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●箱根めぐりは芦ノ湖から! 風情ある甘酒茶屋から関所、箱根海賊船へ

箱根温泉郷は、東京から一番近い大温泉地。交通至便で「安近短」の旅行に最適なので、屈指の人気を誇っている。江戸時代には旧東海道の関所があった交通の難所で、今でも豊かな自然と歴史を感じる秀逸な観光地だ。

今回は、8月にオープンした最新の温泉ホテル「はなをり」に滞在しながら、気軽に訪れられる定番観光コースを紹介。歴史と伝統と湖畔の景色に加えて、温泉や火山といった迫力ある大自然にも触れることができる。箱根らしい多面的な魅力を満喫しよう。

○創業400年! 箱根に唯一残る「甘酒茶屋」

箱根の観光は、箱根湯本から登山鉄道で強羅方面に向かうのが一般的だが、人気が高い観光地なので常時混雑しているのが難点。オススメなのが、最初にバスで芦ノ湖方面へ向かう方法だ。途中には江戸時代から続く「甘酒茶屋」があり、観光名所になっている。昔からの店構えで店内は暗いので、SNSにアップする人は外の席を。カウンターでの注文時に席を伝えれば、できたてを持って来てくれる。

メニューは甘酒の他にも力餅やジュースがあるが、やはり名物の甘酒をいただきたいところ。米と麹だけを原料に、江戸時代から変わらぬ製法で作り続けており、砂糖不使用の自然で優しい甘みが心地よい。口直しの小さなお新香も添えられ、まだ始まったばかりだが旅の疲れを癒やしてくれる。

本当は少し手前から旧東海道を歩いて、徒歩で到着すれば甘酒が一層おいしくなる。しかし、甘酒茶屋の裏手は名物の石畳になっていないので、石畳は食後に別途向かおう。

●information

甘酒茶屋

住所: 神奈川県箱根町畑宿二子山395-1

アクセス: 箱根登山鉄道箱根湯本駅から、(旧街道)畑宿経由元箱根港行きバス26分、甘酒茶屋下車すぐ

○「旧街道石畳」で昔の箱根越えを体感

甘酒茶屋バス停のひとつ先が旧街道石畳バス停で、名所が連続しているのもオススメのポイントだ。歩いても行ける距離だが、箱根フリーパス利用者ならバスで向かおう。

石畳とは山道の旧東海道を通行しやすいように、石を敷いて一種の簡易舗装したもの。旧街道石畳には、唱歌「箱根八里」で「昼なお暗き杉の並木」と歌われた光景が、今もそのまま残っている。江戸時代の人々の往来が目に浮かぶ気がするが、こんな薄暗い道に山賊などが出たら本当に怖いとも思う。なお、元箱根方面まで旧街道が続いているが、坂道が続くので再度バスを利用するのが無難だ。

●information

旧街道石畳

住所: 神奈川県箱根町畑宿

アクセス: 箱根登山鉄道箱根湯本駅から、(旧街道)畑宿経由元箱根港行きバス27分、旧街道石畳下車すぐ

○日本で唯一の完全復元を果たした関所

箱根関所は箱根で一番有名な観光地で、神奈川県民なら遠足で必ず行く場所。近年発見された新たな史料に基づき、長期間の工事を経て、2007年に完全復元してリニューアルオープンした。江戸側と京都側のそれぞれに、「千人溜まり」と呼ばれる待合広場があり、周囲の状況まで完全復元した関所は日本で唯一とのこと。昔、遠足で行った人も、新たな発見があるだろう。

箱根関所は江戸時代の施設だけあり、非常にコンパクトにまとまっており、歩き疲れることもないのがありがたい。ふたつの建物が向き合っており、写真の「大番所・上番休息所」を重点的に見ておこう。甘酒茶屋と旧街道石畳を見てきたので、当時の旅行者が必ず通った箱根関所を、一層のリアリティーを持って実感できるに違いない。

関所役人や定番人が詰めており、部屋の前の縁側では重点調査項目「入り鉄砲に出女」の出女の取り調べが行われていた。人形の置物がリアルで、当時の風情を彷彿とさせている。

●information

箱根関所

住所: 神奈川県足柄下郡箱根町箱根1番地

アクセス: 箱根登山鉄道箱根湯本駅より箱根町行バス40分、箱根関所跡下車徒歩2分。旧街道経由の場合は、終点元箱根港でバスを乗り換え

○箱根海賊船で芦ノ湖を縦断!

芦ノ湖には各種の遊覧船があるが、特に人気があるのが箱根海賊船だ。バスを乗り換えた元箱根港からも乗船できるが、箱根町港から乗船すれば、先ほど見学した箱根関所を湖上から一望できる。

一旦、元箱根港に立ち寄った後、桃源台港目指して再度出港し、箱根神社の鳥居を右手に見ながら北上を続ける。海賊船には3種類の船があり、途中ですれ違うのも必見ポイントだ。箱根フリーパスがあれば、海賊船も自由に利用できる。

●information

箱根海賊船

住所: 神奈川県箱根町箱根1番地

アクセス: 箱根関所跡より箱根町港行バス5分、終点下車徒歩2分

桃源台の駅と港から徒歩2分のところにあるのが、8月1日にオープンしたばかりの箱根温泉ホテル「はなをり」。冒頭の写真のように、芦ノ湖を一望する眺望が自慢だ。続いてはそんな「はなをり」の魅力とともに、箱根で絶対見逃せない"アノ"ご当地グルメを紹介しよう。

●レイクビューな箱根の最新温泉ホテルから、黒たまごでおいしく延命長寿!

○由緒ある湖尻温泉と姥子温泉の源泉を引湯

箱根温泉「はなをり」は別府温泉の「杉乃井ホテル」など、全国の著名ホテルを運営するオリックス不動産系列の宿なので、その運営は折り紙付き。夕食もバイキング形式ながら極力作り置きはせずに、できたての料理を提供している。

温泉は箱根二十湯の湖尻温泉に加えて、箱根七湯と同等の歴史を誇る姥子温泉の源泉を引湯。褐色透明の色が付いており、温泉らしさを感じる湯だ。

客室は種類が多いが、湖側の和洋室がオススメ。早めにチェックインして、湖上を行き交う海賊船を眺めていると、壮大な気分になり、漫画の主人公のように「海賊王になる!」と叫びたくなってしまう。大人でも童心に帰れるし、子供なら大喜び間違いない。

●information

箱根温泉「はなをり」

住所: 神奈川県箱根町元箱根桃源台 160

アクセス: 箱根ロープウェイ桃源台駅下車徒歩2分。または、箱根海賊船桃源台港下船徒歩2分

○黒たまごは塩なしでもイケる!

翌日、箱根温泉「はなをり」をチェックアウトしたら、ロープウェイ、ケーブルカー、登山鉄道で、箱根の残り半周を楽しもう。中でも、絶対押さえておきたいのが「大涌谷くろたまご館」だ。

箱根ロープウェイ大涌谷駅を下車すると、周辺の火山活動を一望できる。まずは箱根の温泉の根源でもある、噴気を展望しよう。

次に、名物の「黒たまご」を購入。)いわゆる温泉卵だが、黒い色が箱根の特徴で、1個食べることで7年寿命が延びるとされている。遊歩道奥の黒たまご生産場まで以前は散策できたが、今は火山活動が活発なので遊歩道は閉鎖されている。しかし、逆に言えば、活発な火山活動は今しか見られない景色だ。

「黒たまご」には少量の食塩も添付されているが、まずはそのまま食べてみよう。黒く色付いた玉子の殻から硫黄の香りがして、香ばしい風味を演出してくれるので、塩がなくても実にうまい。箱根の温泉や火山活動に直接関連したグルメとして、その土地の空気感とともに味わっておきたい。

●information

大涌谷くろたまご館

住所: 神奈川県箱根町仙石原1251

アクセス: 箱根ロープウェイ大涌谷駅下車徒歩2分

神奈川県を代表する名湯、箱根温泉の魅力、いかがだっただろうか。今回は頻繁に紹介される箱根登山鉄道沿線はあえて割愛したが、鉄道沿線も含めて四季折々に訪れたい温泉地だ。今回のルートは車でも行けるが、箱根では海賊船やロープウェイなど、普段利用しない交通機関を利用する楽しみも大きいので、箱根フリーパスを使用して公共交通機関の乗り放題も楽しみたい。フリーパスを利用すると、強羅公園が無料で利用できるなど、各種の特典もある。

○筆者プロフィール: 藤田聡

温泉研究家、オールアバウト「温泉」「紅葉スポット」ガイド。温泉旅行検定試験で2年連続日本一になり、検定協会から「温泉旅行博士」の称号を授与される。温泉地を中心に周辺観光地の取材・撮影を行い、海外旅行にも決して負けない、国内旅行の奥深い魅力をメディアで発信中。紅葉や一本桜、夜景や四季の花などの絶景スポットにも精通している。