犬は古くから人間のパートナーとして共に暮らしてきました。その役割は作業を手伝うためだけにあるのではなく、人間に癒しを与える役割として、人間にとっては切っても切れない関係です。今や家族の一員だと考えられることが多くなってきました。

人間からしたら、古くは猟犬や作業犬、愛玩犬などと呼び、さまざまな役割を与えてきました。犬からしたら、人間といることで、役割を与えられる代わりに十分な食事と安全な寝床を確保できます。

しかし、実際に役割を与える側と与えられる側といった、ただそれだけの関係でしょうか。そこには言葉では言い表せない絆のようなものがあるように思えてなりません。

今回はそんな犬と人間との関係について「犬にとって飼い主はどんな存在なのか」を考えてみたいと思います。

犬は飼い主と感情を共有できる?

アメリカはエモリー大学の認知学者の実験によると『犬はどんな匂いよりも人間の匂いを優先させている』というのです。

犬は嗅覚を元にさまざまなことを知覚していることはご存知かと思います。この実験ではそんな「嗅覚」を基に犬が身近な人と見知らぬ人の匂いを嗅いだ時の神経反応を調査しました。その結果によると、犬は「身近な人の匂い」を嗅いだ時に、脳を活性化させたのだそうです。また、活性化させるにあたっては、脳神経の中でも喜んだ際などに反応する「報酬中枢」つまり「快」の感覚が活性化させたというのです。

また、ハンガリーはエトヴェシュ・ローランド大学で行われた実験では、犬と人間の「聴覚」の反応を調査し、犬と人間の両種において類似性のある聴覚反応を起こしたそうです。これらは犬が「人間の気分の変化を感じる」ことができ、また「感情を共有することができる」といえるのだそうです。飼い主が悲しい気分の時や不安な気分の時にそっと寄り添ってくれたことはありませんか?それはまさに愛犬が飼い主の気分を感じ取った結果、感情が共有されたうえでの行動なのではないでしょうか。

飼い主はリーダー?

犬の感情は想像以上に発達していることが分かりました。実際の犬の中での飼い主の位置づけというものは、どうなのでしょうか。人間は愛犬のことを子どもや孫のように考えたり、友人として接したり、恋人の位置づけを求めることもあります。最近では家族としての考えも増えてきました。

しかし、一昔前は犬を飼育するにあたって「支配によるしつけ」が一般化していました。例えば犬が嫌がるようなことを無理やりすることで、飼い主が上位にいることを示すやり方です。怒鳴る、嫌がる音を鳴らす、体罰を与える等があげられます。

これらのやり方は犬の祖先であるオオカミの序列に習って作り上げられてきた考えでした。しかし、実際には人間が考えていたこのオオカミの序列の作り方に誤りがあり、本来家族や親戚などで構成されたオオカミの群れは、その絆を何よりも大切にしており、そんな群れの中で支配力を持ったオオカミはあくまでも群れを守る「リーダー」。無理やり序列を作るのではなく、群れのメンバーが協力し合って集団を形成していることが分かってきたのだそうです。

この考えによると「支配するしつけ」は根本的に誤っており、犬の生態に適したものではなかったことが分かります。つまり犬にとっての飼い主も、オオカミと同じく「自分が属している群れの一員」なのです。また、その家族である群れは、支配力によって成り立っているのではなく、共に協力し合って成り立っている集団なのです。そこに飼い主というリーダーと家族が存在する。犬はそういう風にとらえている可能性が高いのだそうです。

支配によるしつけでうまくいっているように見えることもあるかもしれません。しかし、それは犬が恐怖で支配されているだけで、飼い主のことをリーダーとして捉えているわけではなく、そこに信頼関係は存在しませんよね。

まとめ

犬は身体器官の機能から人間と感情を共有することができ、その生態からも人間と共生することができる動物です。人間が家族と捉えるずっと前から、犬は人間のことを家族として接してくれていたのかもしれませんね。そう考えると、すべての犬に信頼ができ、絆のある「家族」ができることを願ってやみません。