生まれた時から勝ち組。

そう言われる一方で、「親の七光り」「二代目は会社を潰す」と揶揄されることもある二世たち。

親の潤沢な資金を受け継ぎ、悠々自適に暮らしているようにも見える彼ら。

そんな彼らの生態を暴いていこう。

これまでに、身分を隠しながら嫁を探す幸一郎や親の資産格差で悩む、慶應幼稚舎出身の航平、急に没落した鉄平などを紹介した。

今回は?




<今週の二世くん>

名前:貴弘
年齢:30歳
職業:大手テレビ局勤務
年収:約1,200万
居住地:六本木
親の職業:政治家


忘れられない、人がいる。


貴弘は、有名な政治家を父に持つ。とは言っても貴弘自身は全く政治に興味がなく、自分の好きな道で生きている。

親譲りの恵まれた体格に、田園調布にある、まるで城のように広い実家。そしてどこへ行っても“先生”と崇められる父親の権力を子どもの頃から目の当たりにしてきた 。

そんな彼は最近、日本が誇る大企業の愛娘との婚約が決まった。

全てを手にし、何不自由なく暮らしているように見える貴弘。しかし彼の心中は、複雑だった。

「本当は学生時代から付き合っていた彼女と、結婚したかった。」

そう漏らす貴弘。二世の心を掴んでいたのは、意外にも“ごくごく普通の”、一般家庭出身の女性だった。

「今の相手は、親が決めた結婚相手。学生時代から付き合ってた愛美は、可愛くて無邪気で、ちょっと強気で。結婚するなら彼女がいい、と交際当初から意識していました。」

華やかさも知性も兼ね備えていた愛美。大学のサークルの後輩で、貴弘の一目惚れだった。

愛美の家庭はいわゆる中流家庭だったが、人に対する思いやりの心で溢れていた。聞き上手で、二世ならではの苦悩に対してもよき理解者であった。

しかし世間は、いや、政治家の親はそんなに甘くない。

交際4年目の春に、両親に愛美を紹介したところ、一喝された。

「まさか結婚は考えてないんだろう?」と。

理由は、家庭環境の違い。ただ、それだけで反対された。


心底惚れた女性vs 一生食いっぱぐれのない、大企業の娘


結婚は、見合いで決まる二世くん


ちなみに貴弘の婚約者は、前の彼女・愛美とは全くタイプが異なる。傲慢で、そして姫気質だ。

「いわゆる“見合い婚”ですね。何人かの候補の中からこちらが選べる権利があったので、許嫁とはまた違う。でも、見合いのような、親の選択のような...」

貴弘の婚約者は、大手食品メーカーの一人娘である。

実質、その会社は婚約者の兄が継ぐ予定ではあるが、いずれは貴弘が経営に加わることは必至だ。

顔合わせの前日に、“ある時にお互いの親同士の利害関係が一致し、見合いの話になった”、とだけ母親から聞いた。

「相手のことを好きか嫌いかと聞かれると、なんとも答えようがないですね。素敵な女性だとは思いますが。」

しかし貴弘には、この結婚に対してNOと言える権利など微塵もない。破談にはできぬ、親からの無言の圧力を肌で感じているからだ。

「結局は、全て親のため。自分の実力で成功を得たような気持ちになっていましたが、親が決めた道を、ただ従っているだけのことだと、この結婚で気がつきました。」

ずっと、自分は恵まれていると思っていた。

しかし好きな人とも自由に結婚できない歯がゆさと向き合っている。




二世は二世同士で結ばれる


そんな婚約者も、言うならば立派な二世である。

彼女の親は代々続く大手の食品会社を相続する一族のため、厳密に言うと二世ではなく三世や四世になるが環境は酷似している。

幼稚園から私立一貫校に通い、それ以外の世界を知らない。

外の世界から守られて生きてきたため、一見優雅で穏やかにも見える。しかし狭い世界で生きてきた故に、仲の良い人に対してみせる顔と、外で見せる顔で異なる二面性を併せ持つ。

「苦労知らずだから、皆性格がいいと思うかもしれませんが、実際にはそうでもない人もいる。親の権力にあぐらをかいて、傲慢なやつも結構多いですよ。彼女も、若干そのタイプかなぁと危惧していますが。」

結婚が決まった日、婚約者から“1.5カラット以下の指輪なんて恥ずかしくてつけられない”と遠回しに言われたことで、貴弘の懸念は確信に変わったそうだ。

「小学校からのお友達たちに指輪を見せる時に、小さいと馬鹿にされて仲間に入れないから、だそうです。」


一見、勝ち組。幸せの絶頂のはずが、社会から受けた洗礼とは?


何をやっても自分は特別という過信が生んだ過ち


そんな貴弘だが、高校時代は通っていた高校のニューヨーク校に在籍していた。

「とは言っても、現地でもそこまで真面目に勉強もせず、遊び呆けていましたけれど。」

かろうじて英語は話せるようになったものの、親の多大なる寄付金と権力のお陰で、たとえ成績が悪くても大学まで行けることを知っていたため、学生時代に真面目に勉強した記憶は、ない。

「幼い頃から、テレビやワイドショーを賑わすような人たちに囲まれて育ってきた。それが当たり前のことだと思っていたし、自分は何をしても彼らが守ってくれると過信していました。」

家に帰れば政治家が集っており、上場会社の経営者たちとも父親は仲が良かった。

しかしいつしか、社会に出て自分の実力を思い知ることになる。




完全なる縁故採用で入社したテレビ局。

営業部署にいた時は、親の権力とツテで営業成績はトップクラスだった。しかし、自ら切望して配属された制作部署、いわゆるディレクターになった途端に、貴弘のプライドはガラガラと音を立てて崩れることになる。

縁故採用など関係なく、視聴率という数字で、ダイレクトに実力が反映される世界。

貴弘の制作した番組は、中々数字が取れないのだ。

今まで努力というものも知らず、井の中の蛙で生きてきた貴弘にとって、生まれて初めての実力勝負は、想像以上に厳しかった。

「幼い頃、苦労をしてこなかった。だからその苦労が、今になって押し寄せてきたのかな、と最近思います。」

有名政治家の息子で、大手テレビ局勤務。一見、文句のつけようのない、まさしく理想的な幸せのカタチにも見える。

大企業の社長の愛娘との婚約も決まり、将来は一生安泰であることが約束されている。

愛美という大切な女性を失ったが、それでも絶対的な安定を、彼は手放さなかった。

「生活面で困ったことはないし、これからも一生困ることはないでしょうね。でもたまに、何もかも捨てて勝負したくなる時もあるんですよ。やっぱり、愛美のこともずっと引っ掛かっていますし。」

二世には、二世にしか分からぬ独特の悩みと葛藤を抱えているようだった。

▶NEXT:9月15日 金曜配信予定
夢の不労所得。憧れの地主生活の実態とは…。

【これまでの二世を狙え!】
Vol.1:「20代でバーキンを持つ女には近付かない」身元を隠し嫁を探す男
Vol.2:親の格差は子の格差。慶應幼稚舎出身でも、実家の資産総額で生じる隔たり
Vol.3:就職活動は、TV局のお偉いさんとの会食。ゆるゆる縁故採用の実態
Vol.4:永遠に越えられない、有名すぎる父。豊かさと引き換えに受け入れた葛藤
Vol.5:資産があるゆえ。幼い頃から見てきた女性の本性に、未だに癒えぬ傷
Vol.6:ほかの二世とは一緒にしないで。どんな女性に言い寄られても心動かない男
Vol.7:彼女に毎月50万以上使うのも当たり前。そんな生活が泡となって消えた、二世の苦悩