年代別代表での実績が申し分ない中村(27番)。先日、J2山形への入団を発表した。写真:安藤隆人

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「影山(雅永)監督はいろんな選手を試しながら選んでいっていると思うので、自分にもチャンスがある半面、悪いプレーをしたら変わりはいくらでもいるということ。特にフォワードは今回多くの選手を選んだし、かなり生存競争は激しいと思う。そこに打ち克っていけるだけの気持ちと集中力が求められると思う」
 
 こう語るのは、青森山田のFW中村駿太だ。9月4日から大阪で行なわれた3日間のU-18日本代表候補合宿。今年の11月にモンゴルで開催されるU-19アジア選手権予選を控え、重要な選考と強化の場となった。なかでも注目どころで、最もポジション争いが激しくなしろうなのが、前線だ。
 
 今回、影山監督は田川亨介(サガン鳥栖)、中村、平墳迅(清水エスパルスユース)、安藤瑞季(長崎総科大附)、古川大悟(ジェフ千葉U-18)、町野修斗(履正社)という6人のFWを選出した。
 
「僕は『コアメンバー』という呼び方をしませんが、13、14歳からエリートプログラムに入り、15歳から代表に入ってずっと呼ばれているメンバー以外にも、インターハイ、クラブユース選手権、高校選手権などを経験して伸びてくる選手がいる年代なんです。将来性のあるいろんな種を持った選手はたくさんいるので、そういう選手たちに刺激とチャンスを与えたいという想いから、それぞれ違った特徴を持っている選手たちを選びました」
 
 影山監督がそう語ったように、伸びが感じられる選手は迷わず招集し、チャンスを与えるのが今回の選考のスタンスだった。さらに「個性的な選手を選んだつもりが、なぜか長身の左利きが多いんですよ」と話して笑いを誘ったように、平墳(180センチ)、古川(178センチ)がそれに該当し、町野(181センチ)も左右両足で強シュートが撃てるストライカーだ。
 
 181センチで右利きの田川は、この年代で唯一、今夏のU-20ワールドカップを経験した、早生まれのプロ選手。安藤と中村は170センチ台だが、ともに足下の技術とアジリティー、突破力に秀でており、多士済々である。
 
 安藤に関しては負傷の影響でほとんど別メニューになってしまったが、2日目、3日目に行なわれた紅白戦では、それぞれのFWが生き残りをかけて、並々ならぬ気迫とアピールを見せた。
 
「これまでは上の年代のチームで、先輩を見て学んでいたのですが、今回は自分が一番上で、下からの突き上げを受ける側になった。U-20ワールドカップで世界の厳しさを体感したので、それを伝えていきたいし、下からの突き上げに恐れたり、受け身になるのではなく、自分の良さをしっかりと出してやることを意識したいと思う」
 
 そう話す田川は、フィジカルの強さと鋭いスペースへの飛び出しを見せて攻撃を活性化させた。田川と2トップを組んだ平墳も、強烈な左足のキックと前への推進力を駆使し、存在感を示そうとしたが、2日目の紅白戦の1本目で負傷。その後は別メニューとなり、不本意な出来に終わった。
 
 初招集となった町野は懐の深いボールキープと、強烈なミドルシュートを放つなど、出色の出来を披露。「もっと積極的な姿勢を示したい」と意欲に溢れた3日間を過ごした。千葉ですでにトップチームデビューを果たしている古川も、持ち前のフィジカルの強さを活かした突破を繰り返した。
 
 昨年のU-19アジア選手権を経験した唯一の選手で、久しぶりの代表招集となったのが中村だ。質の高いオフ・ザ・ボールの動きと、判断の早さ、ゴール前の飛び込みを見せ、手応えを掴む3日間となった。
 
 怪我という不運に見舞われた選手もいたが、今回の代表合宿では、それぞれが持ち味をアピールした。
 
 安藤の言葉だ。
 
「アジア1次予選も選ばれるだけじゃ僕は満足できなくて、自分の一番良かった切れを取り戻すために目いっぱい努力して、毎日頑張っていかなきゃいけないと思っています。そうしないと自分がもったいない。U-20ワールドカップもしっかり出場権を獲る。自分たちの代で2大会連続を潰すわけにはいかないので、後に続けるようにやりたいです。フォワードはいろんな選手がいる中で、周りに刺激をもらいながら、自分のパフォーマンスを上げたいという気持ちがある。巧いひとと一緒にプレーして、もっと吸収していきたい」
 
 影山監督の狙い通り、誰もが大きな刺激を得る結果となった。FW陣はさらにここに、奥抜侃志(大宮U-18)、187センチの大型ストライカー・原大智(FC東京U-18)など、タレントが控えている。今回選ばれたメンバーも決して安泰ではない。そんな危機感が彼らを刺激し、成長を促していくだろう。
 
 大きな収穫を手にした影山ジャパン。とりわけ前線は、ハイレベルな競争が望めそうだ。
 
取材・文:安藤隆人(サッカージャーナリスト)