アジア最終予選の厳しさを知るからこその内田の見解は興味深い。写真:Getty Images

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 2016年の年末、内田篤人に日本代表について訊いたことがある。日本がワールドカップの最終予選で前半戦を終えており、ここから本大会に進むためには中東での3試合が重要になると騒がれていた時だ。

 だから率直に、17年3月23日にUAE戦、6月13日にイラク戦、9月5日にサウジアラビア戦が控える状況はどうかと、訊いてみた。代表キャップ「74」と日本代表の一員としても数々のアウェーゲームをこなしてきた内田は、こう言った。

「とても難しい試合になる。(3試合のうち)ひとつぐらい落とすかもしれない」

 一筋縄ではいかないアジア予選の厳しさを熟知しているからこその”予言”だった。加えて、内田は「できれば(ホームの)オーストラリア戦までに決めたい。最後までもつれたら、本当に分からない」とも言っている。

 実際、日本はサウジとのアウェーゲームで黒星を喫した。過酷な環境下での戦いぶりを見た誰もが「オーストラリア戦で決めておいて良かった」と思ったに違いない。

 「ひとつぐらい落とすかもしれない」──。「アウェーでは苦しむ」ではなく、「ひとつぐらい落とす」と具体的に示しているところが見逃せない。日本代表をリスペクトしつつも、それでもひとつぐらいは負けても不思議はないというニュアンスが、その言葉からは読み取れる。

 確かな経験に裏打ちされた内田の言葉には妙な説得力がある。

文:白鳥和洋(サッカーダイジェスト編集部)

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