『二次元世界に強くなる 現代オタクの基礎知識』(株式会社ライブ/カンゼン)

写真拡大

 あなたには、世の中であまりにも当たり前のように使われているがゆえに、「意味がよくわからないけど、まあいいか」と放置している用語はないだろうか。例えば、歴史的な知識の数々、「アーサー王伝説とは?」「太刀と打刀って何が違うの?」etc. これらはアニメに出てきているのを耳にしている人も多いだろう。最近はアニメの話題が通じるかどうかも人として大切、それなのに知った気でいるがいざ説明を請われると言葉に詰まる…。知識のある人に聞けば早いのだが、今さらちょっと恥ずかしいという気も。そこで、『二次元世界に強くなる 現代オタクの基礎知識』(株式会社ライブ/カンゼン)だ。

 本書は、そのタイトルのとおり二次元コンテンツに使われている用語を、「宗教・神話・歴史・軍事・科学・オカルト」といったジャンル別に解説している事典だ。冒頭に「知識豊富な真のオタクとなる第一歩になれば」と書いてはあるが、オタクでなくても歴史や科学の知識として自分のものにしておきたい教養ばかり。フィクションの世界をより深く味わうためにはもちろん、何よりも立派な大人として代表的な用語の意味を確認しておこう。

1、ファンタジー世界代表――キリスト教

「聖杯」とは?

 聖杯とは、キリストが処刑される前夜に、12人の弟子と共にした最後の晩餐で使用した杯のこと。キリストが処刑されたときには、その血を受け止めたとされる。キリストの死後、弟子のひとりであるヨセフの子孫が代々守護していたが、あるとき行方不明になってしまう。その後、アーサー王(5、6世紀にブリテンに実在したとされる伝説的王)と彼に仕える騎士(円卓の騎士)たちの前に現れたが、再び行方不明に。多くの騎士たちが困難な探索の旅に出た末に、その内の3名の手によって獲得に至りスコットランドに置かれたとされる。しかし聖杯のたどった歴史についてはいまだに諸説があり、その実際の在り処は特定できていない。復活・再生・不死・豊穣などの奇跡を起こすといわれている。

「ロンギヌスの槍」とは?

 ロンギヌスの槍とは、十字架に磔(はりつけ)となったイエスを刺した槍のこと。聖槍だ。一般には命を奪うために刺したといわれるが、実際には死を確認するために脇腹に刺したのだとか。ちなみにロンギヌスとは、その槍を刺したローマ兵の名前だ。手にする者に世界を制する力を与えるが、手放されたときは持ち主を滅ぼすという。他にもさまざまな逸話をもち歴史上にも度々登場するが、アーサー王伝説に組み込まれたエピソードが特に有名で以下のとおり。なんと、終末の日を迎えるまで止まらない血を、穂先からしたたらせて、前述の聖杯とともに円卓の騎士の前に現れたとか。現在まで実物が保存されているが、世界各地に複数あるため非常にミステリアスな存在だ。

2、和物代表――日本刀

「太刀(たち)」と「打刀(うちがたな)」はどう違う?

 日本刀の特徴は、片刃で反(そ)りがあること。平安時代中頃から造られるようになった太刀(たち)から始まるといってよいだろう。平安時代初期までは刀といえば「大刀(だいとう)」と呼ばれる直刀だったが、平安中期から戦国時代にかけては反りのある刀が造られ、これを太刀と呼んだのだ。太刀は馬での合戦を想定して造られており、刃を下に向け腰に吊るして使用された。そのうち、刀身が90センチ以上のものを「大太刀(おおたち)」、60センチ以下を「脇差(わきざし)」、30センチ以下を「短刀(たんとう)」と分類する。

 室町時代には、刃を上に向けて帯に差す刀「打刀(うちがたな)」が登場。特に江戸時代に入ってからは馬での合戦もなくなったので、室内や路上でも素早く抜いて戦うことを想定されたこの刀が主流になる。

 刀は武士にとって、ただの武器以上の特別な品であり、身分を表すと同時に誇りでもあった。現在まで名刀が何振りも保存され、それぞれの歴史や逸話が伝えられていることが何よりの証拠だ。

 ほんの一片しか紹介できなかったが、本書にはまだまだ多くの用語が収録されている。「へえそうだったのか」と思って、ぜひ深い知の海への入り口にしてほしい。学校の勉強や会社の仕事に直接役に立たないこうした知識こそ、人生を豊かにしてくれるといっても大げさではないはずだ。

文=奥みんす