パイオニアは9月6日、8月30日に発表したカロッツェリアの新型「サイバーナビ」のお披露目イベントを東京・秋葉原で行った。今回発表となったサイバーナビ最大のポイントは、ハイレゾ音源の再生(96k Hz/24 bit)への対応や、一段と進化させて使える幅を広げた「ミュージッククルーズチャンネル」など、主としてエンタテインメント機能の強化にある。これまでサイバーナビはカーナビ能力を重点的に高めてきたが、今回、ハイレゾへの対応により再び“カーナビ界のベンチマーク”たる存在になったと言えるだろう。

 

0.5dB刻みで音を補正できるし、0.35cm単位で音の位置を調整できる

さて、今回のモデルチェンジのテーマは大きく3つ。その1つが「高音質」だ。カロッツェリアにはかつてハイエンド・カーオーディオ「カロッツェリアX」をラインナップしていたが、ハイレゾ化を実現するに際してその経験を生かした数々の技術を投入。バーブラウン製32bit電流出力型DAC、フルタイム52bitトリプルコア浮動小数点DSPを採用したほか、ノイズの侵入を抑制するためにオーディオ基板とカーナビ基板を独立させるなど、高音質を徹底追求している。カーナビとは思えないぜいたくなパーツをふんだんに惜しげもなく投入。これにより「サイバーナビ史上最高の高音質再生を実現した」という。

↑基板をオーディオ基板とカーナビ基板をセパレート化し、干渉によるノイズ発生を抑制

 

実はハイレゾへの対応は、カロッツェリアのカーナビとしては初。96 kHz/24 bitのハイレゾ音源の再生を可能とし、再生対応メディアはUSBメモリやCD、SDカードなど。ファイル形式としては、192kHz/32bitまでのFLAC、WAV、Apple Lossless(ALAC)のほか、5.6MHzまでのDSDも再生できる。再生時は96kHz/24bitへのダウンコンバートされるとはいえ、車内で再生するには十分過ぎるクオリティ。当然ながら組み合わされるスピーカーのグレードアップも必須とはなるが、得られる効果は十分に価値あるものとなるはずだ。

↑「マスターコントロールモード」では音響特性を0.5dB刻みで補正できる31バンドEQを搭載。付属のリモコンで調整もできる。そのうえ、タイムアライメント調整を0.35cm刻みで設定可能。もはやこだわりすぎの領域である

 

ハイレゾ対応につい目を奪われがちだが、実は多くの人にメリットがありそうな機能となりそうなのが「マスターサウンドリバイブ」だ。これは本来なら一定の周波数帯域でカットされてしまうCDや圧縮音源を、収録音源から推測して可聴帯域以上の信号にまで復元するというもの。試聴でその効果をON/OFFしてみたが、想像以上にメリットを感じられ、一度使ったら常にONの状態で聴いていたくなってしまうほどだった。これはかなりオススメの機能だ。

 

会場のデモカーでハイレゾのクリアさと切れの良さを実感

会場にはアウディR8をはじめとするデモカーがずらりと並び、その中央には新しくなったサイバーナビを自由に触れるスペースを用意。試聴用のデモカー(トヨタ86)の脇には試聴待ちのためのイスも準備されていた。また、セレナには同車初となる10型大画面のサイバーナビもセットアップ。リアエンタテイメントを交えた本格AVが楽しめる仕様となっていた。

↑トヨタ86ではハイレゾ音源を使って試聴することができた。クリアさと切れの良さから、ハイレゾを十分感じ取ることができた

 

↑日産セレナ用として最大となる10V型モニターを備えたサイバーナビをラインナップ。専用キットで取り付けられている

 

ミュージックチャンネルに多彩な機能を追加

2つ目のポイントが「ミュージッククルーズチャンネル」の進化だ。サイバーナビでは、音楽ストリーミングサービス「レコチョク」のデータベースを使い、場所や時間帯に合わせて650万曲以上の楽曲を楽しめる機能を従来から備えていたが、新モデルではますます機能が充実。登録した楽曲中心のチャンネルをいつでも楽しめる「チェックチャンネル」や、クルマだけでなく家に持ち帰ったスマートフォンでも「ミュージッククルーズチャンネル」のストリーミング再生を楽しめる「スタンドアローンモード」などを追加。さらに、歌い出し前に歌詞を読み上げる「SingNow」機能も追加するなど、エンタテイメント機能をさらに充実させている。

↑ナビと位置情報などを連携する「ライブレコメンド」のほか、自動的にプレイリストを切り替える「オートレコメンド」機能も搭載。お気に入りの曲は「チェックチャンネル」でいつでも楽しめる

 

↑「スタンドアローンモード」では降車後もスマホアプリでストリーミング聴取を継続できる。カラオケに役立つ「Sing Now」も用意された

 

リアモニターとの連携で同乗者すべてに映像・音楽を

そして3つ目が「リアエンタテイメント」機能の充実だ。別売のリアモニターとサイバーナビが連携することで、ドライバーだけでなく同乗するすべての人へ映像や音楽の楽しみを与えるものとした。そのモードは、前席と後席で同じ映像が楽しめる「フロントリンクモード」のほか、後席専用のAVソースを選んで各自がソースを楽しめる「リアセパレートモード」が用意されている。リアモニターは「フリップダウンモニター」や「プライベートモニター」から選択でき、ヘッドホンを介することでその楽しみ方はいっそう広がる。

↑未使用時は天井へ収納できる10V型リアモニター「TVM-FW1020」。リアエンタメには欠かせない

 

エンタメ機能だけじゃない! 上位機はCPUにクアッドコアを採用で

発表の席上で説明されたのはここまで。となると「カーナビの進化はないのか?」とつい思ってしまいそうになったが、そんな心配は無用だった。サイバーナビに相応しい強力な進化を遂げていたのだ。上位機「901シリーズ」には、ハイレゾにも対応したオーディオ回路の強化とともにCPUにクアッドコアをカロッツェリアのナビとして初めて搭載。これまでやや緩慢だった動作のスムーズさが俄然増している。開発担当者によれば「ハイレゾ化するには回路そのものを見直す必要が出てきた。その意味で組み込んだ基板はすべてが新設計となり、それに伴って本体背面パネルもデザインを一新した」という。

↑上位機「901シリーズ」の1つ、8V型モニターのAVIC-CL901-M。後述の「スマートループ」が利用できる通信モジュールを標準装備している

 

カーナビの基本性能はそのまま引き継がれた。独自開発の自車位置精度専用システムと「6軸3Dハイブリッドセンサー」を採用し、3種類の衛星(GPS、グロナス、みちびき)からの位置情報の同時受信とGPSの補正データ「SBAS」に対応することで高い自車位置精度を実現。プローブによる渋滞情報などを共有する「スマートループ」をはじめ、時間・距離・料金・効率まで考慮した最適ルートを探索する「スーパールート探索」に対応した。「ETC割引考慮ルート探索」ではETC/ETC2.0の時間帯別割引料金も考慮する。つまり、サイバーナビとしての高いパフォーマンスは新型でも変わらないというわけだ。

↑機能を絞って価格を抑えたベーシック機もラインナップ。写真はAVIC-CW700

 

小林可夢偉選手が登場「音楽を聴きながら移動することの愉しさを――」

この日のイベントでは、今シーズンWEC世界耐久選手権にTOYOTA GAZOO Racingから参戦し、パイオニアがスポンサードしている小林可夢偉選手が登場。WEC第5戦のメキシコから前日に帰国したばかりと話し、レース中に野球のボールがコース上に転がってきてイエローフラッグが振られた、通常あり得ないシーンを報告。「メキシコでは負けたけど、このあとは自分たちに有利な勝負がしていけると思う」と今後の抱負を語った。

↑「カーライフにスパイスを」をキャッチとしたパイオニアのキャンペーンをPRする小林可夢偉選手。コミカルなトークで会場を和ませてくれた

 

小林可夢偉選手は趣味でDJをしているほどの音楽好き。「特に移動が多いので、その間に音楽を聴くことが多い。そこでDJの世界へ興味を持ち始め、音楽が欠かせなくなった」と音楽好きになった背景を明かした。愛車にパイオニアのスピーカーを取り付け、「それだけでも音の違いを感じ取れた。こだわればこだわるほどそのメリットを実感でき、それが愉しさにつながる。音楽を聴きながら移動することの愉しさはたくさんの人に経験してもらいたい」とも語った。新型サイバーナビなら、その愉しさを十二分に実感できるに違いない。

 

【「サイバーナビ」主要ラインナップ】

・「AVIC-CL901-M」8型ラージサイズ 24万円前後

・「AVIC-CL901」8型ラージサイズ 18万円前後

・「AVIC-CW901-M」7型200mmワイド 22万円前後

・「AVIC-CW901」7型200mmワイド 16万円前後

・「AVIC-CZ901-M」7型2DIN 22万円前後

・「AVIC-CZ901」7型2DIN 16万円前後