サウジ戦はインサイドハーフとして攻守に躍動した井手口。試合を重ねるごとに、その存在感は増すばかりだ。写真:佐藤明(サッカーダイジェスト写真部)

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[ロシアW杯アジア最終予選]サウジアラビア1-0日本/9月5日/キング・アブドゥラー・スポーツ・シティ
 
 自陣エリア付近で守備をこなし、そこから攻撃に転じれば、長い距離を走って敵陣の深いところに顔を出す。
 
「自分もそうやし、チームとしてもなかなかしんどい気候やったかなと思います」
 
 そう言う割りには、井手口陽介の活動量は群を抜いていた。気温30度を超す蒸し暑い過酷な環境の中でも、普段通りにプレーする。体力的に厳しくなるはずの後半でも、その躍動感、その“ダイナモぶり”は衰えなかった。
 
 エネルギッシュな振る舞いはもちろん、サウジアラビア戦の井手口は、よりチームの中心となってタクトを振るっていたように見えた。
 
 ファーストディフェンダーになって守備のリズムを作る一方、長短のパスを使い分けてアタッカー陣を走らせる。誤解を恐れずに言えば、自分の好きなようにゲームをオーガナイズできている。攻撃も守備も、すべての発信は井手口から――そんな充実感があるのではないだろうか。
 
「前に比べたら、両方良い感じでできているんじゃないかな、と」
 
 本人はいたって謙虚だが、見せるプレーは雄弁にそのポテンシャルを物語っている。
 
 途中出場からA代表デビューを飾った6月のシリア戦の後、取材に応じた井手口は次のようにコメントしていた。
 
「ボールを取ること、プラスそこからつないでいければ良かった。ショートパスばかりだったので、もっと勝負のパスだったり、ロングパスももっと増やしていければ」
 
 当時、口にしていた課題は、すでにクリアしている。それだけでなく、プレーに関与する回数は増え、試合を重ねるごとに攻守両面のプレゼンスは増すばかりだ。
 
 今はまだ、世代交代の旗頭として、“活きのよい若手”という見られ方かもしれないが、来年のロシアでは、不可欠なメインキャストとしてハリルジャパンを牽引している――サウジ戦の井手口は、そんな未来を感じさせる存在感だった。
 
取材・文:広島由寛(サッカーダイジェスト編集部)

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