試合が終わった直後、酒井宏は真っ先にピッチに倒れ込んだ。写真:佐藤明(サッカーダイジェスト写真部)

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[ロシアW杯アジア最終予選]サウジアラビア1-0日本/9月5日/キング・アブドゥラー・スポーツ・シティ

 8月29日のUAE戦から、中6日で日本との大一番を迎えたサウジアラビア。一方、日本は8月31日にオーストラリアと戦ってワールドカップ出場を決め、長距離移動を含む中4日でサウジアラビア戦を迎えた。
 
 コンディションに明らかな差がある。なおかつ、気温32度、湿度70パーセントの環境はサッカーをするには厳しい。スタジアムは屋根に覆われ、風も吹き込まない。こんなときこそ気合い!と言いたいが、消化試合でメンタルを奮い立たせるのも難しい。サウジアラビア優位の条件がばっちり整っていた。
 
 まともに戦えば、明らかに不利だ。だから、まともに戦わなくても済むように、いかにゲームをコントロールするか。その点に注目したが、やはりハリルホジッチの日本代表にとっては苦手科目だった。
 
 ゲームコントロールとは、簡単に言えば時間潰しだ。サッカーはゴールを獲るスポーツだが、ゴールを目指さない時間帯を意図的に作り、メリハリをつける。ボールをポゼッションしたり、守備ブロックを作って相手にボールを持たせたり。
 
 柴崎岳を中心に、前半はその意図が見られることもあったが、不充分だった。サウジアラビアはそれほど前からプレスに来ないので、ミドルゾーンに運んでしまえば、吉田麻也や昌子源がプレッシャーを受ける機会は少ない。しかし、ポゼッション率はサウジアラビアが54.3パーセント、日本が45.7パーセントで下回った。
 
 もっともっと回し続ければいいのに、やはり縦に行くのが速い。サイドチェンジが入ったら、その後はほぼ縦に仕掛ける。その結果、どんどん最終ラインから前線までの距離が開き、間延びした。この試合、勝たなければならないのはサウジアラビアだったが、まるで立場が逆に見えた。
 
 試合が終わった直後、酒井宏樹は真っ先にピッチに倒れ込んだが、無理もない。この猛暑の中で前半から何度も何度も、タッチライン際を駆け上がっていた。局面だけを見れば、良いプレー。だが、その必要があるのか、という話だ。
 前方にいるのが本田圭佑なので追い越したくなる状況は多かったが、体力がもたない。6月イラク戦の後半、酒井宏が足を痛めて交代したことを繰り返すリスクがあった。
 
 また、本田からのパスも、少しずつズレた。32分に柴崎からのワンタッチパスを受けた本田は、右サイドを上がる酒井宏へ展開したが、このパスが前のスペースに流れ過ぎている。酒井宏は、さらに10メートルほど走らなければならない。
 
 このボールが転がっている無駄な時間が、相手に余裕を与える。サウジアラビアのDFは悠々と下がってクロスに備えており、岡崎慎司と原口元気が走り込むものの、ペナルティエリア内はすでに5枚に固められ、スペースに乏しかった。そのぶん、DF陣の手前、マイナス方向のスペースは空いたが、酒井宏には見えず。
 
 結局、ワンタッチで蹴ったクロスは、スライドしてきた手前のDFに引っかかった。この一連のぎこちなさは、本田のパス精度の低さが出発点。43分に自陣で奪われた危険なミスを取り上げるまでもなく、本田のプレーは良くなかった。

 本田だけではない。20分に吉田のイエローカードにつながる山口蛍のバックパスの失敗。28分にはゴール前で吉田がボールを失いかけるシーンがあったが、それは彼自身のコントロールのもたつきだけでなく、吉田に出した昌子のパスがズレたことが出発点。コンディションの差は如何ともしがたいので、せめて丁寧にプレーし、時間を潰したかったところ。
 
 ゲームコントロール、ボールコントロール。コンディションで不利なら他の要素で何とかしたかったが、“コントロール”と名のつく要素でも相手に上回られた。これでは厳しい。どんなチームであれ、試合の状況が求めるのなら、それをやらなければならない。
 
 この試合は最終予選で初めて、先制ゴールを奪えなかった試合になったが、尻つぼみ感のあるゲーム運びは、最後まで気になった。
 
取材・文:清水英斗(サッカーライター)

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