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●Grow with the Cloud

中国のファーウェイは、9月5日〜9月7日、中国上海で同社の年次イベント「HUAWEI CONNECT 2017」を、上海エキスポ・センターを中心に開催中だ。テーマは「Grow with the Cloud」(クラウドでの成長)で、昨年の「Shape the Cloud」に続き、クラウドがテーマとなっている。このイベントには世界120カ国以上から2万人以上が参加している。

初日の9月5日(現地時間)には、ファーウェイ 取締役副会長 兼 輪番CEOの郭平(グォ・ピン)氏が登壇。同氏は「Committed to Cloud: Huawei is Taking Industries Digital」(ファーウェイは、クラウドにコミットしデジタル業界を牽引している)と題した講演を行った。

同氏は冒頭、ファーウェイがなぜクラウドに注力するのかについて、次のように説明した。

「昨年のHUAWEI CONNECTから1年が経ち、ファーウェイのクラウド戦略は明確になった。今後、人類は20〜30年かけて、インテリジェンスな世界に突入するだろう。企業はICTによってデジタル化し、すべてのサービスがクラウドによって提供される。クラウドがICTの柱になる。そのため、ファーウェイも大きな決意をもって、世界のトップ5のクラウドの1つになるべく取り組んでおり、その自信もある。一部のユーザーの中には、ファーウェイが長期的にパブリッククラウドに投資していくのか疑いを持っているが、ファーウェイは戦略としてパブリッククラウドに投資していく。そのためにクラウドBU(ビジネスユニット)を設立した」(グォ・ピン氏)

では、世界のトップ5のクラウドとは具体的に、どこを想定しているのだろうか。それについて、ファーウェイ クラウド事業ユニットおよびITプロダクトライン担当プレジデントである鄭葉来(チェン・イエライ)氏は、プレス向けカンファレンスの中で、「明確には想定していない。重要なのは、企業に対してどのような価値を提供するかだ。どこがTOP5であるかは、企業には関係ないことだ」と明言を避けた。

グォ・ピン氏が語ったクラウドBUは、同社がクラウドに注力するため、今年3月、2,000人の人員規模で新設したビジネスユニットだ。

チェン・イエライ氏は、基調講演の中でクラウドBUについて、「ファーウェイはこの1年クラウドに大きな予算をつぎ込み、クラウドBUを設立した。その結果、クラウドBUを設立後8月末までに、ファーウェイのクラウドユーザーは238%増加した」と、その成果を強調した。

グォ・ピン氏は講演の中で、ファーウェイのクラウドの他社との違いについて、ファーウェイはクラウドにおいて技術とサービスを提供すること、顧客のデータを利用しないことを挙げ、特徴として次の4つがあるとした。

1つ目は、ファーウェイはテクノロジーに依存した企業であり、今後もプラットフォームに注力するという点。

同氏は午後のプレスカンファレンスにおいて、「ファーウェイは基本的にICTプラットフォームとして、技術とソリューションを提供する。他社のサービスの価値を代替することはない」と語っている。

2つ目はセキュリティで、代表例としてチップセットを通してセキュリティの問題を解決している点を挙げた。同氏は同社がセキュリティを重視する姿勢ついて、「製品の開発プロセスの中にセキュリティがあり、セキュリティの問題が解決しない限り製品は出荷しない。今後は研究開発費の5%をセキュリテイに投資する」と語った。

3つ目の特徴はサービスで、同社がこれまの蓄積してきたクラウドのノウハウによって、企業をサポートし、デジタル化していくという。

そして4つ目は、シェアリングで、パートナーとの共存関係をつくるという点。同氏は「われわれがプラットフォームをつくり、パートナーがそのプラッットフォームを利用して、新たな進化を実現する。エコシステムのなかで、ファーウェイの取り分は1%で、残りはパートナーだ」と述べた。

講演の中で同氏がパブリッククラウドの事例として紹介したのが、中国深せん市のパブリックビデオネットワークだ。深せん市では今年の1月起こった誘拐事件をパブリクックビデオネットワークを活用し15時間で解決したという。具体的には、同ネットワークを利用して犯人である中年女性が子供をつれていることを発見し、その後、女性が泊っているホテルを特定。15時間後には子供を両親のもとに返したという。

そして、同氏は最後に「時代はわれわれを待つことはしない。われわれは積極的に取り組み、チャンスをつかまなくてはならない。ただ、成功に近道はない。着実に努力して積み重ねていくことが大事で、それがわれわれの価値だ。そして、パートナーとクラウドアライアンスを作りあげ、世界の5つのクラウドの1つになる」と意気込みを語って講演を締めくくった。

●Enterprise Intelligence(EI)を発表

続いて登壇したチェン・イエライ氏は、同社のクラウド強化に向け、新たなAIプラットフォームとして「Huawei Cloud Enterprise Intelligence(EI)」を発表した。

EIはエンタープライズ向けのAIプラットフォームで、AIと企業プロセスを合わせたものだ。

同氏は現在のAIの課題について、「顔認識、画像認識、音声認識など、それぞれに特化してバラバラの状態だ。今後は、人工知能の機能を1つにまとめて、より複雑なシナリオの中で活用していかなければならない」とし、午後のプレスカンファレンスでEIの目的を「EIはただの技術だ。AIで企業プロセスの課題を解決するのがポイントだ」

と説明した。

同社のAIは、スマートシティ領域に応用され、中国の深せん市では都市の交通違反対策に利用しようとしている。

深せん市は、人口2,200万人の中国第4の都市。車両の数は1平方キロあたり510台で、中国でもっとも車両密度が高いという。そのため、交通渋滞が頻発し、駐車場が探しづらいという課題を抱えている。そこで、同市はファーウェイと提携し、「交通頭脳プロジェクト」を今後一緒に推進していく。

このプロジェクトでは、イメージ識別で、車の数を把握。交通量を予測し、信号と連動させることによって、8%の効率をアップを図る。

そのほか、AIは法執行の部分でも利用され、商用車と自家用車を画像で識別。走っていけない道路を通行していないか判断するほか、盗難されたナンバープレートや違法なナンバープレートを使用していないかを判定する。これらの結果は現場の警察官の端末にプッシュ送信する。

さらに将来は、市民に情報提供をすることも考えているという。具体的には、出発地と目的地を入力すると、渋滞などを考慮して、最適なルートを提供。また、5Gのネットワークを利用したオンラインの交通量シミュレーションの構築も行っていくという。

また、AIは金融領域でも利用され、講演では中国の太平洋保険の事例が紹介された。同社は、9月1日からAIを活用したロボットコンサルティングサービスを開始。開始当日に20万アクセスがあり、サービス4日目で200万アクセスを達成したという。

このサービスは、6つの質問に答えるだけでリスクを数値化し、その人に合った保険金額を算出する。

また、同社はAIによって保険の請求作業を効率化。顧客が請求伝票を写真で送ると、チェック作業がAIを活用して行われ、自動で支払うしくみを導入。これによって、作業を50%以上効率化したという。

講演の最後にチェン・イエライ氏は、今後、企業はクラウドのパートナーを選ぶことがより重要になると指摘した。それには、データのセキュリティやプライバシーが守れるのか、安定しているか、信頼できるパートナーであるかの3つがポイントだという。

なぜ、信頼が重要かといえば同氏は、「単にデータセンターのマシンを変えるだけでなく、企業のIT部門の変革も必要だからだ。ファーウェイはこれまでずっと信頼を得ており、企業の信頼できるパートナーだ。セキュリティにおいても、チップセットによる暗号化を行っており、120のセキュリティの製品やサービスを提供している。また、統一的なプラットフォームでスムーズに導入しやすくなっている。これにより、パブリッククラウドとオンプレミスをシームレスに連携できるハイブリッドクラウドを構築できる。また、汎用的なプラットフォームのため、AmazonやAzureにもマイグレーションしやすく、海外進出しやすくなる」と、同社のクラウドのメリットをアピールした。