米政府、金正恩氏の資産凍結求める 大統領は軍事行動は「第一選択肢でない」と

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核実験やミサイル発射を重ねる北朝鮮に対して米政府が石油禁輸と、最高指導者・金正恩氏の資産凍結を柱とする追加制裁案を、国連安全保障理事会に提出することになった。一方で、強硬姿勢を示していたドナルド・トランプ米大統領は、軍事行動の可能性を排除しないものの、「第一の選択肢ではない」と述べた。

米政府が6日までにまとめた追加制裁案は、北朝鮮に対する様々な石油関連製品の輸出を禁止すると共に、北朝鮮が輸出する繊維製品の購入を禁止する。さらに、金正恩・朝鮮労働党委員長の資産を凍結し、海外渡航を禁止するほか、北朝鮮が海外に派遣する労働者の雇用を禁止する。

労働者の海外派遣と繊維製品の輸出が、北朝鮮に残された主要な外貨獲得手段とみられている。

ロイター通信によると、米国のニッキー・ヘイリー国連大使は11日にも追加制裁案について安保理の採決を求める方針。しかし、安保理で拒否権を持ち、北朝鮮に石油を供給する中国やロシアは、かねてより制裁強化の効力に疑念を示しており、この米提案に同意するかは不透明だ。

米政府は、もし11日に追加制裁案が採択されなければ、独自制裁を発動する構えを示唆している。ドナルド・トランプ米大統領はすでに、北朝鮮と商取引関係のある国との貿易を停止すると警告している。

スティーブ・ムニューシン財務長官は6日夜、記者団に対して、「北朝鮮の経済関係を断ち切る必要があると考えている」と述べた。

財務長官は「大統領令はすでに用意済みで、大統領のもとに届けられる状態だ。北朝鮮と貿易する者はだれでも、処罰する権限が私に与えられる」と説明した。

軍事行動は「第一の選択肢ではない」

トランプ大統領と中国の習近平国家主席は6日、電話会談で北朝鮮問題を協議し、「さらに対策を取る」と合意したという。ホワイトハウスが発表した。

過去に北朝鮮に対して武力行使も辞さない姿勢を示してきた大統領は記者団に、軍事行動は「第一の選択肢ではない」と述べながら、排除もしなかった。

トランプ氏はさらに、「習主席は何かをしたいと思っている。何かができるのかどうか、見守りたい。けれども、北朝鮮で起きている事態を我慢などしない」と話した。

中国国営新華社通信はさらに、習主席が「問題の平和的解決」を求めたと伝えた。習氏は、「対話と包括的対応の組み合わせ」を提案しているという。

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米国が主張する追加制裁について、ロシアのウラジーミル・プーチン大統領は、ロシアから北朝鮮への石油輸出量(約4万トン)は、とるにたらない量だと主張。AFP通信に対して、追加制裁が答えではないと述べた。

「感情に駆られて北朝鮮を隅に追い詰めるのは、得策ではない」とプーチン氏は話した。

北朝鮮の石油の約8割は中国が輸出している。

中国とロシアは、北朝鮮による大陸間弾道ミサイル(ICBM)に対する8月5日の追加制裁決議には賛成している。8月の追加制裁では、核・ミサイルの開発資金を絶つため、北朝鮮の主な収入源になっている石炭、鉄、鉄鉱石、海産物の輸出を全面禁止した。これによって北朝鮮経済は、総輸出額の約3割に相当する10億ドルを失うものとみられる。

中国とロシアは追加制裁の代わりに、北朝鮮が強く反発している米韓合同軍事演習や地上配備型迎撃システム「終末高高度防衛(THAAD)」をやめ、それと引き換えに北朝鮮の核・ミサイル開発をやめるよう求めるべきだと主張してきた。しかし米韓はこれに反発している。

聯合通信によると、韓国軍は7日、THAADの追加配備を完了したと発表した。

ヘイリー大使は4日の安保理緊急会合で、20年にわたり少しずつ制裁を追加してきたものの、北朝鮮の核・ミサイル開発を止めることはできなかったと指摘。「もうたくさんだ」と大使は述べ、「最強の措置をいま採らなくてはならない」と訴えた。

大使はさらに、「米国は決して戦争を望んだりしない」し、「今も望んでいないが、我々の忍耐力は無限ではない」と警告した。

(英語記事 North Korea crisis: US seeks Kim Jong-un asset freeze)