多大な食品ロスを削減しようと、新たなサービス「TABETE」(食べて)が9月4日から、試験版の運用とテストユーザーの募集を行っている。

企画した株式会社コークッキング山梨県富士吉田市)の川越一磨代表に、狙いを詳しく聞いた。

621万トンの食べられる食品の廃棄

環境省によると、2016年度、日本では約2081万トンの食料品が捨てられ、うち約621万トンはまだ食べられる食料品の廃棄「食品ロス」だったという。

さらに、約半分(339万トン)を飲食店や惣菜店でのロスが占める。

TABETEは、飲食店側がまだ食べられる余った食材の価格と在庫数を登録。利用者は電子決済で購入し、期日までに直接飲食店に行って商品を受け取るサービスだ。

店側には食品を捨てずに済み、利用者には割安な価格で食べられるメリットがある。

限定公開の現在は、東京都内の約15店舗が協力。専用フォームから利用者の事前登録を受け付けている。年内の正式リリースを目指す。

株式会社コークッキング 出典元:プレスリリース

最後まで売りきる・食べきる

同社は2015年、食品廃棄に問題意識を持っていた元ホテルスタッフや元飲食店経営者により設立。

今回のTABETEでは、悩む飲食店と消費者を引き合わせ、食品を「最後まで売りきる・食べきる」社会をつくっていくことを目指す。

飲食店で予約キャンセルなどで需要を完全に予測することは難しいといい、店側の「せっかく思いを込めて準備した食事を無駄にしたくない」という気持ちを反映している。

出典元:株式会社コークッキングプレスリリース

残飯の多さに驚愕し起業

川越代表がフードロスに関心を持ったきっかけは、4年間の和食店での勤務だ。厨房に戻ってくる残飯の量に戸惑いを覚えずにいられなかった。

和食の厨房で調理経験を積んでいた際、洗い場に下がってくる食べ残しの多さに驚愕しました。

仕込ロスや在庫ロスは、いかにまかないで食べきるかを本気で考え、ある程度は消費されます。しかし、食べ残しは売るわけにも行かず、「消費者の大量消費行動が変わらない限り減らない」と強く思ったのです。

出典元:株式会社コークッキングプレスリリース

誰にも罪悪感を持たせない設計に

川越代表は、フードロスは資本主義社会が成熟する中で無意識に発生した、特定の原因がない問題と指摘する。

そのうえで、TABETEのサイト設計では、消費者や事業者の「誰にも罪悪感を押し付けないこと」にこだわったという。

私たちは事業者も消費者も一丸となってこの問題を解決方向に進める、ムーブメントをつくっていきたいと考えています。

メッセージングやサイト設計など悪を浮き彫りにするのではなく、食環境の明るい未来をつくる仲間を募っていくよう、細心の注意を払っています。

出典元:株式会社コークッキングプレスリリース

単なる安売りの場ではない

今後は理念に共感する利用者を核に、地道にフードシェアリングの輪を広げていく考えだ。

まずは興味関心の強いユーザーさんや事業者さんから広めたいと考えています。

一緒にサービスを育てる核となるサポーターとムーブメントの中心をつくり、徐々に普段は関心がない層にも広められればと思います。

サービス提供地域の拡大はもちろん、イベントやワークショップなど実際にお会いして意見交換する機会を設け、ムーブメント醸成のスピードを上げていきたいと思います。

出典元:株式会社コークッキングプレスリリース

同時に、単なる安売りの場ではないと強調する。

TABETEは、単なる安売り販売プラットフォームではありません。

まだまだ安全でおいしく食べられる食品をレスキューしてお店さんを応援する、そんな気軽に社会貢献ができるサービスです。

時には、不手際などで皆様にご迷惑をお掛けすることがあるかもしれませんが、ぜひ温かい目で見守って頂ければと思います。

消費者庁によると、日本の約621万トンの食品ロスは、世界の飢餓対策で援助される食糧(約320万トン)の約2倍に相当。1人あたりで、毎日お茶碗1杯分の食品をゴミにしているという。

楽しい飲み会やパーティーで、威勢よく料理を注文する仲間たちを横目に「食べきれるのか」と不安を覚えた人は少なくないだろう。店側も結局、食べ残される分を想定した量を準備する。

「食べ残し」が恒常化した日本の飲食業界を変える切り口になるか。

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