「晴雨兼用」の傘って、やっぱり、劣化は早いの?

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梅雨に戻ってしまったのかと思った。8月だというのに、全国各地で雨ばかり降り続いていた。そして残暑がやってきた。8月終わりの紫外線は年々強度を増して私たちの焼けた肌や髪に追い打ちをかけてくるので、日傘は片時も手放せない。そしてこれから台風の季節、雨傘もまだまだ手放せない。気候変動も甚だしい中、「晴雨兼用」なるデキる傘と出会ってからは、毎日のようにお世話になりっぱなしだ。

しかし、「教えて!goo」には晴雨兼用の傘について、「晴雨兼用の傘と雨」というタイトルで、防水効果やUVカット機能は薄れてしまわないのかという質問が寄せられている。たしかに、あちらを立てればこちらが立たず、ということになってしまわないのだろうか……。なんだか不安になってきたので、「兼用」の真意を問うべく、創業87年を誇る日本橋の老舗傘メーカー・小宮商店の広報担当者にお話を伺った。

■「晴雨兼用」はどのように作り出されるのか

職人さんたちが全ての工程を手作業で行う小宮商店では、防水とUVカットの加工は生地の製作段階で行われるという。まず、裁断される前の生地をロール状に巻く。ロールは一定の速度で回転しながら、防水液と紫外線吸収剤の入った液体を混ぜ合わせた大きな容器にポチャンと浸かっていく。防水とUVカットの加工は同時に行われるのだ。生地そのものにコート液をたっぷりと染み込ませているので、繊維の一本一本に「晴雨兼用」のコーティングが施されるというわけだ。ちなみに小宮商店の製品ではないが、生地にチタンをコーティングしたものもあるという。チタンの細かいカケラで太陽光を反射させてUVカットをするのだとか。

■防水/UVカット効果は薄れていく?

ポリエステルにラミネート加工(生地にポリ塩化ビニールを貼り合わせたもの)などを施した晴雨兼用傘は、傷や破れがない限り、UVカットの機能はほとんど落ちない。一方、綿や麻、シルクなどの天然素材の場合は、生地に紫外線吸収剤を浸透させることでUVカット加工を行うため、繊維に施したコーティングが落ちてしまえば当然、機能は落ちていく。せっかく見つけたお気に入りの傘だ。雨の日も晴れの日も、末永く全力で私を守り続けてもらいたい。

「防水スプレーや日焼け止めスプレーなどを吹きかけてもいいのでしょうか……」。おそるおそる尋ねる筆者に、広報担当者は大きくうなずいてくれた。用意するのは、防水には防水スプレー、UVカットにはUVカットスプレー。ドラッグストアやホームセンターなどに置いてある市販のもので良いとのこと。シミにならないよう傘から1mほど離して全体にまんべんなく吹きかけてあげれば完了だ。外出前、日焼け止めを塗るように、傘にもスプレーを一吹き。こんなに簡単な作業で済むのなら、やらない手はない。経年劣化とは、99%の効果が一気にゼロになるわけではないので、自宅でできるシンプルなケアで効果は十分にキープすることできるとのこと。

■機能低下の原因、実は……

小宮商店の広報担当者は、衝撃の事実を教えてくれた。「防水・UVカットの機能が衰えてしまう原因の一つは、汚れの付着なんです」。

コーティングがはがれていくという経年による劣化ではなく、日常の汚れ、つまり排気ガスや手についた汚れが布地に付着することで、機能が衰えてしまうことがあるという。思い起こせば筆者愛用の晴雨兼用傘は、毎日街中をともに歩き、汚れた手でぐるぐるとたたまれ玄関先に放置されている。外から帰れば手を洗う。靴の泥汚れは布でぬぐう。けれど傘に対しては特段の処置を施した記憶がない。まさかそこに原因があったとは、盲点だった……。「汚れないように使う、汚れたら洗う」(広報担当者)。そんな当たり前のことを、どうして傘にはしてこなかったのだろう。強い摩擦もコーティングにダメージを与えてしまうので、汚れは優しく洗うか拭き取るようにしてあげよう。

UVカットの加工方法は多種多様で一概には言えないが、晴雨兼用の傘は、きれいに手入れして使えば、機能は5年以上もつという。一方、手入れを怠れば劣化も早い。消耗品、などと邪険に扱うのはもうやめよう。日傘も雨傘も、かつてはアクセサリーやステッキとしても愛用されていたという。きちんと手入れしてあげれば、相棒として長く私たちのそばに居てくれるだろう。

●専門家プロフィール:小宮商店
昭和5年創業、今では希少となった日本製の傘を作り続ける洋傘専門メーカー。伝統的な技法で熟練職人が一つひとつ丁寧に手作りする国産傘を中心に、機能に優れた海外製傘も取り揃えている。

(オダギリ)

教えて!goo スタッフ(Oshiete Staff)