スペインに学ぶサッカーの本質 〜カタルーニャの町クラブが魅せた衝撃〜

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ブログ「大人になってから学ぶサッカーの本質とは」を運営しているKEIです。

久しぶりにQolyさんでコラムを書かせていただきます。

今回は6/28〜7/1の期間にスペインのバルセロナ郊外の“ MUNICIPAL VALL HEBRÓN ”で開催された「FIT」という大会のレポートをしたいと思います。

先日、ハリルジャパンがオーストラリアに勝利し、W杯出場を決めましたが、その勝因はハリルホジッチ監督の戦術眼とそれを実行することができた選手たちの力だと思います。

しかし、日本はまだまだ戦術においては世界のトップレベルには及びません。

アジアで勝てても、世界レベルで勝つのは難しいと思います。

スペインやフランス、ドイツでは若い世代が高い技術を有し、高度な戦術を理解しピッチで表現し続けています。そんな彼らを観ていると、育成年代でどのような指導を受けているのかに興味を持ちました。

そこで今回は、世界でも一位二位を争う戦術大国スペインの育成年代の事情を知る為に、バルセロナへ行ってきました。

この大会を通じて感じたこと、考えたことをレポートします。


PhotoGrafh by Kenji Onose(HP : https://kenjionose.photos/)

この大会は、各カテゴリーに約10〜20チームが参加。予選を勝ち上がったチーム同士が決勝トーナメントで対戦し優勝を争うというものです。

オフシーズンに開催されるということもあり、大会規模は中程度、レベルはそこまで高くないとの事前情報でしたが、オランダから名門PSVアイントホーフェンが参戦。スペイン国内からはラ・リーガ1部のRCDエスパニョールやバレンシアCF、1部での経験もあるUDアルメリアやエルチェCFといったスペインの名門クラブが参加していました。

カテゴリーは以下の通り。

プレ・ベンハミン(6、7歳)
ベンハミン(8、9歳)
アレビン(10、11歳)
インファンティル(12、13歳)
カデテ(14、15歳)
フベニール(16〜18歳)

※私が観戦したカテゴリー(8〜15歳)は7人制で行われました。

多くの試合を観戦しましたが、その中で特に感じる部分が多かったカテゴリー、試合をピックアップしてご紹介します。

地元カタルーニャ、町クラブのサッカーに受けた衝撃

U-11男子 PSV Einthoven 対 CCE Tiana

オランダの名門PSVアイントホーフェンと地元カタルーニャの町クラブの試合。

試合前のウォームアップを見ていると、PSVがいかに名門であるかが感じられました。選手たちの自信に満ち溢れた表情、チームが醸し出す雰囲気はそこいらの町クラブには出せないもの。

対する地元の町クラブCCE Tianaは、近所の子供たちが集まってできたような雰囲気。

PSVが圧勝するものだと思っていたのですが…。

試合が始まってみると予想外の光景を目にすることに。PSVの洗練されたサッカーに見事に対応するCCE Tianaの選手たちに衝撃を受けました。

ボールをサイドに素早く展開してスピードのあるドリブラーがガンガン勝負を仕掛けるPSV、身体能力の差は歴然であり、切り込まれる…と、誰が見てもそう考えるような展開が続くのだけれど、CCE Tianaの選手たちは絶妙な間合いとポジショニングでPSVに決定機を作らせないのです。

個人戦術がとても優れている

これは守備だけではなく、攻撃時にも感じたことです。

一人ひとりの身体能力、ボールコントロールスキルは明らかにPSVの方が上でした。CCE Tianaは、ドリブルが得意だけれど味方を上手く使うのが苦手で我の強い選手がいたり、ちょっと太っていてスピードはないけれどキック力と精度が高い選手がいたりと、個性豊かなチームでした。

そんな強みと弱みがはっきりした選手たちが、いかにPSVの良さを封じ、自分たちの弱さを隠し、良さを表現するか、ということを一人ひとりが理解し、それを実行していました。

自分たちの都合の良い場所にボールを運び、相手の嫌がるところでプレーする。この年代でそれが戦略的にできることに衝撃を受けたのです。

後半、PSV選手のシュートがディフェンスに当たり、ちょっと不運な形で先制点を許したCCE Tiana。全体のラインを上げてリスクを犯して戦わざるを得ない状況になったことで、決定機を演出することに成功するもののゴールができない。逆にカウンターで後方のスペースを上手く使ったPSVに追加点を決められる。

最後は一矢報いたものの、結果は3-1でPSVの勝利。

しかし、私の目を引いたのは名門PSVではなく、地元カタルーニャの町クラブの方でした。

スペインと日本のサッカーの違い

この試合を観て感じたのは、スペインの子供たちのサッカーインテリジェンスの高さです。

相手の良さをいかに封じ、自分たちの良さをいかに表現するか。これは個人戦術とも言いますが、本質は“相手との駆け引き”だと思います。

日本の子供たちの方が、ボールコントロールスキルは高いかもしれません。しかし、サッカーインテリジェンスの高さ、サッカーの本質の理解度はスペインには到底及ばないと感じました。

ボールコントロールスキルは試合のあらゆる場面で活かせなければなりません。そのためには、どうすれば良いかを考えていかなければならないのだと思います。

今回の大会では、RCDエスパニョールの監督インタビューに成功しました。スペイン育成年代で大切にしていることを聞くことができましたので、その模様はレポート2でお伝えします。

筆者名:KEI IMAI

桐蔭横浜大学サッカー部時代に風間八宏氏(現・名古屋グランパス)にサッカーの本質を学ぶ。同時期にスエルテジュニオルスで育成年代のサッカーの指導に携わる。その後半年間、中南米をサッカーしながら旅をし帰国。現在都内で働きながらブログ「大人になってから学ぶサッカーの本質とは」を運営し、育成年代の現場の取材、指導者や現役選手にインタビューをしサッカーの本質を伝える活動をしております。

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