民主党回帰”は決定的になったといえる。また、臨時国会や10月の衆院トリプル補選でも、同様の軽率な判断や行動で、かつての民主党のように迷走することは十分想定される。

 山尾氏は検察出身で、政策立案の能力は決して低くないが、こうした旧民主系の体質によって潰されてしまったといっていいだろう。つまり、民進党の旧民主党系は、人材育成どころか自ら人材潰しを行っているといえ、ただでさえ人材難かつ離党者が相次いでいるなか、遅くともあと1年数カ月以内で衆院選があるのに、何を考えているのか、何をしたいのか、理解不能だ。

 前原執行部では、民進党の未来が明るくないことは確かだ。もしかしたら、民進党としての最後の執行部になるかもしれない。
(文=室伏謙一/政策コンサルタント、室伏政策研究室代表)