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<経済的事情から地方での地元大学志向が顕著になっている。だが定員抑制などで若者の地域移動を抑えることは、東京と地方の文化的格差につながるおそれがある>

大学進学の地元志向が強まっているという。仕送りなどの経済的負担が大きいために、地元の大学に通って欲しいと願う家庭が増えているのだろう。生徒の地元志向も高まっているようで、甲南大学の阿部真大准教授は「東京で苦学するより、親の経済力に頼れる地元にいる魅力が大きいのではないか」と指摘している(2016年5月1日、朝日新聞)。

地方は所得水準が低く、大学の学費負担だけでも大変なのに、これに家賃や生活費などが加わる「ダブル」の負担は重い。最近、学生のブラックバイトや奨学金借入による生活破綻が問題になっているが、その多くは地方から都市に出てきている「苦学生」ではないだろうか。

地元志向の高まりは、統計でも確認できる。4年制大学入学者のうち、自分の出身高校と同じ県内の大学に入った者は何%いるのか。バブル末期の1990年と2017年現在の断面を比べると<図1>のようになる。日本の経済状況が悪化する前の頃と、最近の状況の比較だ。

1990年春の大学入学者は48万6946人、2017年春は61万694人となっている(浪人生を含む)。大学進学率が高まっているので、入学者の絶対数は増えている。

このうち出身高校と同じ県内(地元)の大学に入った者の割合を見ると、1990年の35.9%から2017年の44.1%に上昇している。激増というほどではないが、大学進学の地元志向は確かに強まっているようだ。

【参考記事】欧米の名門大学よ、 中国マネーに屈するな

舞田敏彦(教育社会学者)