スペイン戦は常に数的不利の状況に陥り、中盤はデ・ロッシ(左)とヴェラッティ(右)がイスコ(中央)らに弄ばれた。(C)Getty Images

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 勝てば1位抜けでロシア・ワールドカップ出場が事実上決まるというスペインとの決戦(9月2日/アウェー)で、0-3の完敗を喫したイタリア代表。その3日後に行われたホームのイスラエル戦には1-0で勝利を収め、プレーオフ出場はほぼ確実となった。
 
 とはいえ格下相手のこの試合も、ほぼやられっぱなしでまったく勝機がなかったスペイン戦に続き、内容的にはチームの現状に対する失望と、ワールドカップ本番(それ以前にまずプレーオフ)に向けた不安をかき立てるネガティブなものだった。
 
 ジャンピエロ・ヴェントゥーラ監督がピッチに送り出した布陣は、2試合ともにアントニオ・カンドレーバ、ロレンツォ・インシーニェを両翼に、アンドレア・ベロッティ、チーロ・インモービレという2人のCFを2トップに配した「4トップ」を、ダニエレ・デ・ロッシ、マルコ・ヴェッラッティという2人のセントラルMFが支える4-2-4システムだった。
 
 基本的な戦術コンセプトは、4-4-2のコンパクトな3ラインによるブロック守備で相手の攻撃を受け止め、ボールを奪ったら(縦パス1本でカウンターを狙える状況以外では)一旦後方でパスを回してポゼッションを確立し、そこからサイドをえぐってクロス、あるいは2トップへの縦パスでフィニッシュを狙う、というもの。
 
 しかし、今回の2試合では守備と攻撃、いずれの局面においても、この戦術構想のネガティブな側面ばかりが際立ち、イタリアは大きな困難に直面することになった。
 
 守備の局面における問題は大きく2点。ひとつはプレッシングが皆無に近いこと。ヴェントゥーラ監督は、ハイプレスはもちろん自陣でも、アグレッシブなプレッシングよりは陣形を維持しての受動的な守備を好んでいる。そのため、自陣ミドルゾーンまではボールにほとんどプレッシャーがかからない。
 
 守備ブロックの設定位置を低めにしたスペイン戦では、ボールサイドに人数をかけて数的優位を作り、高いテクニックを活かしたコンビネーションでブロックをこじ開けにきた相手に対し、中盤が持ちこたえられず裏を取られる場面が再三見られた。
 
 一方のイスラエル戦では、ポゼッションで主導権を握ってチームを押し上げながら、ボールロスト直後の即時奪回を想定したハイプレスを行わないうえ、前がかりになった陣形の背後を取られてカウンターを許す場面が繰り返された。
 もうひとつの問題は中盤センターの恒常的な数的不利。攻撃時にはウイングはもちろん左右のSBも高い位置まで進出して4-2-4どころか2-4-4に近い陣形を取るため、ネガティブ・トランジション(攻→守の切り替え)時にはデ・ロッシとヴェッラッティがピッチの幅を大きくカバーせざるをえず、フィルターに穴が空いて中盤ラインを破られることが多い。
 
 また、一旦守備陣形を整えた後も、敵の3MFに対して常に数的不利に置かれているため、簡単な左右の揺さぶりや3人目の縦の走り込みに対応できないことが多かった。
 
 スペインの1点目につながったFKを与えたファウルは、デ・ロッシとヴェッラッティの間を通されたスルーパスが原因。2点目も2人の間が大きく開き、イスコにそこを縫う形でシュートを打たれている。
 
 一方、攻撃の局面においては、一旦後方でポゼッションを確立してチームを押し上げ、そこから縦にボールを入れて仕掛けるというコンセプトそのものが、スペインにはおろかイスラエルにすらも通用しなかった。
 
 横パスを多用したスローなポゼッションでハーフウェイライン付近までボールを運んだ時点で、左右のSBが高い位置まで押し上げ、ウイングも開き気味のポジションを取る一方、2トップは中央で横に並んで近い位置取りをするというのが、指揮官の指示だ。