(写真提供=SPORTS KOREA)WANNA ONE

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韓国で、オーディション番組出身のアイドルが人気を集めている。

日本で人気急上昇中のTWICEはその筆頭だ。彼女たちは、2015年にケーブルテレビ局Mnetで放送されたオーディション番組『SIXTEEN』から輩出されている。

また、今年6月まで同じくMnetで放送された『プロデュース101/シーズン2』からデビューしたボーイズグループ“WANNA ONE”は、韓国で異常とも言える人気を見せている。

8月7日に発売されたデビューミニアルバム『1×1=1(To Be One)』は、発売開始早々で売上が53万枚を記録した。これは、「初動で3万枚を売り上げれば大成功」と言われる韓国において、驚異的な数字だと言える。

こうした人気アイドルを生み出しているオーディション番組たちのほとんどは、アイドル候補生たちがサバイバル形式で争う内容で構成されている。視聴者からの人気があったり実力があるメンバーだけが、アイドルとしてデビューできるというものだ。

最近は彼ら・彼女らの人気の高さが注目され始め、国営放送局KBSまでもが『THE UNIT』(10月から放送予定)というアイドル再起オーディション番組を編成するなど、オーディション番組は一大ブームを巻き起こしている。

オーディション番組は「放送メディアの横暴」

ただ、このような活況の裏では、オーディション番組に対する批判もある。

韓国マネジメント連合、韓国音楽コンテンツ協会、韓国芸能製作者協会で構成された“音楽制作会社連合”は8月9日、「アイドルオーディション番組を通じた放送メディアのマネジメント事業進出に反対する」という声明を発表した。

声明では、「アイドルオーディション番組は、練習生たちに公正な機会を与えるという趣旨に反し、放送メディアの収益拡大にのみ焦点が当てられている」と告発。

「現在の形式の番組は、エンターテインメント産業全体を独占しようとする放送メディアの横暴だと言える」としながら、「我々は公正かつ共存する産業秩序を作ることに放送局がともに参加することを願う」と伝えている。

これまでも韓国では数々のオーディション番組が放送されてきたが、このような批判を受けたことはなかった。

つまり、オーディション番組そのものに問題があるのではなく、最近のオーディション番組だけが特別に問題視されているというわけだ。

いったい、何が非難の的になっているのだろうか。韓国の芸能プロダクション関係者はこう語っている。

「放送局が出演者と専属契約を結び、マネジメント事業まで手を出すことは、あまりに不公平だと思っています」

実際、放送局とアイドルたちとの“専属契約”は最近になって増えているらしい。。

過去のオーディション番組では出演者を選考するだけで終わっていたが、冒頭の『プロデュース101/シーズン2』からデビューしたWANNA ONE以降は、放送局がアイドルを直接管理するようになっている。

現在、彼らのマネジメントはYMCエンターテインメントが担当しており、CDやコンテンツの制作に関しては放送局Mnetの運営会社であるCJ E&Mが受け持っているが、事実上はマネジメントに関してもCJ E&Mが関与しているらしい。
(参考記事:“AKB商法”でK-POPアイドルのCDが爆売れ中!? “CD市場”の日韓比較

さらにCJ E&Mは、現在Mnetで放送しているオーディション番組『アイドル学校』の出演者たちとも専属マネジメント契約を結んでいる。

専属契約は芸能プロダクションを潰す?

このように放送局がアイドルタレントたちと専属契約を結ぶことは、韓国の音楽産業に重大な影響を与えているという。

韓国メディア『クッキーニュース』は次のように分析している。

「放送局がマネジメントまで受け持つようになると、公益性と公正性を損ねることは避けられないでしょう。資金力の乏しい小さな芸能プロダクションたちは、生存のために創意的な試みを制限され、番組に所属アーティストを紹介するだけの単なるエージェンシーに落ちぶれてしまうこともあり得ない話ではありません」

要するに、このまま放送局とアイドルの専属契約が続けば、韓国の音楽産業は、巨大な資金力を持つ放送局の独占場になってしまう危険性があるということだ。

実際、KBSも『THE UNIT』で選抜されたメンバーと専属契約を結ぶことを発表しており、今後はさらに放送局勢力がマネジメント界で拡大していくことが予想される。

それだけに、ある音楽団体の関係者は、「放送局がマネジメント事業に進出できないように、最後まで戦っていく方針だ」と決意を固めているが、果たして今後、放送局と芸能プロダクションは共存していけるのだろうか。

オーディション番組の活況の裏で、韓国音楽産業が岐路に立っている。

(文=李 仁守)