サービスの盛り上がりを受け、法整備が進みつつある「民泊」。とは言え推進派・反対派の対立の落とし所がはっきり見えていないとういうのもまた事実です。今回の無料メルマガ『まんしょんオタクのマンションこぼれ話』では著者でマンション管理士の廣田信子さんが、その対立の先に待つ「未来」を予測しています。

民泊を巡る対立の先には…

こんにちは! 廣田信子です。

民泊を推進したい国や業界のエネルギーは、ごく普通の区分所有者の方々にも、だんだん影響を与えるようになってきます。

今後、民泊を認めているマンションが市場価値を上げるような状況が発生すれば、民泊を認める方が高く売れると、民泊容認に流れる区分所有者が増えることにもなるでしょう。

「民泊」そのものが悪いことではないのです。同じマンションに、資産運用重視派と居住環境重視派が混在していることが問題なのです。

しかし、民泊に適した立地と仕様のマンションでは、民泊禁止から民泊容認へとの流れは止まらないのではと思います。

マンションは、今後ますます、自宅を購入するという概念から離れ、不動産資産を購入し、取りあえず、その資産である不動産に住む場合もある、という趣旨のものになってくるように思います。

若い人ほど、住むために購入するマンションでも、将来の資産価値を一番に考えて選択していると感じます。ですから、高く売れるときに買い替える、別にもう一戸購入して、今のマンションは賃貸に出す、というようなことにも抵抗がないのです。

でも、よく考えると、別に今の若い人に限ったことじゃなく、バブル崩壊前は、マンションの買い替えで資産を増やすという考え方は当たり前でしたよね。

今後は、マンションを所有することと、マンションに住むということが、分けて考えられるようになるのではないでしょうか。民泊の可否について管理組合内で争うより、マンションの多数の考え方(強い方の意志)に合わなかったら住み替える、というようになっていくのではないかと…。そういう形でしか、平和な共存はできないように思います。

民泊を認めるマンションは、そこからの収益の一部を管理組合が徴収し、どんどん民泊をやりやすい環境を整え、運用資産としての市場での資産価値を上げていく…、民泊を禁止するマンションは、安心、安全な居住環境を守るということを徹底し、コミュティも育てて安心して暮らせるマンションとして市場での価値を上げていく…。

しばらくの混乱期間を経て、マンションごとの方針が決まり、区分所有者は、自分の今のライフスタイルに合ったマンションに住み替えるという未来を夢想します。

しかし、これは、不動産市場で、資産価値が維持されているということが前提になります。不動産市場の暴落で、資産価値が一気に下がると、住み替えすら難しくなります。何だか、昔見た光景です。皮肉なもので、マンションが終の棲家と強く認識されるようになったのは、バブルの崩壊で資産価値が下がり、簡単に住み替えができなくなったころからです。

タワーマンションを爆買してきた中国人投資家が、長期譲渡として売却益に掛かる税金が軽減される取得後5年を過ぎて売りに出すことで物件が大量に市場に出る予兆がすでに始まっているといいます。

民泊は、市場に出た大量の物件の価値を維持し続けるための、救いの神になるのか、それとも、マンション内の対立や居環境の悪化を生む元凶になるのか、先は読めません。今後、あらゆる角度から見て臨機応変な対応が求められるとひしと感じます。

4年前、今の現象を誰も予想しなかったと思います。ですから、東京オリンピックのエネルギーが去った4年後には今できる予想をはるかに超えた現実がそこにあるかもしれません。

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出典元:まぐまぐニュース!