半身不随の弁護士&小説家が社会人生活を再開!「ロング・アンド・ワインディング・ロード」vol.11

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42歳、半身不随の弁護士&小説家がいよいよ社会人生活を再開する!

車椅子には「LOCK’n’ROLL」

弁護士であり、小説家としても活躍する法坂一広さんは、脳出血で倒れて半身不随となってしまう。

退院後、社会復帰を果たした法坂さんを待ち受けていたのは・・・

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病床ROCK尺

車椅子には「LOCK’n’ROLL」

vol.11/ロング・アンド・ワインディング・ロード

もともと小説を書き始めたきっかけが、弁護士としての日常業務、特に刑事訴訟のあり方を世に問いたい、というものだっただけに、小説の内容は一部、実体験をデフォルメしたものだったりします。その点で、キャラと作者本人がシンクロする面があるのは当然のこと。病気したときに書きかけていたのは、5冊目にして初めて法曹界を離れた小説でした。

企画書の段階で主人公は、ある事故で脳に障害を負い走ることができなくなるランナー、と軽い気持ちで設定しておりました。外傷と病気という違いはあれ、まさかこんなところでシンクロするなんて。もはや、キャラクターの呪いというレベルではないかと思われます。

その後、紆余(うよ)曲折あり、この小説はまだ書いている途中です。ストーリーを一言で言えば主人公の復活劇なので、作者の僕も長くて曲がりくねった道をたどり復活するところまで、運命がシンクロしてくれれば言うことないんですけどね。

とりあえず病気をしても、言語の機能には全く問題なかったので、ICUを出た直後からモノ書き業務のうち、コラムの仕事を再開しました。物理的には左手が使えないという問題は結構大きくて、片手でのタイピングは遅いし、肩も凝ります。だいぶ慣れてきましたけどね。左手で押さえていないと手書きは結構難しいし、音声入力はまだ試したことがありません。

普通に歩いたり走ったり、という目標が切実でしたが、元のように両手でタイピングして原稿を書けるようになるのは、きっと、もっとずっと先のことなんでしょう。上肢の方が障がいの認定も重いですし。

問題の小説の方は書き上がったら、ケータイ小説ならぬ片手小説、みたいなキャッチフレーズでいきましょうかね。本当は「車椅子の作家が描くスポーツ小説」の予定だったんですが、車椅子にはロックが掛かってますから。

Profile

法坂一広(ほうさか いっこう)

福岡市在住の弁護士、小説家。2011年に第10回「このミステリーがすごい!」大賞の大賞を受賞し、弁護士探偵物語シリーズを執筆。2015年に脳出血で倒れ、翌16年に仕事を本格的に再開。「もう乗らない」と車椅子をLOCKして(鍵をかけて)、マラソン大会復帰を目指す。最新作は「ダーティ・ワーク」(幻冬舎文庫、2015年)、西日本新聞社「のぼろ」で連載中。