「大企業であっても、個人商店であっても、パートで働いている人は、すべて労働基準法が適用されます。たとえば、条件があえば有給休暇をとる権利があります。週5日以上、または週30時間以上働いている人は、6カ月目から10日。また週の労働時間が30時間未満で週に4日以下でも、半年働けば、最長で7日の年次有給休暇がとれるのです」
 
そう、“週3日”“1日5時間”と正社員よりも限られた日数や短い時間しか働かないパートが使える権利を教えてくれるのは、『非正規社員サバイバルマニュアル』(労働新聞社)の著者で特定社会保険労務士の富田朗さん。富田さんによると、有給休暇では休暇理由を伝える必要はないが、取得時期の変更を要請されることはあるそうだ。
 
パートで働いていると、忙しくて休憩がとれないことも。そんな休憩時間や休日もしっかり法律で決められている。
 
「働いている時間が6時間を超えたら最低でも45分、8時間を超えると、少なくとも1時間の休憩時間がもらえます。また休日も、週に1日、もしくは4週間を通じて4日以上という定めがあります。働くときに、これらの労働条件が満たされているか確認してください」(富田さん・以下同)
 
さらに、残業したときや休日に出勤したときは、給料が割増しされることも、パートで働いている人の間では案外知られていないという。
 
「労働時間は、1日8時間以内、1週40時間以内と定められています。それを超えた場合は、通常の賃金の25%の割増し分を受け取ることができます。また、最低でも週1日と定められている“休日”に出勤した場合は、35%割増しの賃金を受け取ることができます。ただし1日4時間の勤務では、かりに1時間オーバーしたとしても“残業手当”はつかないことがあります。親会社が経営難になったり、下請け工場が休業したり、会社側の都合で、仕事ができなかったときには、給料の60%の“休業手当”をもらうことができます」
 
有給休暇や給料規定、休憩時間などは、パートにも認められる最低限の権利。しっかり認識しておこう。パート勤務中に、ケガをしたり、病気になったりした場合はどうなるのだろうか?
 
「正社員と同じように、労災保険という国が運営している制度で治療費や通院費などが支払われます。労災保険の対象者は、基本的に会社で働くすべての人。自動的に加入することになり、保険料は会社がすべて負担します。ケガや病気になった場合には、病院でかかった費用の全額、さらに、仕事ができなくなったときには、出勤したらもらえたはずの給料の約8割が生活費として補償されます」
 
ケガや病気が原因で障害が残ったり、介護が必要になったりしたときも、労災保険は適用されることを知っておくべきだ。
 
「パート勤務中や通勤途中で万が一、死亡した場合には葬儀代が支払われます。また遺族には、生活費として、遺族の数により、給料の153〜245日分の年金が支給されます」
 
労災保険の補償請求をする際、会社が協力してくれないケースも。そんなときは『労働条件相談ほっとライン』など近くの労働基準監督署に相談したほうがいいようだ。失職したときに生活費が出る“失業手当”も、正社員だけのものと思いきやーー。
 
「週20時間以上で、31日以上の期間にわたって働く“労働契約”を結んだ場合は、パートでも雇用保険に加入することができます。そして、会社を辞めるまでの2年間に12カ月以上働いていれば、“失業手当”が受け取れます」
 
月々の雇用保険料は、会社と労働者本人がそれぞれ負担する。労働者の負担は月数百円程度だが……。
 
「会社側が保険料を払いたくないからと、パートを雇用保険に加入させていないケースも。条件を満たしているならば、自分が雇用保険に入っているかどうか確認することが大切です」
 
パートにも、介護や育児のときに使える制度があることも、まだまだ知られていない権利だ。
 
「1年以上働いていれば、家族の介護のために会社を休むことができる介護休業制度が使えます。休める日数は1人につき93日まで。3回まで分割してとることができます。その際、雇用保険に入っていると、給料の3分の2が支給されます。ただし、介護休業開始から93日経過した日から6カ月後までに、契約期間が満了する人は、この制度は使えません。同様に育児休業の制度もあります」
 
知らなきゃ損するパートの権利は盛りだくさん。
 
「ただ、いざ権利を使うとなると、社風や職場の雰囲気もあって、言いづらかったり、軋轢を生むこともあるでしょう。とはいえ、これまで泣き寝入りすることが多かったパート。これだけの権利があることを知るだけでも、働く意義は変わってくるはずです」