撮影:高橋邦典

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 ガンジスの川岸、蓋のついたボトルを山ほど担いで歩き回る男たちの姿が行き交う。飲物か、それとも液体燃料か? 形や大きさも様々だが、目立ったラベルがついていない。何が入っているのかと思いきや、単に空の容器だった。ガンジス川の水を入れて持ち帰る人々に売るのだという。

 ガンジスはヒンドゥー教徒にとって言わずと知れた聖なる川。その水には人の罪を洗い流し、病を治す力があると信じられている。昔のことならいざ知らず、今や世界有数の汚染にまみれたこの川の水など、飲んだりしたら逆に病に臥せってしまいそうなものだが、信者たちはそんなことなど気にしない。

 ボトル売りにとっても、水の効能の真偽など重要ではない。「奇跡の水」などと称した商品は様々な国でも出回っているし、信じてお金を払う人がいれば、商売は成り立つのだ。同じ信仰や価値観を持つ者が多いほど、消費の器は大きい。クンブメラは、水のボトル売りだけではなく、神々を描いたお札売り、さらには信者からの布施を集めたい教祖達にとっても、絶好の「ビジネスチャンス」なのである。

 2010年1月撮影

(写真・文:高橋邦典)

※この記事はフォトジャーナル<世界最大の宗教祭典クンブメラ>- 高橋邦典 第49回」の一部を抜粋したものです。