プレスの的を外された日本。インサイドハーフの柴崎も機能しなかった。写真:佐藤明(サッカーダイジェスト写真部)

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[ロシアW杯アジア最終予選]サウジアラビア1-0日本/9月5日/キング・アブドゥラー・スポーツ・シティー
 
「この試合だけ」を見ていたサウジアラビアが勝ちました。日本代表からは試合後、あらかじめ前半で本田選手を変える予定だったというコメントも聞こえてきました。それが真実だとすれば、この試合にいくつかのテストの意味合いを持って挑んでいたことになります。
 
 それ自体は自然ですが、テストしていることを感じると、選手はどうしても「この試合だけ」を見られなくなくなります。そのちょっとした気持ちの差が決意の差となり、結果の差になったと感じました。
 
 チャンスの数自体は決して日本も劣っていたわけではありません。ただ、選手たちの表情や目の奥に潜む決意の強さで、サウジアラビアに劣っていたことは否めません。
 
 ワールドカップ出場がかかっていたサウジアラビアとのアウェー戦でこうした試合になるのは想定できたはずだと考えると、少し寂しい試合ではありました。それだけサッカーとは気持ちの強さが結果に表れるシンプルなスポーツであり、同時に難しいスポーツであることを感じました。
 
「難しい」というのは、やはりサッカーとは相手が変われば正解が変わるもの、ということです。この試合、サウジアラビアは明確に日本対策を練っていたと思います。それにより、完全ではないにしろ、日本がオーストラリア戦で見せた”良いところ”が消される試合となりました。
 
   日本代表の”良いところ”とは、具体的には、高い位置でのハイプレッシャーからのショートカウンターです。サウジアラビアはディフェンスラインやゴールキーパーからはあまりビルドアップせず、日本がハイプレッシャーをかけようとする場面ではそれを回避するような選択をしていました。逆に、それをくぐり抜けると中盤から前の選手が流動的に動き、マーツーマン気味に守備をする日本を撹乱してボールを回してきました。
 
   さらに付け加えれば、サウジアラビアの選手たちは常に斜めにボールを受ける動きをしていました。これらの狙いはすべて、「人」への意識が強い日本の選手たちに真後ろからアタックされないようにするためです。この試合ではそれを徹底していたように見えました。
   それが顕著に現れたのが、後半開始からの19番アル・ムワッラド選手の投入です。交代でピッチを去ったのがストライカーの10番アル・サハラウィ選手だったのです。
 
 それにより、前線でどっしり構えるタイプの選手はピッチにひとりもいなくなりました。ディフェンスライン以外の6人が入れ替わり立ち代わり斜めにポジションを変えていくので、日本の選手たちはマークする相手が明確にできず、迷子になってしまっていました。
 
   結果、失点シーンでは約1分半もの間ボールを保持され、私が数えたところではゴールキーパーから27本ものパスをつながれて失点してしまいました。その間、日本の選手たちはひとりもボールに触れることができませんでした。
 
 私が見る限り、サウジアラビアが最終予選でこのような戦い方をしたことはありませんでした。これまではファン・マルバイク監督の故郷オランダでよく見られるチームのように、2ボランチ、ウイング、トップ下、ストライカーとある程度ポジションを固定してバランスをとったままゲームを進めていた印象です。
 
 この試合に対して監督の指示でどれほど明確に変えてきたのかは定かではありませんが、何れにしてもチームとして日本に的を絞らせない戦いをしていました。