共同店舗のイメージパース。ライトオンの郊外店では、これまで他業種のテナントに賃貸するケースがあった(写真:ライトオン)

地方の不振店の再生に向けた異色のタッグが実現することになった。
靴量販店チェーン最大手の「ABCマート」とジーンズ中心のカジュアルショップ「ライトオン」が、9月下旬から共同出店に乗り出す。

9月22日に同時オープンするのは、富山砺波(となみ)店(富山県砺波市)と岐阜茜部(あかなべ)店(岐阜県岐阜市)。ライトオンの既存店の一部に、ABCマートが入居する。

好調ABCマートの悩みの種

14期連続で増収増益を続けるABCマートは、今2018年2月期上期(2017年3〜8月)の既存店売上高も2%増と好調を維持している。店舗数も国内938店舗(2017年8月末時点)にまで広がった。

そんな好調に見えるABCマートにとって悩みの種の1つが、地方のロードサイドに展開する売上高の下位店舗の存在だった。

売り上げの上位店は、都心部の一等地や大型ショッピングセンター(SC)などに入居する。ナイキやアディダスを中心とした有名ブランドスニーカーなど、1万円近い高単価品を中心に豊富な品ぞろえが強みになっている。

しかし、地方ではその勝利の方程式が簡単には通用しない。

消費者の節約志向が強く、数千円の低単価の実需商品が重宝される。ABCマートが展開する地方のロードサイド店は約100店舗あるが、その多くは売上高の小さな下位店にとどまっているのが現状だ。

そこでABCマートとライトオンの店舗開発チームが協力し、共同出店に乗り出す。カジュアル商品を幅広く展開する両社では、対象とする客層が近く、商品面でも相互補完できることが決め手になったという。

両社はショッピングセンター内に隣同士で出店することがあるなど、もともと関係は深かった。共同店舗は1フロアで展開していたライトオンの売り場を縮小させ、そこにABCマートがライトオンに賃料を支払い入居する。1つの入り口から2つの異なる店に入ることが可能になる。

共同出店は出店コストの抑制以外にもメリットがある。1つ目がチラシやCMなどの販売促進面の効果だ。地方ではチラシや地元テレビを通じたCMの放映が一般的。その広告宣伝を2社共同で行う。

共同でセールも実施

「ライトオンさんと当社、どちらかの告知を見てお店に来てくれたらうれしい。単独でチラシを打つより効果が見込める」(ABCマート)。販促面でいえば、一方がセールを打つだけでも集客効果が見込めるし、今後共同でセールを行うこともあるという。


東京・銀座にあるABCマート店内。都心店は1万円近い高単価品が好調。しかし地方へそのノウハウをそのまま持ち込むことはできない(撮影:今井康一)

店舗運営面の効果もある。共同出店する砺波店では、ABCマート、ライトオンそれぞれに店長はいるが、アルバイトなどのスタッフの採用やシフトを共同で管理し合うことを想定している。地方で特に深刻化する人手不足対策にもなるのだ。

今回の事例がうまくいけば、費用を両社で折半して、大型ロードサイド店を共同で出店することも検討しているという。

売り上げの下位店であっても店舗運営費が都心に比べて安いため、ABCマートの地方店の大半は黒字を確保している。そのため閉店対象にはならないが、同社は打開策を検討し続けていた。

今後の人口減少を考えると、1社単独での出店や店舗運営はリスクが高まっていく懸念もあった。靴の専門店とカジュアルウエアの専門店。ありそうでなかった組み合わせが、ロードサイド店の再生に向けた意外な化学反応を起こすかもしれない。