シリアでの取材を計画し、外務省から旅券返納命令を受けた新潟市のフリーカメラマン、杉本祐一さん(60)が、憲法が保障する「渡航の自由」や「報道の自由」を侵害しているとして国に返納命令の取り消しを求めた訴訟の控訴審判決が6日、東京高裁であった。

 深見敏正裁判長は、請求を棄却した1審東京地裁判決を支持し、杉本さんの控訴を棄却した。

 深見裁判長は判決で、当時はシリアが紛争状態にあり、邦人ジャーナリストを含む死傷者が発生するなどしていたことから、旅券返納を命じた外相の判断は「合理的で裁量権の逸脱・乱用はない」と指摘。「国民の生命を守ることは国家の主要な責務の一つ。万が一、身柄を拘束された場合、政府や関係諸機関に多大な影響を及ぼし得るもので、個人の問題とはいえない」とした。

 判決などによると、外務省は平成27年2月、トルコとシリアの国境付近を取材する計画だった杉本さんに対し、生命に危険が及ぶ恐れが高いとして旅券の返納を命じた。当時はイスラム教スンニ派過激組織「イスラム国」(IS)による日本人殺害脅迫事件の直後だった。