言ったとか言ってないとか。「独身税」というインパクトの強い言葉のせいで、石川県かほく市ママ課が燃えています。

ネットでの炎上ポイントは「かほく市のママ課が財務省へ独身税導入を提案した」ということ。これに対して、かほく市は公式サイトに「そのような提案はいっさい行なっていない」という公式発表を掲載しています。

たしかに、元ネタとなった地方新聞配信のネット記事を読めば、参加者から財務省の主計官への単なる質問であることがわかります。実際、見出しは「独身税」提案となっていますが、記事内の表現は「質問した」です。

だから、その否定はまっとうです。
ママ課もかほく市も「独身税の提案」なんてしていません。了解です! 

しかしそれを分かっていてもなお、周囲の独身アラサー&アラフォーはイラついています。

私の耳元で「独身税を提案したかどうかなんてどうでもいい。それ以前に、その質問、そのものにひっかかるのよ」と低い声で唸るアラフォー知人はたぶん、ちょっと泣いていました。

彼女の心の地雷を爆発させた質問がこちらです。

「結婚し子を育てると生活水準が下がる。独身者に負担をお願いできないか」。

これは新聞社のサイトに公開された記事、一文のママですが、衝撃的です。なぜ、自分の生活水準を上げるために赤の他人である独身者を使おうとするのか。「身勝手すぎて震えた」「そういうこと、全ママの代表意見として言えちゃうって怖い」「何様のつもりだ」とあちこちからブーイングが噴出しています。

現段階で、市は、その質問についても、ネットニュースサイトの取材に対して、「そんなことは参加者の誰も言っていないし、そんな話題にすらなっていない」と否定してしています。しかし、さすがにそれは無理というもの。新聞社がママ課の発言と称して勝手に書いたのだとしたら、それこそ大問題です。多分ですが、言ったんです。私も検索しましたが、ネットの深いところでは、発言者が誰かというのも、特定されていました(真偽は定かではないですが)。

ママ課というのは、子育て中の女性でつくる市のプロジェクトの名称で、今回の財務省との意見交換には、30代〜40代の女性7人が参加したそうです。世代としては、独身アラサー&アラフォーと同じです。
違いは既婚子持ちかそうじゃないかだけ。そんなポジションにいる女性からの発言だったからこそ、独身アラサー&アラフォーは打ちひしがれるのです。

未婚子ナシはお金を払わないといけないの!?
確かに子供は夫婦のかすがいにもなりましょうし、国の宝だし、生まれたてときたら、抜群のかわいさです。産んだ人におかれましては、ぜひとも子供が幸せを感じられるように育て上げてほしいと、他人ながら心から願っています。

一方で、子供は生き物なので手がかかる上、人間はほかの動物より成長が遅い。時間もお金もかかるというのもわかります。

「大変だろうし、偉いと思います。でも、既婚子持ちだけが正しくて、自分たちだけが立派に社会貢献を果たしているんだっていう顔をされるのは納得できません」
「100歩譲って、子育て中の人たちから、独身女は自由でズルいと思われるのはしょうがないと思っています。でも、だからこっちの生活の面倒を見ろというのは……。なんの罰ゲームでしょうか」

もちろん、未婚子ナシに対して、既婚子育て中の人が全員「私たちのほうが人として上」あるいは、「下の身分でなければ気が収まらない」と思っているとは考えていません。いませんが、そういう発想の人が一定数いることをうすうす感じているのが独身アラフォーの日常です。それもけっこうな数で。

しかも、「独身貴族さんたちは、私たちの生活向上のために働くべきでは?」という発想を公式の意見交換会で出しちゃうほど(出ていないというのが公式発表ですが)「いいアイデア」だと思っているところ。ここが同じ国に住む、同性、同世代なのに、両者の間に深くて広い溝がある、と思ってしまう理由のひとつです。

「みんなちがって、みんないい」っていう発想は、いったいどこへ消えていってしまったんでしょう。あんなに流行ったのに。金子みすゞ。

「独身税ができたら結婚渋っている彼氏も結婚してくれるかなって聞いてみた」「独身税を払うくらいならチャイルドスポンサーシップに登録するわ」など、その2では、あずき総研がリサーチしたアラサー&アラフォー独身OLに聞いた「独身税が導入されたらどうする?」を紹介します。

子供がいないんだからお金余ってるでしょっていう気持ち、思っていてもいいですが言葉に出すのだけはやめてください。