『三度目の殺人』是枝監督、弁護士に「法廷は真実を明らかにする場所ではない」と言われる

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映画監督の是枝裕和が、9月5日に放送された『トーキングフルーツ』(フジテレビ系、毎週火曜24:25〜)にゲスト出演。演出へのこだわりを語った。

是枝は、日本アカデミー賞で最優秀作品賞を受賞した『海街diary』をはじめ、カンヌ国際映画祭で審査員賞となった『そして父になる』などを手がけた映画監督。9月9日(土)には、福山雅治主演『三度目の殺人』の公開を控えている。

是枝の演出方法についてMCの古舘伊知郎は、彼が監督を務めた『歩いても 歩いても』の例を挙げ「なんで是枝作品はあんなに料理が美味しそうなんですかね。食材を“切る”っていうのも料理なんだと思えるわけですよ。ザルを上げるとか上げないとか……あの行程は料理番組より100倍美味しそうに見えます」と絶賛。

すると是枝は、それらを表現するための音へのこだわりに言及。『歩いても 歩いても』では、ミョウガを切る時の独特の音がキーポイントになっており、この作品を撮影する前に母親が亡くなったこともあり、子どもの頃の“思い出の音”でもあるという。また、「特に映画は音が大事」と持論を展開。「匂いは伝わらないので音で表現するしかない。いろいろな作品でこだわっています」と演出論を語った。

古舘は『三度目の殺人』について、これまで手がけた作品とは毛色が違うことを指摘。それを受けて是枝は「新しいものにチャレンジしようという気持ちはありました。もともとテレビのドキュメンタリーをやっていたので、社会的関心をモチーフにすること自体は初めてではないです。ただ、映画でやるのは企画が通らなかったりするので、そこはチャレンジでした」と明かした。

是枝はこの作品を制作するにあたり弁護士に取材をしたとのこと。いざ話を聞いていると「(法廷は)真実を明らかにする場所ではないんですよ」と言われたそう。続けて「“では何をする場所なんですか?”と聞いたら、“利害の調整ですね”とサラッ言われて……。逆に“真実は人間には分からないんだ”というある種の諦観からスタートした方が、むしろ人間が人間を裁くことに対して誠実かもしれない」と考えが改まったことを明かした。

さらに日本の漫画は面白いと前置きした上で「(企画ありきだと)監督の力が養われないんじゃないかと思う。原作があってもかまわないのですが、監督発でどうしてもこれがやりたかったんだなって思うものがもっとあってもいいなって思います」と近年の日本映画界の傾向を危惧。「出来る限りはオリジナルで自分発というのは続けていきたいと思う」と語った。