義父を支え続けたファン・ボンメル。今夏から古巣PSVの育成部門でも指導に当たり、サウジアラビアとオランダを行ったり来たりの多忙な生活を送る。(C)Getty Images

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 タイムアップの笛が鳴り響くと、力強いガッツポーズで歓喜を爆発させた。サウジアラビア代表を12年ぶりにワールドカップの舞台へと導いた指揮官、ベルト・ファン・マルバイクだ。
 
 母国オランダのメディアにその感慨を語った。
 
「オランダ(代表)の時とはまるで違う充実感がある。試合が終わった瞬間は嬉しさが一気にこみ上げたが、すぐに落ち着いて、ホッとした気分になった。なかなか大変なチャレンジだったからね」
 
 サウジでファン・マルバイク政権が発足したのは2015年8月。ちょうど2年前のことだ。まず智将が着手したのが、代表選手たちの意識改革だった。
 
「私が就任した時から、選手個々の能力は素晴らしいと感じた。だがその一方で、どこか自信なさげに見えたんだ。長く国際大会で結果を残していないから、国内でいわれのない批判を浴びてきたようだった。だから私は言い続けた。『君たちにはチャンスがある。きっと成し遂げられる』とね」
 
 そんな選手たちとのコミュニケーションにおいて、大きな役割を果たしたのが、右腕として招いたコーチ。元オランダ代表のレジェンド、マルク・ファン・ボンメルである。
 
 名ボランチとして鳴らした現役時代にクラブとオランダ代表の両方で師弟関係にあり、ファン・ボンメル夫人は指揮官の愛娘という深すぎる間柄。就任当初からコーチとして支え、どうしても怠け癖があるサウジ代表選手たちの尻を叩き続けたという。ファン・マルバイク監督は「私だけではなし得なかった偉業だ。規律を浸透させるうえでマルクが果たした役割は大きく、アドリエ(コスター)や他のコーチングスタッフの助けがあったからこそ。本当に感謝している」と語った。
 
 ファン・ボンメルは今シーズンからPSVアイントホーフェンのU-19チームを指揮しているが、代表チームの活動期間中は遠く離れた中東まで参上し、チーム強化に尽力したという。
 
 前節のUAE戦で敗れ、高まっていた批判的な風潮を一気に吹き飛ばし、サウジ国民の信頼を勝ち取ったファン・マルバイク監督。地元紙の『sportnieuws』は「サウジアラビアには本田圭佑や岡崎慎司のようなタレントはいない。そんなチームを見事に鍛え上げたオランダ人スタッフの功績は計り知れない」と称え、サウジ・サッカー連盟の公式HPは「つねに真摯な態度でチームと選手と向き合ってきたベルトでなければ、この境地にはたどり着けなかった。心の底から感謝する」と記した。
 
 この有名すぎる“親子”は来夏のロシアで、緑のハヤブサ(代表チームの愛称)を躍進へと導けるのだろうか。お手並み拝見である。

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