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もくじ

ー リーフに課された「大幅改良」という使命
ー リーフ、パフォーマンスモデルも控える
ー 「IDSコンセプト」ゆずりのデザイン
ー 合言葉は「プロパイロット」「e-ペダル」
ー 「運転がグッと楽しいものになっている」

リーフに課された「大幅改良」という使命

道行くひとびとを適当に10人捕まえて、世界で最も多くEVを生産するメーカーはどこか尋ねてみよう。たまたま昼休み中のバッテリー開発者にでも出くわさない限り、たいていはテスラと答えるはずだ。

しかし、それは不正解。

たしかに、イーロン・マスク率いるカリフォルニアのメーカーは、刺激と興奮にあふれたEVという点では他を圧倒するかもしれない。ただ、たんに生産台数だけで考えるなら、正解は日産だ。

2010年の発売以来、日産は28万3000台を超えるリーフを販売してきた。これ1車種で、テスラの全セールスを4万台ほど上回る。

テスラは新たに投入するモデル3で40万あまりのオーダーを受注しており、2社の差はいずれ埋まるだろうが、今のところは、どこよりも多くのEVをひとびとに提供したメーカーは日産ということになる。

初代リーフは、主要メーカーが本格的に市販した、真に実用的といえる電気自動車としては世界初の例であり、他に先駆けた存在だった。

しかし、近年になって多くのメーカーが強力なライバルを続々投入したことで、タフな競争に直面することとなった。

現在、マーケットにはBMW i3やフォルクスワーゲンe-ゴルフ、ヒュンダイ・アイオニック・エレクトリックなどが存在し、そこにテスラ・モデル3が加わった。

そして、そう遠くないうちに、大手各社が手掛けるより多くの新型EVでいっぱいになるだろう。

リーフが今後もトップの座を守り続けるためには、大幅な改良と、少なからずあげられる欠点の克服が必要となる。そこで、第2世代リーフの出番というわけだ。

リーフ、パフォーマンスモデルも控える

英国では来年早々にも販売される予定のそれは、他社のEVだけでなく、一般的な量販車全体を向こうに回すべく開発された。そのために日産は、航続距離を実走行で320km以上とし、走りの楽しさと広くアピールできるデザインを持たせなければならないと判断。

日産関係者は新型リーフを「電気自動車2.0」と呼んでいるが、それが目標を達成するばかりか、それ以上になっても、驚くには値しない。

それ以上、といったのは、日産が2019年に追加する、さらなるパフォーマンスモデルは、航続距離500kmを達成する計画だからだ。

ただし、2代目の発売時には380km程度となる見込みである。

これは新欧州ドライビングサイクル(NEDC)モードで、初代の24kW仕様を約180km、30kW仕様を約130km程度上回る数値だ。

同時にそれは、i3やe-ゴルフといったライバルをも易々と凌ぐこととなる。それらの公称値は、最大でも300kmを超えることはないのだから。

この改善に大きく貢献しているのが、高密度のリチウムイオン・バッテリーパックだ。

「IDSコンセプト」ゆずりのデザイン

プラットフォームは初代の進化版で、フロアにマウントされるバッテリーの寸法は従来と変わらないが、容量は40kWhまで高められている。

前輪を駆動するモーターの最高出力は150psと、先代より41ps向上。0-100km/hはおよそ8秒で、旧型の最速11.5秒と比較すると、その走りの性格がどれほど劇的に変わったかがうかがい知れるだろう。

デザインもまた、大きなステップを刻んだ。デザイン部門を統括するアルフォンソ・アルベイザは、日本での先行公開の場で、旧型のデザインが「大半のひとびとに支持されず、販売面に貢献はできませんでした」と認めている。

厚木のテクニカル・センターで描かれた新型のデザインが、より多くのユーザーにアピールすることは確実視される。これは2015年の東京モーターショーに出展され、新型マーチにも影響を与えている「IDSコンセプト」との濃密な関連性が見て取れる。

このスリークなエクステリアが、車体の周りの空気の流れにも好影響を与えることは必至。35mm長く20mmワイドなボディは、日産の発表によれば、先代と同じCd=0.28を達成。新型は10mm低く、ボディサイド下部には気流の溝をコントロールする溝が設けられ、効率的には向上している。

デザインのクリーンアップは根気よく行われ、エアロダイナミクスは直線走行時だけでなく、コーナリング時の気流変化まで考慮されているという。

室内を見てみよう。

合言葉は「プロパイロット」「e-ペダル」

室内には、新型マーチとの共通点が散見される。ステアリングホイールやダッシュボードのいくつかのラインは、マーチのキャビンで見た覚えのあるものだ。

青いアクセントの入った丸いシフトレバーは、先代リーフから受け継いでいる。

英国仕様は、デジタル計器盤と7.0インチのディスプレイを持つインフォテインメントシステムを装備。試乗したプロトタイプのディスプレイの解像度と反応は、クラス最高水準に到底及ばなかったので、市販モデルでは改善されていることに期待したい。

しかしこのクルマ、技術面で注目すべき点は満載した自動運転に関する新機軸だ。柱となるのは、完全停止も可能としたアダプティブクルーズコントロールをベースとした次世代型プロパイロットと、日産初の自動運転システムであるプロパイロットパーキングである。

そしてもうひとつ、話題の装備がe-ペダルだ。スロットルペダルのみでの運転を促進するそれを、日産は世界初の装備だと謳う。だが、モーターの抵抗ベースで同様の働きをするものは、既存のEVでも体験済みだ。

リーフのそれが従来品と異なるのは、先代比2倍の制動力を持たせたというフロントアクスルの回生ブレーキだけでなく、油圧ブレーキを併用していること。

e-ペダルはオン/オフが可能で、これまでのように空走させることもできるが、作動時には0.2Gの減速度が得られ、市街地走行ではブレーキペダルの操作を90%ほど不要にするという。多少の慣れは必要だが、そのコンセプトは実用面で大いにメリットを発揮するだろう。

「運転がグッと楽しいものになっている」

日産のエンジニアたちが強調するのは、試乗した先行生産車が、英国での市販車と全く同一の仕様ではないということ。今回の仕様はクッションの利いた乗り心地としたアジア向けスペックで、これとは別に、英クランフィールドのテクニカルセンターでチューニングが施された仕様が欧州向けには用意される。

とはいえ、このアジア向けプロトタイプでさえ、厚木のテストコースに設けられたワインディング・セクションを驚くほどフラットに駆け抜ける。

床下に置かれたバッテリーによる低重心が影響しているのは疑うべくもないが、同時にこれは、ピッチやロールを削減したシャシー・コントロール技術のたまものでもある。

また、車体の後部セクションは、先代比15%の剛性アップを実施した。しかし、それ以上に新型リーフを特徴づけるのはレスポンスが大幅に改善されたドライブトレインである。

先代ではふわふわだったスロットルレスポンスはシャープになり、モーターに加わったパンチは、EV特有の途切れのない加速をさらに強め、ドライバーの背中をシートへ押し付けるほど。

最も印象的だったのは走行中の加速で、高速道路での追い越しを先代よりはるかに楽なものにしてくれるに違いない。要するに、この2代目リーフは運転がグッと楽しいものになっている。

軽すぎるステアリングはフィールが欠如しており、それがドライビングへの熱中度を削ぐのだが、それでもそのパフォーマンスは、ユーザーがこのクルマを選ぶ動機とするに足るものとなっている。

まさかリーフを、このような価値観で語る日が来るとは思いもしなかった。

この新型は、先代モデルの進化版という枠を大幅に超えた、全く異なる提案だといえる。この7年で、EVの将来に半信半疑だった世界は、それを必然的なものと捉えるようになってきている。世の中の変化に伴いリーフも、かつて日産が使ったキャッチコピーの通り「変わらなきゃ」いけなかったのだ。

今回の試乗が示したのは、変化が著しく大きかったこと、そして現時点ではそれがクラス最高峰を目指すうえで有利に働くだろうということだ。

しかし、今後はフォルクスワーゲンのIDをはじめとする、全く新しいライバルたちが続々と名乗りを上げてくる。頂点へのチャレンジは、初代が新たな市場を開拓したのとは違った苦労を覚悟しなければならないが、困難な道のりとなるだろうことに変わりはない。